フリーワード検索


タグ検索

  • 注目キーワード
    業種
    目的・課題
    専門家
    国・地域

NRI トップ ニュース ニュースリリース一覧 野村総合研究所、「NRI学生小論文コンテスト2022」の受賞者を発表

野村総合研究所、「NRI学生小論文コンテスト2022」の受賞者を発表

2022/12/19

株式会社野村総合研究所

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、「サステナブル未来予想図~次の主役はわたしたち!2050年の社会を描こう~」をテーマとした、「NRI学生小論文コンテスト2022」の最終審査会・表彰式を、12月19日に行いました。大学生・高校生の両部門合わせて2,215作品の応募があり、厳正なる審査の結果、大賞、優秀賞、特別審査委員賞、留学生特別賞あわせて9作品が選出されました。

審査は、(1)事務局による「予備審査」、(2)NRIグループの社員による「一次審査」、(3)NRI役職員の審査委員4名に加え、池上彰氏(ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授)および最相葉月氏(ノンフィクションライター)の2名を特別審査委員に迎えた「論文審査会」、(4)論文審査会メンバーにNRI役員を加えた「プレゼンテーション審査」の4段階で行いました。

当コンテストは今年で17回目ですが、プレゼンテーション審査は2017年度から導入し、今年で6回目となります。プレゼンテーションの様子は、後日、NRIの公式サイトに掲載予定です(https://www.nri.com/jp/essay_contest)。

11月15日に開催された論文審査会の様子

入賞者および入賞論文タイトル

【大学生の部】

大賞

「もっと頑張れ」と大人たちは言うけれど ~教育格差是正のための社会構想~
上野 暖登さん 同志社大学 グローバル・コミュニケーション学部 3年

優秀賞

ITの利用で「誰一人」取り残さない医療を目指して
河野 亜希さん 福井大学 医学部 医学科 5年

特別審査委員賞

Space Sarcopenia Station ~人生はもっと輝ける~
黒松 俊吾さん 大阪公立大学 医学部 医学科 4年

留学生特別賞

ようこそ2050年グリーンシティへ ~緑の天国一日体験ツアー~
呉 小優さん 淑徳日本語学校

【高校生の部】

大賞

「救うべくして救った命」
倉持 葵成さん 本庄東高等学校2年

優秀賞

「Active School」の導入によって健康的な未来を築こう
児玉 夏楓さん 立命館慶祥高等学校3年

アグリベンチャー「Lemna」 ーアオウキクサを捨てない世界にー
土屋 春己さん 東京都立両国高等学校2年

特別審査委員賞

新しい支援の仕方「Cycleプロジェクト」で支援される側を主役に
阿武 和奏さん 市川高等学校1年

Flying Emergency Hospital ー医療に進化を人類に安心をー
勝田 真悠さん 宮城学院高等学校1年

敢闘賞・奨励賞の受賞者については、次のURLをご参照ください。
https://www.nri.com/jp/news/event/lst/2022/cc/sustainability/contest/result

ご参考

審査委員による総評

今回は、次代を担う学生のみなさんに、主体的にサステナブルな未来社会を構想して欲しいという想いから、テーマを「サステナブル未来予想図 ~次の主役はわたしたち! 2050年の社会を描こう~」に設定しました。今、世界中の人々にとって「サステナブルな社会の実現」が共通の目標となり、国・企業・個人でさまざまな取組みが始まっています。次代の主役であるみなさんが描く"2050年"の未来予想図とはどんなものなのか、その実現に向けてどのようなアイデアを提示してくれるのか、期待感を持って審査にあたりました。

サステナビリティというテーマで大胆な課題設定をすることは難しいかもしれないという懸念もありましたが、それにも関わらず今回は、着眼点の面白さやユニークさが際立つ作品が多く見られたことが大きな特徴です。2050年の社会について、地に足をつけて実直に描き、高い実現性を感じられるアイデアや、我々の想像を超えるような予想外の大胆なアイデアを提示する作品もありました。

特に大学生からは、例年以上に未来を感じさせてくれる、チャレンジングで斬新な提案が集まりました。30年後の自分をイメージしながら、課題を自分事として捉え、解決に向けた熱意を感じさせる作品が多かったのも特徴です。調査力や文章力も優れ、総じて論文としての完成度が高かった印象です。

高校生の論文については、扱うテーマのオリジナリティや着眼点の良さが目立っていました。高校生らしい視点で、身近なことから未来社会に向けて構想を広げ、興味深い思考の展開が見られる作品や、広い視野で課題を考察する作品がありました。

