株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA:代表理事/会長 時田 隆仁 富士通株式会社 代表取締役社長)が事務局を務める Green x Digital コンソーシアム1において取り組まれた、サプライチェーン CO2排出量見える化に向けた企業間 CO2データ交換の実証実験2フェーズ1(WBCSDのPathfinder Network3に基づくソリューション間連携に関する技術実証、以下「本実験」)に、プロジェクトマネージャーおよびソリューションプロバイダーとして参画し、2022年12月22日に、成功裏に完了しました4。
脱炭素経営に向けた取り組みのひとつとして、企業各社には、自社および自社のサプライチェーンにおけるGHG(greenhouse gas: 温室効果ガス)排出量5の開示が求められています。各社では、GHGプロトコル6に準拠し、自社および取引先の排出量を、3つのカテゴリ(SCOPE1, 2, 3)に分類して算出します7。
そのうちSCOPE3は、自社の事業に係る取引先からの部品や原料の調達に伴う排出量が該当しますが、サプライチェーンの各社が将来多様なソリューション(排出量算出に用いるツールやソフトウエア等)を採用した場合でも、企業間で排出量データの交換を保証する方法を確立することが必要です。本実験は、将来多様なソリューションが併存する場合にも、Pathfinder Networkという世界で共通のルールに基づき、排出量データの交換を実現することができることを技術的に示そうとするものです。
Pathfinder Networkに基づく排出量データ交換の実証実験は、世界で3例目になります8
。本実験では、規模の異なる15社(13ソリューション)が参加しており、参加企業数としては3例のなかで最大規模です。また、本実験では、排出量データの交換だけでなく、データ連携基盤がPathfinder Network APIを実装することによる排出量トレーサビリティの実現や、再生可能エネルギー利用の排出量算定への反映についても実証しており、いずれも成功裏に完了しています。このように質の面でも、世界的に見て顕著な成果を示しています。
NRIは、2023年中にサービス開始を予定している、CO2排出量算定・データ連携ソリューションNRI-CTS9を用いて参加しました。NRI-CTSは、技術特性上、データ連携機能部分を異なる技術に換装でき、本実験においても、オラクル・コーポレーション社のOracle Blockchain Tableで実装したバージョンと、SBI R3社のCordaで実装したバージョンの2グループで参加しました。本実験では2グループともデータ連携が機能しており、設計上の技術的柔軟性も確認できています。
本実験の成功により、今後、様々な企業において、ソリューションの選択と排出量の見える化を進め、サプライチェーンでの排出データを共有する動きが加速することが期待されます。NRIとしても、NRI-CTSのサービス提供や関連するコンサルティング、ソリューション開発を通じて、顧客企業の日本および世界での気候変動対策の取り組み推進に貢献していきたいと考えています。
また、本実験から得た知見を、Green x Digital コンソーシアムと共同してWBCSDにフィードバックすることにより、Pathfinder FrameworkやPathfinder Networkの発展にも貢献していく予定です。
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Green x Digitalコンソーシアムについては以下のウェブサイトをご参照ください。
https://www.gxdc.jp/ -
2
実証実験の全体像については、JEITAによるプレスリリースをご参照ください。
https://www.jeita.or.jp/japanese/topics/2022/1209.pdf
https://www.jeita.or.jp/japanese/topics/2023/0215.pdf -
3
Pathfinder Networkについては、以下をご参照ください。
https://www.carbon-transparency.com/media/luhii1or/pathfinder-network-vision-paper.pdf -
4
報告書は https://www.gxdc.jp/pdf/report.pdf をご覧ください。
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5
日本の温室効果ガスの約9割をCO2が占めています。詳細は次のURLをご参照ください。
https://www.env.go.jp/content/900445424.pdf -
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WRI (World Resources Institute:世界資源研究所)とWBCSD (World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議) 共催によるマルチステークホルダー方式のパートナーシップで、そこで定められた測定対象や測定方法
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