CONTENTS

  1. 介護予防・フレイル対策と公的ソリューションの限界
  2. 要介護状態に至らないための対策
  3. オンライン化する介護予防・フレイル対策
  4. 介護予防・フレイル対策の将来展望

要約

  1. 量的かつ質的に拡大する介護需要に対して、供給側の介護資源は有限であり、その適正配分に当たって「選択と集中」の議論は避けらない。今後はより中重度の状態にある高齢者へのリソース配分が求められるところであり、軽度な高齢者は地域の互助的取り組みも活用しつつ、適切な予防措置を自ら講じていくことが求められるが、公的ソリューションは有効な方策を出せていない。
  2. 要介護状態に陥る要因の中で大きなウエイトを占める「骨折・転倒」を予防するには、骨粗鬆症検診などによる早期発見・早期治療につなげる必要がある。検診の実施率・受診率は全国的に低調な状況にあるが、自治体検診に代わるオルタナティブな方策としてFRAX®などのより簡易な定量的評価ツールの早急な地域実装が求められる。
  3. 対面が基本であった高齢者の地域活動は、コロナ禍およびデジタルデバイドの解消を背景として、オンライン空間にもその活動の場を拡大している。リアルタイムかつ双方向で専門職が関与できるオンライン空間の特性は、介護人材の枯渇という課題に対応する有望なソリューションとして、官民を問わず先進的な取り組みが進められている。
  4. 介護資源の逼迫や専門職人材の不足・偏在により、地域の介護密度が低くなる状況下において、運動や栄養のみならずオーラルフレイルや転倒予防など、より日常生活に近い目線から介護予防・フレイル対策を展開できるかが、これからの介護予防・フレイル対策の充実において極めて重要となる。コロナ禍を経て社会に広く浸透したオンラインサービスを有効活用するなど、官と民が連携した新たな介護予防の提供方法を見いだす好機にさしかかりつつある。

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執筆者情報

  • 山田 大志

    ヘルスケア・サービスコンサルティング部ヘルスサイエンスグループ

    シニアアソシエイト

  • 神戸 はるか

    ヘルスケア・サービスコンサルティング部ヘルスケアグループ

    シニアアソシエイト

  • 横内 瑛

    ヘルスケア・サービスコンサルティング部

    プリンシパル

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