CONTENTS
- コロナ禍に打ち克つ中国のデジタル社会実装
- デジタル消費券で牽引する消費再起動
- 日本の消費喚起策の課題
- 迅速なデジタル社会実装が実現できた背景
- デジタル経済推進の次の一手─新型インフラ構想
- デジタル人民元で見えるデジタル経済圏の勃興
- 産業変革に重心を移すコロナ後の中国
要約
- 大きな打撃を受けた経済の回復を図るため、中国はさまざまな施策を打ち出した。その中でも、メガテックの決済プラットフォーム経由で発行したデジタル消費券は、顕著な消費拡大効果を生み出した。デジタル消費券は非接触で交付と利用ができ、配布も瞬時に終えられる。しかも消費行動は、すべてデータとして蓄積され、効果も簡単に計測できる。また、決済の際に自動的に政府の補助部分が適用されるので、配布後の事務処理もデジタル化され、政府のコスト負担の削減と加盟店の省力化につながる。
- 中国がこのようなデジタル社会実装を迅速に実現できたのは、コロナ禍の前に整備していた国民IDによる認証基盤、国民とデジタルタッチポイントを持つプラットフォーマーが提供する決済を含むビジネスインフラ、モバイルインターネットをはじめとしたデジタル基盤の存在が大きい。一方で、日本は多額な予算を投じ、消費喚起キャンペーン「Go Toキャンペーン」を敢行したが、旧態依然の煩雑な申請手続きや精算手続きにより、重い事務コストの負担感が課題として残る。
- コロナ後の時代に向けて、中国はAI、IoT、産業インターネットなどのデジタル経済と密接に関連するインフラ(新型インフラ)を建設する方針を打ち出した。また、法定通貨人民元のデジタル化も急ピッチで推進する。すべての取引データを蓄積できる共通のインフラを整備することで、データ駆動型のビジネスの可能性を広げる。
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