株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、経済安全保障で注目されるデジタル主権1や金融統制で求められる高度なガバナンスやセキュリティを確保しつつ、企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)実現を成功に導く要因の一つである、パブリッククラウドの多様なサービス群の活用最大化を可能とする「マルチクラウド戦略」を推進してきました。このたび、「マルチクラウド戦略」をさらに強化する新サービスの提供を開始します。
図1:NRIのマルチクラウド戦略 コンセプト概念図
提供を開始する2つの新サービス
①NRIデジタルトラスト(仮称)
DX推進におけるトータルなセキュリティ対策を可能とし、より安全・安心なクラウド利活用を実現する「NRIデジタルトラスト(仮称)」をNRIセキュアテクノロジーズ株式会社2(以下「NRIセキュア」)と共同で提供を開始します。このサービスは、企業におけるシステムライフサイクル全体でのサイバーセキュリティとサイバーリスクに対するオペレーショナル・レジリエンス(業務の強靭性、復旧力)の確保を目的とし、関連する各種ガイドラインや法規制に準拠するセキュリティ機能をあらかじめ組み込んだプラットフォームサービスとなります。第一弾として、2025年度上期にOracle Alloy3を介して、3コンポーネントの提供を開始し、順次機能を追加していく予定です。
今回提供を開始する3コンポーネントは以下の通りです。機能の詳細については、NRIセキュアのニュースリリース4をご覧ください。
A)セキュリティビルトインクラウド
クラウド環境の構成管理や脆弱性管理を統合し、IT基盤構築から運用にいたるまで、法規制遵守を支える高度なセキュリティ対策が組み込まれたクラウド。
B)セキュア開発プラットフォーム
AIやソフトウェアの開発環境、および開発の各工程に必須のセキュリティ対策(「セキュリティ・バイ・デザイン」)を標準実装したプラットフォーム。
C)サイバーフュージョンセンター
サイバー攻撃や内部不正の24時間365日の監視、および脅威の分析・対応、有事の際の迅速な封じ込めからバックアップデータのリストア(復元)機能などを標準実装したオペレーションセンター。
図2:NRIデジタルトラスト(仮称) コンセプト図
②ハイエンドワークロード向けGPUの導入によるAI実行環境の提供
Oracle Alloyを活用したNRIデータセンター内の顧客向専用パブリッククラウド環境5にGPU(NVIDIA H100)を導入し、2024年12月より提供を開始しました。
企業における生成AIの利用や大規模言語モデル(LLM)の開発・活用時において課題となるデータ主権(データの置き場所)に対応し、自社保有の機密性の高いデータを「閉じた環境」で安全な利用を可能としました。これらのデータを活用した機械学習利用やオープンソースのAIモデルの実行のみならず、フルマネージドな高性能LLMといったOracle Cloud Infrastructure(以下「OCI」)が提供しているOCI Generative AIサービス6活用にも最適な環境となります。特に統制を重視する金融業界向けには「NRI 金融AIプラットフォーム(仮称)」7として提供されます。
なお、2024年2月にサービスインしたOracle Alloyを活用した顧客向専用パブリッククラウドは、2024年12月にNRIのデータセンター(大阪)においても予定通り稼働を開始し、東京と大阪でのDR(Disaster Recovery:災害復旧)運用を可能としています。
NRIは今後もマルチクラウド戦略を推進し、堅牢なクラウド環境を柔軟に活用可能とすることで、顧客企業におけるビジネス価値の拡大に寄与していきます。
オラクル・コーポレーション Oracle Cloud Infrastructure担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント Mahesh Thiagarajanのコメント:
「NRIは、業界の重要な課題に対応するソリューションを提供することで、そのリーダーシップを継続して発揮しています。Oracle Alloy を活用することで、経済安全保障で注目されるデジタル主権や金融統制などの取り組みに寄与します。Oracle Alloy は、NRI のマルチクラウド戦略において重要な役割を果たしており、当社はNRIのビジネス拡大を引き続き支援してまいります。」
※Oracle、Java、MySQL及びNetSuiteは、Oracle Corporation、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。NetSuiteは、クラウド・コンピューティングの新時代を切り開いたクラウド・カンパニーです。
- 1 デジタル主権とは、自らのデジタル資産であるデジタルデータやテクノロジー・インフラの管理能力のことで、以下の3つからなります。
①データ主権:データの所有権、アクセス権、トレーサビリティ、保管場所を確保できること。
②オペレーション主権:利用されるサービスにおける人やプロセスの側面に対する透明性を確保できること。
③テクノロジー主権:ベンダーの技術的ロックインを回避できること。 - 2NRIセキュアテクノロジーズ株式会社については次のURLをご参照ください。
https://www.nri.com/jp/company/map/secure - 3Oracle Alloyは、OCI Dedicated Regionと同様のOCIの専用クラウド・ソリューションであり、パートナー企業は、自社でカスタマイズした独自サービスとともに、人工知能(AI)機能やクラウドネイティブ開発ツールを含むOCIのサービスを顧客企業へ提供することが可能です。
- 4NRIセキュアのプレスリリースは次のURLをご参照ください。
https://www.nri-secure.co.jp/news/2025/0212 - 5Oracle Alloyを活用した専用パブリッククラウドの導入については、次のURLをご参照ください。
https://www.nri.com/jp/news/info/20240220_1 - 6OCIのAIサービス(OCI Generative AI)については次のURLをご参照ください。
https://www.oracle.com/jp/artificial-intelligence/ai-services/ - 7NRI 金融AIプラットフォーム(仮称)については、次のURLをご参照ください。
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20240910_1