知的資産創造 2019年11月号
21世紀に入り、企業・官公庁・コミュニティ・家庭など社会のあらゆる領域がこれまで経験したことのない大きな変化に直面しており、変革の時代を生き抜くための指針が強く求められています。
NRIグループの総合情報発信誌『知的資産創造』は、知的資産創造活動を展開しているプロフェッショナルが執筆した時代のニーズに応えるタイムリーな情報をお届けしています。
※組織名、職名は掲載当時のものです。
発行時期 : 毎月20日発行
誌型 : A4変形版・80~100ページ
- 当サイト上では、最新号から過去2ヶ月分までの新刊については、目次のみをご紹介しております。
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MESSAGE
デジタル革新の実現には、自社単独ではなく、企業間での連携が必要と感じている日本の経営者が多い。JUAS(日本情報システムユーザー協会)の調査(出所:企業IT動向調査2018)によると「デジタル化への取り組みには、他社との連携が必要」と考えている企業が、何と88.5%にも及んでいる。その理由は何であろう。
企業の経営者と話すと、その最大の理由として日本市場の成熟化を挙げる。企業単体での効率化はもう限界に達しており、企業を跨る課題や業界全体の課題を解決しないと、今以上の生産性向上、言い換えるとデジタル投資に見合うだけのリターンを期待できないということだ。別の経営者は、アマゾンやグーグルに代表されるメガプラットフォーマーの台頭に対する危機感を理由に挙げる。企業間で連携して業界の課題を解決するような業界プラットフォームを先んじて創り上げないと、自社単独では米系のメガプラットフォーマーに飲み込まれてしまうのではないかと話す。 -
特集 デジタル時代における新たな企業間連携の価値創造
ビジネスの世界において、現在のデジタル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の、大波ともいえる盛り上がりの発端はどこだったのか。さまざまな見方があるが、Windows95が登場し、インターネットやPCが企業でも利用され始めた1990年代後半から、「ITバブル崩壊」と呼ばれた2001年から02年頃ではないだろうか。
その直後、「ITは既にコモディティ化しており、企業の競争優位や差別化の源泉にはならない」という主張を、ニコラス・G・カーが『Harvard Business Review』2003年5 月号に「IT Doesn’t Matter」というタイトルで寄稿した論文が大きな反響を呼び、00年代半ばから、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)を代表とするいわゆる「ネット企業」が企業価値を高め続ける間も、多くの伝統的大企業にとってのITは、社員が業務で使う「効率化の道具」の域を超えてこなかった。
しかし、この数年、BtoCビジネスの世界においては、「デス・バイ・アマゾン」といわれる中、小売業を中心に伝統的大企業も生き残りをかけたデジタル投資を始めている。
さらに、野村総合研究所(NRI)とJUAS(日本情報システムユーザー協会)による「デジタル化の取り組みに関する調査」の2018年度調査結果では、「デジタル化の進展は貴社の既存ビジネスの優位性、永続性にどの程度影響を与えると考えていますか」という設問に対し、素材製造業の46.7%が、「既に影響が出ている」もしくは「破壊的な影響をもたらす可能性がある」と回答している。
デジタル化の発端といえる1990年代後半から約20年を経てようやく、BtoBビジネスの領域にまでITの波がたどりつき、従来の企業間取引のあり方にも影響を及ぼし始めている。
本特集では、第一論考「企業を跨いだ顧客理解と信頼構築に向けて」において、企業間の接点がデジタル化するのに伴い、デジタルテクノロジーを活用してどのように顧客理解を深め、信頼を獲得するのかを考察する。
第二論考「デジタルトランスフォーメーションによるエコシステムビジネスの展開」では、企業を跨るバリューチェーンを通じた価値提供が、ITを活用した「エコシステム」という概念でどのように変化するのかを考察する。
これらの論考の前段として、本稿では、日本における企業間取引の特徴を振り返り、その特徴が現在のデジタル化時代にもたらす課題を考察する。 -
特集 デジタル時代における新たな企業間連携の価値創造
- 変わる企業間の信頼形成
- デジタルトラストの形成事例
- 日本企業における取り組み
- デジタルトラストの構築
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特集 デジタル時代における新たな企業間連携の価値創造
- 日本企業が顧客・マーケットから迫られる新たな提供価値
- エコシステムによる事業展開─サービスコンダクターの躍進
- 欧米企業のエコシステムビジネスおよびDXの取り組みは20年をかけた仕組み
- 日本企業の活躍の停滞─内製化・自前主義の限界
- エコシステムによるビジネス展開にどう向き合っていくべきなのか
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シリーズ マーケティング機能再構築
- 顧客維持におけるマーケティングの問題点
- 解決の方向性
- 先進事例
- 顧客の生涯価値を高めるために
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シリーズ モビリティのデジタル革命
- サービス領域におけるモビリティのデジタル化のインパクト
- デジタルキーによる飛躍するモビリティ関連サービス・社会システムとの連携
- CASEの次を担うイノベーション
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NAVIGATION & SOLUTION
- はじめに
- CXとは何か
- CXと収益の関係
- CX戦略の施策と要諦
- CX戦略をマネジメントする
- おわりに
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GLOBAL VIEW
ベトナムではここ数年、税収が堅調に増える一方で、政府開発援助(ODA)を含む公共工事の進捗が遅れ気味で、またその支払も遅延することがある結果、国庫預金残高が急増している。かつ、その大半を国庫局は商業銀行に預金してきた。本稿では、国庫局による商業銀行預金を概観し、その影響と課題について考察する。
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CHINA FINANCIAL OUTLOOK
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