M&AによるEV向けメカトロニクス強化「PMI-戦略・ガバナンス統合」

部品メーカがEV向けメカトロニクス強化のためのM&Aを行う際には、事業開発までつなげる高度なPMIが求められます。

EV化に向けて、部品メーカはメカトロニクス全体の強化が必要

クルマのEV化で部品点数は約4割減少します。特に、エンジンや駆動系の機械部品を扱う部品メーカにとって、その影響は破壊的です。何も手を打たなければ、企業再編・淘汰の渦に飲み込まれてしまうでしょう。
部品メーカはEV化の流れを過小評価せず、EV向け事業の強化を進めるタイミングにあります。部品点数が減少するEVにおいて、部品メーカが事業規模を維持・拡大するためには、部品からユニット、システムへと事業領域の拡大が不可欠です。
EVシステムを展開するためには、従来の強みである素形材成形・機械加工に加え、制御システム・電子・ソフト領域を強化し、メカトロニクス全体としての能力向上が必要となります。

メカトロニクス強化に向けたM&Aにおいては、高度なPMIが必要

メカトロニクス強化に向けたM&Aにおいては、高度なPMIが必要Vシステム強化に向けては、自社のみでは対応しきれず、M&Aを行う企業も増加しています。しかし、十分なシナジーを得られていない買収案件が多いのも事実であり、最悪の場合、買収時に計上したのれん代の減損に至るケースも出ています。
買収によりEVシステムの技術的なピースが揃ったとしても十分ではありません。自らのマーケティングに基づき売れるシステムを企画し、自動車メーカごとに異なるニーズを踏まえた協業体制や適合開発体制が必須となります。
減損リスクを確実に回避するためには、これらのビジネスモデル強化に向けた高度なPMI(Post Merger Integration)が求められます。

■ メカトロニクス強化に向けたM&AにおけるPMIの必要性

NRIは、EV化対応などの高度なすり合わせが必要なM&Aにおいて、戦略統合からガバナンス設計まで包括的に支援します。

持続的シナジー実現に向けた戦略及びガバナンス統合の支援

企業による買収の失敗要因の多くは、戦略面とガバナンス面の統合の不備にあるとNRIは分析しています。
持続的にシナジーを実現するためには、クロスセルや共同調達などの短期の施策だけでは不十分です。どのようシステムを開発し、どの顧客にどのように売っていくのかという中長期の戦略の一致が強く求められます。
また、その中長期戦略を確実に推進するために、本社から被買収企業に対する経営管理や評価、責任と権限などのガバナンス体系の設計も重要となります。
NRIは、自動車業界と組織管理の専門家チームにより、戦略とガバナンスを重視したPMI支援を行っています。

ケース:欧州の被買収企業との中長期戦略の合意支援

ある機械系自動車部品メーカは、海外顧客基盤の拡大、将来的なEVシステムの開発強化を目的に、海外の部品メーカを買収しました。
買収完了後、両社が集まった最初の会議で、NRIはマーケットの長期的な見通しをプレゼンし、戦略統合の前提となる市場環境に対する共通認識作りを支援しました。その後、NRIは、業界知見に基づき、有望なEVシステム領域を提示し、両社の中長期戦略の合意を支援しました。
最終的にはその戦略を確実に推進するための、100項目近くに及ぶイニシアチブリスト(活動項目と目標値)の設計、KPIの設定、被買収企業の役員の責任権限や本社へのレポートラインなどのガバナンス体系までを設計しました。

■ NRIのPMI支援サービスの特徴

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素材事業のソリューション展開「バリューチェーン拡大に向けたM&A」

素材産業も、モノからサービスへ。素材とサービスを組み合わせたソリューションで、顧客課題をダイレクトに解決することが必要です。

自動車産業は破壊的変化により顧客の課題は複雑、多様化

欧州におけるガソリン車販売規制を発端に、自動車産業は急速な電動化、低燃費化に向けて動き出しています。また、自動運転技術やデジタル化により、移動手段・居住空間としての自動車、さらにはその開発・設計のあり方も大きく変化しつつあります。
結果として、自動車メーカ、部品メーカに必要とされる能力やノウハウも変化しています。業務のデジタル化に加え、部品設計、使用される素材、その加工方法から抜本的な見直しを迫られるものも少なくありません。
自動車メーカ、部品メーカにとっても、限られたリソースでこれらの課題を解決することは容易でありません。

他社リソースも活用した、素材+αの課題解決能力獲得が急務

素材メーカにとっては、これまで以上に主体的に、的確な解決方法を提案することが求められています。
一方で、顧客からのRFQに応じた自社素材提供だけでなく、生産・加工方法や、部品レベルでの使われ方を含めた提案が必要になってきています。
最終顧客(自動車メーカ)との共同開発や、開発・製造プロセスの効率化/代替により、高付加価値化、コア業務への集中を支援することも求められます。
ただし、それらの能力は多くの場合、素材メーカ以外の領域でもあり、他社リソースも活用した急速な顧客価値向上が求められます。

