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野村総合研究所、携帯電話の大規模通信障害の影響と対策に関するアンケート調査を実施

〜事業者間ローミングによる緊急通報の実現とともに一人ひとりの通信障害への備えが不可欠〜

2022/10/03

株式会社野村総合研究所

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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、2022年8月30日から9月2日にかけて、全国15~69歳の男女合計28,984人(事前調査)、5,222人(本調査)を対象に、2022年7月2日に発生したKDDIの大規模通信障害に関する影響の実態と、事業者間ローミング(災害時等において携帯電話ネットワークに通信障害が発生した場合に他社のネットワークを利用して通信や通話を実現する仕組み)の必要性や利用したいサービス内容等に関するインターネットアンケート調査(以下、「本調査」)を実施しました。

本調査から得られた主要な結果は、以下の通りです。

KDDIの大規模通信障害の影響は約5人に1人と広範囲に及んだ

2022年7月2日に発生したKDDIの大規模通信障害(以下、「今回の通信障害」)においては、約2日半にわたって緊急通報を含む音声通話およびデータ通信サービスが使いづらい状況が続きました。今回の通信障害後も、各社で障害が発生しており、ライフラインである携帯電話サービスの確実かつ安定的な提供が課題となっています(図1)。
本調査によると、今回の通信障害はKDDI(au、UQモバイル、povo)の個人ユーザーの半数に加え、MVNO(仮想移動体通信事業者)でKDDI回線を利用している個人ユーザー、KDDI回線以外を使っている個人ユーザーなど、事前調査回答者全体の20.5%、つまり約5人に1人と広範囲にわたり影響が生じました(図2)。特にMVNOを含むKDDI回線の個人ユーザー1では「音声通話の発信・着信ができなかった」影響が46.9%と最も大きく、緊急通報についても少なからず影響を受けました(図3)。

図1:近年の通信事業者の主な通信障害の事例

発生日時 事業者名 影響利用者数 継続時間
2018年 12月6日 ソフトバンク 約3,060万回線 約4時間半
2020年 5月30日 NTTドコモ 約220万人 約5時間半
2021年 9月11日 楽天モバイル - 約4時間半
10月14日 NTTドコモ 延べ約1,290万人 約29時間
2022年 7月2日 KDDI 約3,091万人 約61時間半
8月24日 KDDI 約8.3万人 約45分間
8月25日 NTT西日本「フレッツ光」 約211万回線 約5時間半
9月4日 楽天モバイル 約130万回線 約2時間半
9月4日 ソフトバンク - 約40分間
9月11日 KDDI 約1,000人強 約2分間

出所:総務省および各社公開情報よりNRI作成

図2:今回の通信障害の影響度(障害発生時の利用事業者別)

出所:NRI「携帯電話の通信障害に関する調査」(2022年8月)

図3:KDDI回線ユーザー1が今回の通信障害で受けた影響内容(複数回答)

出所:NRI「携帯電話の通信障害に関する調査」(2022年8月)

事業者間ローミングは年代を問わず約4人に3人が必要と回答

2022年9月28日から、総務省において「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」が始まりました。今回のアンケートで、事業者間ローミングが「必要だと思う」と回答したのは本調査回答者全体の38.0%で、これに「どちらかといえば必要だと思う」を加えると72.4%となり、約4人に3人が必要と回答しました。また通信障害の影響を受けた人ほど必要性を高く認識しています(図4)。
事業者間ローミングで実現して欲しいことを順位で聞いたところ、「緊急通報(110番・119番等への発信)」に対する期待が最も高く、1位から5位までの回答合計が88.2%でした。次いで「緊急速報メール(気象庁や国・地方公共団体が携帯電話向けに地震・災害情報等を配信するサービス、同じく81.5%)」、「音声通話(71.8%)」、「コミュニケーション機能がある特定アプリ(LINE,Twitter,Instagram等、60.7%)」、「SMS(57.4%)」という順で続きます(図5)。まずは、人命に係わる「緊急通報」(呼び返しなし)を一日も早く実現することが期待されます。

図4:事業者間ローミングの必要性(今回の通信障害の影響度別)

出所:NRI「携帯電話の通信障害に関する調査」(2022年8月)

図5:事業者間ローミングで実現して欲しい機能(上位5つ)

出所:NRI「携帯電話の通信障害に関する調査」(2022年8月)

国民一人ひとりが通信障害発生を前提とした備えに取り組む必要あり

社会・産業・生活のインフラとして、携帯電話サービスの重要性と依存度が高まる中、地震や台風・集中豪雨等の災害リスクに加え、サイバー攻撃などの地政学リスクが高まっており、通信障害の発生を前提とした対策を考えるフェーズに移行したといえます。
しかしながら、災害時等の通信障害に対して約6割の人が「特に備えはしていない」状況です(図6)。今回の通信障害時に、KDDI回線ユーザーが取った対処方法としては、「自宅Wi-Fiまたは公衆Wi-Fiを利用してデータ通信を利用(21.9%)」や「同様の方法でアプリ通話を利用(20.5%)」したり、「固定電話を利用(18.7%)」したりして障害を回避しています(図7)。国民は国や事業者に任せきりにせず、公衆Wi-Fiの活用、固定電話・回線の利用、複数回線の利用(Dual-SIM)など、一人ひとりが日頃から通信障害に対して備えておくことが大切です。
なお、本調査の詳細は次のURLをご参照ください。
https://www.nri.com/jp/knowledge/report/lst/2022/cc/1003_1

図6:災害時等の通信障害に対する平時の備え(複数回答)

出所:NRI「携帯電話の通信障害に関する調査」(2022年8月)

図7:KDDI回線ユーザー1における今回の通信障害への対処方法

出所:NRI「携帯電話の通信障害に関する調査」(2022年8月)

  • 1  

    au、UQモバイル、povo、KDDI MVNOをKDDI回線ユーザーとしている

ご参考:調査概要

調査名 「携帯電話の通信障害に関する調査」
調査時期 2022年8月30日から2022年9月2日
調査方法 インターネットアンケート
対象者 全国に居住する15~69歳の男女
回答数 事前調査 28,984サンプル
(本調査の条件に合致するユーザーの出現率を把握・抽出するために実施)
本調査 5,222サンプル
(事前調査回答者のうち、主に利用している携帯電話事業者ごとに性・年代別構成比に応じて割付回収)

  KDDI・UQモバイル・povo     :2,110サンプル
  ドコモ・ahamo            :1,055サンプル
  ソフトバンク・Y!mobile・LINEMO  :1,055サンプル
  楽天モバイル            : 499サンプル
  MVNO(ドコモ回線)        : 263サンプル
  MVNO(KDDI回線)        : 72サンプル
  MVNO(その他回線)        : 168サンプル

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お問い合わせ

ニュースリリースに関するお問い合わせ先


株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 玉岡、梅澤
TEL:03-5877-7100
E-mail:kouhou@nri.co.jp

本件調査の担当


株式会社野村総合研究所
パートナー 北
ICTメディアコンサルティング部 木村、伊藤