CONTENTS
- 新型コロナウイルス感染拡大がわが国の企業にもたらした働き方の変化と課題
- 労働力不足時代に求められる働く女性の活躍を引き出す「フルキャリマネジメント」
- 在宅勤務等を活用した新しい働き方の定着によるフルキャリ活躍の可能性
- 「新たな働き方」の定着を通じた女性活躍社会の実現へ
要約
- 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに多くの人が在宅勤務を経験した。新しい働き方による効果を多くの人が感じた一方で、業務への支障や生産性の低下といった課題を感じた人も少なくなかった。それでも、多くの人が今後も在宅勤務等を活用したいと考えたことも明らかになった。今後、就労者が望む働き方・暮らし方の実現と、企業が就労者に望む活躍の実現の両者をどう両立させていくかが、企業の最重要課題となる。
- 一方、足元の雇用環境が悪化している中、少子化は止まらず、わが国の働き手不足という構造的な問題は解消されていない。本稿は、筆者が労働力不足の処方箋の一つとして以前より注目してきた女性活躍促進の観点から、新型コロナウイルス感染拡大による働き方の変化が今後の女性、とりわけ近年働く女性の中に増えている「フルキャリ」の活躍を引き出す上での影響について現時点の評価をもとに考察したものである。
- 調査の結果、女性の部下を持つ管理職の多くが、在宅勤務等を活用した働き方の定着は女性の活躍を引き出す上で有効であると回答した。子育てしながら働く女性の部下に対し、これまで良かれと思っての配慮によって不足しがちであった3つの「き」、すなわち「期待」「共有」「機会付与」がしやすくなると感じている。
- 在宅勤務等を活用した新しい働き方の定着は、女性自身が働きやすくなることに加えて、組織として活躍をより引き出すマネジメントをしやすくする可能性がある。新型コロナウイルス感染拡大を機とした働き方の変化を一過性のものにせず、新しい働き方として定着させるべきだ。
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