また、全体として、今ある社会課題を2つ3つとつなげて解決策を模索し、新しい価値を生もうとする作品が複数あったのも印象的でした。学生のみなさんには、今起こっている問題をさまざまな角度から調べて深く理解し、その上で2050年の未来社会に対して想像力を羽ばたかせ、現在からの延長線ではない未来を描き、実現していくことを期待しています。

各入賞論文の評価のポイント

【大学生の部】

大賞
「もっと頑張れ」と大人たちは言うけれど ~教育格差是正のための社会構想~
上野 暖登さん 同志社大学 グローバル・コミュニケーション学部 3年
(評価のポイント) 日本の教育格差是正のために、教育サービスを非市場化して国民の共有財とし、優れた教育コンテンツに全ての人がアクセスできるようにする「教育アーカイブ制度」と、世帯所得に応じて教育サービス券を配布し、学習塾やそれ以外の教育サービスにも利用できる「教育バウチャー」の導入を提案。教育の自由化の名の下に急激に進む教育の市場化への危機意識を具体的な提案に結び付け、次の時代の教育システム像を示している。公的な取組みとしたときの課題を踏まえた実直かつリアリティある解決策で、筆者の本気度合いや熱意が伝わる。言葉選びが俊逸で文章力が高く、論展開もあざやかで、論文としての完成度が高い。

優秀賞
ITの利用で「誰一人」取り残さない医療を目指して
河野 亜希さん 福井大学 医学部 医学科 5年
(評価のポイント) 医療の高度化・細分化が進み、患者本人の精神状態が置き去りにされているという問題に対し、「誰一人」取り残さない社会を実現するためにITを活用し、患者の日記から感情を分析してデジタルアートで表現する自作アプリ「AURA」を提案。コンテストのテーマ詳細文に違和感を持ち、問題提起をする批判的精神が好ましい。医学生として医療の現状課題を主観・客観両面から分かりやすく提示しており、その深い考察と問題把握に説得力がある。他力本願ではなく、自ら課題を解決しようとする強い意志と行動力を高く評価した。患者の精神状態をアートで表現するアイデアも興味深い。実現への期待感を強く抱かせる提案である。

特別審査委員賞
Space Sarcopenia Station ~人生はもっと輝ける~
黒松 俊吾さん 大阪公立大学 医学部 医学科 4年
(評価のポイント) 高齢化が進み、加齢により全身の筋力が落ちていく病態「サルコペニア」の人が増え、身体の不調を抱えながら不自由な老後を送る現状を変えたいという想いから、筋力の衰えた高齢者が微小重力の環境でサルコペニアから解放されて快適に暮らせる宇宙の老人ホーム「宇宙サルコペニアステーション」を提案。地球を見ながら晩年を過ごすとは仰天のアイデアで、極めてユニークかつ斬新、興味深い未来予想図であることを評価した。実現性は未知数だが、老後の人生や疾患を宇宙に行けることでポジティブなものに変えたいという宇宙医学を志す筆者の想いが響く。具体的アイデアや実現への課題をていねいに論述している点も良い。

留学生特別賞
ようこそ2050年グリーンシティへ ~緑の天国一日体験ツアー~
呉 小優さん 淑徳日本語学校
(評価のポイント) 2050年には現在の80億人から100億人に達すると予想される世界人口爆発や、地球温暖化により懸念される食糧不足問題を解決するために、高度化したバイオテクノロジーとAI技術を基盤としたスマート垂直農業による緑豊かな都市、「2050年のグリーンシティ」の構築を提案。コンテストのテーマに基づき、2050年という時間軸で未来予想図を具体的に構想している点を高く評価した。SF小説のような描写が効果的で、筆者が描く未来像を読者に難なくイメージさせる。ファクトや事例の使い方が上手で、説得力がある。構成も良く、読みやすい論文であった。

【高校生の部】

大賞
「救うべくして救った命」
倉持 葵成さん 本庄東高等学校2年
(評価のポイント) 救命救急の資格取得の経験から得た、救命には自主的に動くことができ、体力と知識のある多くの人が必要だという学びから、救命講習の受講率向上および緊急時に救命に携われる人を集めるアプリを開発・導入することを提案。一般の人々をネットワークでつなぎ、臨機応変に救命チームを結成できるという意味で画期的なアイデアであり、高く評価した。アプリに含めるべき機能の考察も的確で、未来社会では「本来ならば救えた命」を「救うべくして救った命」に変えたいという主張に説得力がある。地域の大きな財産になると思われ、実現への期待感を抱かせる。

