CONTENTS
- 自動車業界、CASEとその課題
- CASE ver 2.0のパラダイムシフト
- 自動車業界の新たな価値循環モデル
要約
- 自動車業界の宣言としてプロダクトアウト的に始まったCASEではあるが、その進展に伴ってさまざまな課題が見えてきた。将来的な自動車産業の事業構造および経営モデルは、これまでの自動車中心ではなく、顧客価値と社会価値を起点とした価値循環型の事業構造となる。本稿ではそのモデルのキーワードを「CASE ver 2.0」と定義している。
- 7年が経過した今、C・A・Sは多大なる先行投資の回収が非常に大きな課題となり、EはEVの普及に伴って、EVの製造販売を超えたエネルギーや資源循環を見据えた事業の構えの必要性が高まった。
- これらの課題を踏まえ、自動車業界における変革のアジェンダとして、野村総合研究所(NRI)はCASE ver 2.0を提唱している。CASE ver 2.0とは、自動車メーカー起点で生まれたキーワードであるCASEを、顧客課題や社会課題の目線で捉え直したものである。
- CASE ver 2.0では、Connectedは顧客とつながり続けることで価値を生み出すため、「Customer Value」起点の事業モデル変革が求められる。また、Lv.4以上のAutonomousは技術の成熟度と実装の難易度の現状を踏まえると、自動運転技術やAR/VR、AIといったほかの技術と組み合わせたAutono-XaaS戦略が重要になる。Sharing/Serviceは、データを介した異業種との協業や、C・A・Eとも組み合わせた顧客目線の「Solution」と再定義する。Electrificationは電動化ではなく「Energy & Resource」としてエネルギーと資源循環を実現する、社会価値とバリューチェーンの再構築と定義するべきである。
- CASE ver 2.0を見据えて、自動車産業およびその周辺の異業種は、収益源や開発投資・回収の考え方、資源配分のあり方を大きく変えるときに来ていると考えられる。
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