■ 素材以外の機能も活用した課題解決機能の獲得

NRIは、素材メーカのソリューション化に向けた、提携/M&Aを戦略から実行、統合までご支援可能です。

自動車産業の深い理解に基づいた戦略的意義の高いM&A支援

顧客に対する価値提供に向けた機能拡充には、M&Aや提携も有効な手段となります。NRIは、自動車産業の深い理解を基に、付加価値向上に向けた提携・買収を戦略からPMIまでご支援致します。
戦略フェーズでは自動車の知見を基に、まずは買収を前提とせず、効果・実行性の高い戦略策定をご支援致します。
提携交渉・ディールフェーズではM&Aの経験豊富なコンサルタントが、外部専門家(投資銀行、弁護士や会計士)と共に交渉を円滑に進めます。
統合フェーズでは、M&A専門家に加え、人事・システムなどの機能専門家が一体になり、戦略から業務までの円滑な統合を現地で支援いたします。

ケース:海外でのM&Aにより、高付加価値化とグローバル展開をご支援

NRIは、ある日系企業に対して事業戦略/M&Aのプロとして海外M&Aをご支援しました。戦略フェーズでは、NRIは各国のニーズ、業界構造、成功要因を分析した上で、成長戦略を策定しました。その上で、有望と思われる提携先候補の顧客からの評価(VoC)を収集することで、提携の効果検証も合わせて実施しました。
また、続くフェーズでは買収可能性のある企業への匿名でのサウンディングからはじめ、お客様に寄り添い交渉をご支援しました。その中で、対象企業とは戦略、業務レベルでのすり合わせも行い、買収の合意に至りました。事前の入念なすり合わせもあり、買収後のPMIは、顧客、被買収企業と一体になった非常に円滑なものとなりました。

* Voice of Customers

■ NRIの新興国を活用した調達改革サービスの特徴

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クルマの電動化に伴う戦略再構築「新ビジネスモデルづくり」

電動化を支える電池ビジネスでは、サプライチェーンの強化と電池の利用者負担のビジネスモデルによる収益性改善が必要です。

急速な電動化で逼迫する電池需給

欧州・中国をはじめとしてクルマの電動化が急速に進みつつあります。電動車普及政策は購入補助・免税などの補助金型から内燃機関搭載車の販売禁止やNEV規制などの強制型に移行しつつあります。またディーゼルゲートに端を発し、OEMは電動化戦略に舵を切り、積極的な販売目標を発表しており、急拡大が予想されます。
一方で電動車市場の急拡大を、リチウムイオン電池(LIB)業界側からみると、今までの市場拡大トレンドと比べて急激すぎる需要拡大に供給が追いつかない可能性を指摘せざるを得ません。電池・材料メーカの設備投資、資源確保、電池設備の供給など、サプライチェーン上のボトルネックの解消が喫緊の課題となっています。

EV普及に欠かせないビジネスモデル開発

現在の自動車業界の役割分担をメーカ、ディーラー、燃料会社に大別すると、EV社会では燃料会社の収益性が低く、エコシステムが成立しません。このため収益性が確保できるような適切な役割分担が必要となります。
また電池コストが高いため、ガソリン車並の航続距離を実現するEVを作ると非常に高価となり需要が小さくなります。
技術開発による電池のコストダウンには限界があるので、事業上の工夫で電池の実質的なコストダウンを実現することが求められています。具体的には電池リユースによる中古電池市場の創出、車載電池を活用した電力系統の調整など、ライフサイクルで見た電池費用の利用者負担を実現します。
上記のような課題を解決するビジネスモデルづくりと、その実証・実行が求められています。

■ 楽観的な電動化シナリオのもとでのLIB市場予測       ■EV時代のビジネスモデル

NRIは業界知見を活かし、電動車事業・電池及び材料事業において、 クライアントの強みを活かした戦略提案と、その実行支援が可能です。

精度の高い情報・多面的分析による予測・戦略構築と専門的な実行支援

NRIは、20年以上の業界研究による蓄積がある、クルマの電動化と電池の分野で定評があります。
市場予測は、政策・ユーザ・メーカ・技術といった多面的分析が特徴です。豊富な業界ネットワークによる精度の高い情報と、ユーザニーズのアンケートなどによる需給両サイドから将来の姿を描出しています。また政策動向は調査活動に加え、意思決定プロセスやキーマンの特定などルールメークのための実行支援まで行っています。
新規参入戦略では、業界慣習の違いや特許をリスクとして捉え、戦略に盛り込むことが重要です。特許分析ではNRIサイバーパテントとの協力体制を整えています。
戦略を描いた後、実行段階ではリソース不足が課題となることが少なくありません。開発工数不足を解消するための、効率化・リソースアロケーション・アウトソーシングなどで、確実な戦略実行を支援しています。