優秀賞
「Active School」の導入によって健康的な未来を築こう
児玉 夏楓さん 立命館慶祥高等学校3年
(評価のポイント) 長時間の座位はさまざまな疾患の発症リスクを高めることから、身体を動かす習慣をつけて生涯の座位時間を減らし、健康的な未来を送ることを目的に、小学校の授業にグループワークやフィールドワーク、身体を動かしながら外国語を学ぶなど、身体を動かす要素を取り入れた「Active School」プログラムを提案。まず、日本人の座位時間が1日7時間と世界一長いことに着目した点が、ユニークで面白い。フィンランドの学校で導入されている「Schools on the Move」を研究するなど、グローバルな視点と視野の広さも感じられる。広く深く調査した内容をコンパクトに記述することで主張の納得性を高めており、論文構成も優れている。

優秀賞
アグリベンチャー「Lemna」 ーアオウキクサを捨てない世界にー
土屋 春己さん 東京都立両国高等学校2年
(評価のポイント) 自身のアクアリウム製作経験から身近な植物「アオウキクサ」に着目し、その増殖力の強さやたんぱく質含有量の多さ、バイオマス燃料としての可能性から、地球温暖化や食糧危機、エネルギー問題への対策として大都市屋上の農園化ビジネス「Lemna」(ウキクサの学名)を提案。水槽の厄介者を社会課題の解決に活用するという着眼点や発想の豊かさを高く評価した。文章力が高く、ドラマチックかつ緩急をつけて読み手を飽きさせない。ビジネスのメリット・デメリットをロジカルに整理しており、考察力にも優れ、論文としてのバランスが良い。生物の生命力を活用した応用が他にもあるのだろうと期待感を高めてくれる提案であった。

特別審査委員賞
新しい支援の仕方「Cycleプロジェクト」で支援される側を主役に
阿武 和奏さん 市川高等学校1年
(評価のポイント) 安全な水が手に入らず、公衆衛生が悪いために命を落とす人が多いアフリカで、プロジェクト参加者がプラスチックごみを回収→ケミカルリサイクル→携帯用浄水ボトルを製造→欧米で販売・一部は現地で無料配布→利益を現地の参加者に分配するという「Cycleプロジェクト」を提案。先進国主導ではなく、運営や製造はアフリカで行い、アフリカに暮らす人々が同じ地に暮らす人々を助ける循環サイクルを生み出すアイデアであることを高く評価した。緻密な問題分析とストーリーで、水問題と都市廃棄物問題を同時に解決する提案であり、実現性も高い。アフリカの自立を促すことにこだわった筆者の強い意志がうかがえ、審査委員の共感を集めた。

特別審査委員賞
Flying Emergency Hospital ー医療に進化を人類に安心をー
勝田 真悠さん 宮城学院高等学校1年
(評価のポイント) 「誰もが平等に、素早く、正確な治療を受けることができる社会」という未来予想図の実現に向けて、救急医療が抱える医師不足や地域格差、患者のたらい回しなどの課題に対して、大型ドローンに遠隔手術ロボットを搭載した未来型救急医療航空機「Flying Emergency Hospital―空飛ぶ救急病院」を提案。ようやく拡大・定着してきたドクターヘリの将来を描き、想像力を発揮して次世代・未来の救急医療の可能性を大胆に提案している。現実の課題をしっかりと見つめながら論理的に解決策を述べており、説得力を高めている。自身のフライトドクターになる夢を起点に、未来に向けた強い想いを持って提案する姿勢も評価を押し上げた。

「NRI学生小論文コンテスト2022」の概要

  • 1.対象

    全国の大学院生、大学生、高校生

  • 2.テーマ

    Share the Next Values!
    「サステナブル未来予想図 ~次の主役はわたしたち!2050年の社会を描こう~」

  • 3.審査プロセス

    (1)事務局による予備審査

    (2)NRIグループ社員による一次審査

    (3)論文審査委員による二次審査(論文審査)

    (4)最終審査委員による最終審査(プレゼンテーション審査)

    ※プレゼンテーション審査以外の審査プロセスは、応募者の学校名・名前などの属性を秘匿した上で、厳正に実施

  • 4.論文審査委員(6名)

    審査委員長

    桑津浩太郎(NRI研究理事)

    特別審査委員

    池上彰氏(ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授)

    最相葉月氏(ノンフィクションライター)

    審査委員

    NRI社員3名

  • 5.最終審査委員(9名)

    論文審査委員、NRI役職員など

  • 6.賞金

    優秀作品には副賞として下記の賞金を授与

    【大学生の部】

    大賞 50万円
    優秀賞、特別審査委員賞および留学生特別賞 25万円
    敢闘賞 10万円
    奨励賞 5万円

    【高校生の部】

    大賞 30万円
    優秀賞および特別審査委員賞 15万円
    敢闘賞 6万円
    奨励賞 3万円

  • 7.結果発表

    全ての賞を12月19日にNRI公式サイトで発表

    (敢闘賞・奨励賞以外は、最終審査会にてプレゼンテーションを実施)

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn