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NRI トップ ナレッジ・インサイト レポート レポート一覧 2021オンライン会議ソフト日中比較研究

2021オンライン会議ソフト日中比較研究

2021/12/27

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概要

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ZOOMに代表されるオンライン会議ソフトの利用が世界的に急拡大した。そこで、野村総合研究所(NRI)は、中国のテンセント研究院と共同で、日本と中国におけるオンライン会議ソフトの利用状況および、その経済価値(消費者余剰)を推計するために、2021年に大規模なアンケート調査を実施した。オンライン会議ソフトが生み出す消費者余剰の値を導き出したのは、我々の知る限り、本研究が世界で初めてである。
オンライン会議ソフトを利用したことがあると回答した就業者の比率は、日本では48%、中国では70%であった。オンライン会議ソフトの利用頻度をみると、週2回以内というライトユーザーの比率は、日本で73.1%、中国では66.7%と大半を占めていたが、11回以上使っているというヘビーユーザーは、日本では4.7%、中国では3.3%存在していた。
日本で利用率が高いソフトは、「Zoom」78.4%、「Microsoft Teams」43.9%の2つで、その他のソフトの利用率を圧倒していた。他方中国では、テンセントの「Tencent Meeting」が49.7%、アリババの「DingTalk」が40.6%と利用率が高く、日本と中国では使われているソフトが全く異なることがわかった。
しかし、オンライン会議ソフトの主要な用途は日中で共通していて、1位が社内会議、2位がリモート研修であった。中国のほうが遠隔教育やリモート採用面接などの場面でも利用され、日本より多様な利用シーンがあることがわかった。またユーザーがオンライン会議ソフトを選ぶ際に重視する点についても、細かな点では違いがあるものの、「使いやすさ」「無料で使えること」「シンプルでわかりやすいインターフェイス」が日中共に3大要因となっていた。
またオンライン会議ソフトユーザーに対して、最大いくらまでなら支払ってもよいかという支払意思額(WTP)をアンケートで聞いたところ、日本の回答は750円/月が中央値であった。この数値は、無料版ユーザーに限ると300円/月になるが、有料版ユーザーでは1,250円/月となる。中国でも日本でも、デジタル化が進んでいる企業ほど、従業員のリモートワークに対する意欲が高い。支払意思額を地域別にみると、大都市圏およびその周辺では750円/月で全国平均と同じであったが、東北地方と四国地方において1,250円/月と数値が高かった。東北地方、四国地方は、オンライン会議ソフトを活用することで、商圏を拡大できる、あるいはサテライトオフィスや、テレワークができるメリットを高く評価しているものと考えられる。また支払意思額を用いて、オンライン会議ソフトが生み出す「消費者余剰」を推計したところ、日本全体で259億円/月の価値を生み出しているという結果になった。

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2021オンライン会議ソフト日中比較研究

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執筆者情報

森 健

未来創発センター グローバル産業・経営研究室長

李 智慧

未来創発センター グローバル産業・経営研究室
上級コンサルタント

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