株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、日本における(1)2018~2030年度の新設住宅着工戸数、(2) 2018~2030年のリフォーム市場規模、(3) 2018~2033年の空き家数・空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)、および(4) 2018~2030年の大工の人数を予測
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しました。
主な予測結果は以下のとおりです。
(1)2018~2030年度までの新設住宅着工戸数
- 新設住宅着工戸数は、2017年度の95万戸から、2020年度には77万戸、2025年度には69万戸、2030年度には60万戸と減少していく見込みです(図1)。
- 利用関係別 ※2 に見ると、2030年度には持家20万戸、分譲住宅14万戸、貸家(給与住宅を含む)26万戸となる見込みです(図2)。
(2)2018~2030年までのリフォーム市場規模
- 広義のリフォーム市場規模 ※3 は、2030年まで年間6~7兆円台で横ばいに推移すると予測されます(図3)。狭義の市場※3は、それより1兆円前後少ない規模と見込まれます。
(3)2018~2033年までの空き家数・空き家率
- 空き家数・空き家率は、既存住宅の除却や、住宅用途以外への有効活用が進まなければ、2013年の820万戸・13.5%から、2033年にそれぞれ1,955万戸・27.3%へと、いずれも上昇する見込みです(図4)。
(4)2018~2030年までの大工の人数
- 大工の人数は2015年時点では35万人ですが、大工の高齢化、産業間の人材獲得競争の激化などが影響し、2030年には21万人にまで減少すると見込まれます(図5)。
- 日本では長年、「大工1人当たりの新設住宅着工戸数」は年間約2戸前後で推移してきましたが、今後は需要(新設住宅着工戸数)の減少幅を、供給(大工の人数)の減少幅が上回ります。そのため、建設現場における労働生産性を約1.4倍にまで引き上げないと、約60万戸の需要でも供給できなくなる可能性があります(図6)。
図1:新設住宅着工戸数の実績と予測結果(全体)
出所)実績値は国土交通省「住宅着工統計」より。予測値はNRI。
図2:新設住宅着工戸数の実績と予測結果(利用関係別)
出所)実績値は国土交通省「住宅着工統計」より。予測値はNRI。
図3:リフォーム市場規模(広義・狭義)の実績と予測結果
出所)実績は住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅リフォームの市場規模(2016年版)」より。予測値はNRI。
図4:総住宅数・空き家数・空き家率の実績と予測結果
出所)実績は総務省「住宅・土地統計調査」より。予測値はNRI。
図5:大工の人数の実績と予測結果
出所)実績は総務省「国勢調査」より。予測値はNRI。
図6:大工一人あたりの住宅着工戸数の実績と予測結果
出所)実績は総務省「国勢調査」、国土交通省「住宅着工統計」より。予測値はNRI。
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1 新設住宅着工戸数およびリフォーム市場規模を予測:
本予測では、新設住宅着工戸数については2019年10月に予定されている消費税増の影響(増税前の駆け込み需要、および、反動減)を加味していますが、リフォーム市場規模についてはその影響を加味していません。また、景気動向などに伴って、着工が前倒しされたり、先送りされたりすることにより、実際の着工戸数やリフォーム市場規模は変動する可能性があります。 -
2 利用関係別:
住宅着工統計上の区分で、持家は「建築主が自分で居住する目的で建築するもの」、分譲は「建て売りまたは分譲の目的で建築するもの」、貸家は「建築主が賃貸する目的で建築するもの」を指します。 -
3 広義と狭義のリフォーム市場規模の定義:
狭義のリフォーム市場規模は、「住宅着工統計上『新設住宅』に計上される増築・改築工事」および「設備等の修繕維持費」を指します。 広義のリフォーム市場規模は、狭義のリフォーム市場規模に「エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財、インテリア商品等の購入費を含めた金額」を加えたものです(住宅リフォーム・紛争処理支援センターより)。
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グローバルインフラコンサルティング部 榊原、大道、亀井、大西、御前