ケース:電動車市場予測とビジネスモデル構築支援

2015年のディーゼルゲート後、各政府は内燃機関搭載車の販売禁止方針を打ち出し、欧州OEMは電動車戦略を強化しました。NRIは、この電動車シフトの実現性について、いち早くリチウムイオン電池市場の逼迫とサプライチェーンのボトルネックを指摘し、安定調達策を提言しました。材料・電池・自動車・電力といったバリューチェーン全体の知見を活かしました。
続いてEV・PHEVシフトの実現に必要な電池の低コスト化について、積み上げコスト分析を実施したところ、目標コスト到達が相当難しいことが判明、ビジネスモデルによる低コスト化を提言しました。
ビジネスモデル構築では、業界ネットワークから得ていた海外の先進動向も踏まえ、リユース・V2Gをはじめとした事業領域の拡大を提案しました。クライアントの強みを活かしたコア技術の特定と活用方法まで検討しました。

■ NRIの電動車・電池関連サービスの特徴

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新興国活用による更なるコストダウン「調達改革」

強まるコストダウン要請に対して、地場サプライヤの力を活用し、新興国を積極的にバリューチェーンに組み込むことが肝要です。

新興国市場の重要性が増すなかで、一層厳しくなりつつあるコストダウン要請

先進国市場の新車販売台数が頭打ちとなる一方、中国を筆頭とする新興国市場の重要性が高まっております。このような中、自動車メーカ・部品メーカにとって、「コストダウン」は避けて通れないテーマです。中間層の台頭、及び環境・安全規制の強化を受けて、新興国では「手頃な値段で買える、高機能なクルマ」が求められており、メーカは「安価なモノづくり」に磨きをかける必要があります。
エンドユーザーからの厳しい価格要求に伴い、自動車メーカから部品メーカへのコストダウン要請も一層厳しさを増しています。既に、先進国中心のオペレーションでは固定費の増加に耐えられない時代が到来。部品メーカにとっては、新興国を活用したコストダウンを、不退転の覚悟をもって実現することが求められています。

地場サプライヤの力を活用し、新興国をバリューチェーンに組み込む必要性

新興国では、地場サプライヤの台頭が顕著です。地場サプライヤは、安い労務費・品質の割り切りなどで実現したアグレッシブな低価格設定で、自動車メーカへの拡販を加速させています。特に中国・インドでは、地場の素材メーカや金型メーカの存在といった、「産業のすそ野の幅広さ」を活かし、自ら創意工夫しコストダウンを行うメーカも増えてきました。また、アフター市場向けの部品に目を向けると、中国などは世界中への部品供給を担うようになり、部品の品質向上も相まって、OEM純正部品にも使用され始めています。
このような状況下、先進的な欧米系サプライヤは、積極的な現地調達・機能移管を進め、中国・インドのオペレーションを強化。地場サプライヤとの連携を強化し、コストダウンを図っています。

■ 新興国におけるコストダウン要請と競争激化の構図

NRIは、新興国を活用した調達戦略立案から、調達先探索まで調達改革を包括的に支援します。

新興国に深く根づいた拠点体制で、地場サプライヤとのパートナリングを支援

NRIは、有望サプライヤが多く存在するアジア地域において、特に充実した拠点体制を整えております。NRIの各海外拠点は、日頃から、現地の業界団体や地場サプライヤと強固なネットワークを構築。有望サプライヤの探索や評価・選定においては、NRI自らがサプライヤにコンタクトを行い、お客様の交渉をご支援いたします。
また、NRIの特徴として、単なる有望サプライヤの探索のみならず、その前段階の調達戦略立案もご支援しております。「事業環境分析」では、マクロな視点から、国別の強みや課題を分析。また、市場調査も行うことで、どのような環境下で部品が使用されるのか、といった具体調査も実施します。その上で、調達国・調達部品・価格といった「ターゲット設定」を実施。その後の「シミュレーション」では、調達先変更によるコストメリットや、各種リスクに対する感度などを分析いたします。

ケース:インドにおけるパワートレイン部品の新規調達先探索、及び協業検討

NRIは、インドにおける強固な業界ネットワークを活用し、パワートレイン部品の新規調達先探索、及び抽出された企業との協業可能性の検討に伴走しました。
企業探索フェーズでは、1) お客様の経営課題に則った、新規調達先に求められる能力の明確化、及びあるべき協業の姿の明確化を図り、2) NRI独自のデータベース活用、及び現地業界団体・地場有力企業へのインタビューにより、短期間でロングリストを作成しました。
ロングリスト作成時においては、デスクトップ調査のみならず、有望企業へのNRIによるソフトサウンディングにより、QCDDMの観点から企業を評価し、有望企業を抽出しました。評価・選定フェーズでは、実際にお客様を潜在調達先の地場サプライヤにお連れし、具体的な交渉を側面支援。その後の協業可能性についても、議論・交渉を実施しました。

■ NRIの新興国を活用した調達改革サービスの特徴

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