製造業の生き残りをかけた事業転換の羅針盤 「デジタル中期計画策定」
世界がデジタル技術の活用によりビジネス・イノベーションに動いている中で、企業のビジネスモデルを戦略レベルから再構築します。
デジタル化に伴いビジネスモデル・価値提供のあり方が問われている
ドイツによるIndustry4.0や中国による中国製造2025をはじめ、産業のデジタル化が世界中で大きく始まっています。開発から製造・販売を自社で担ってきた製造業のあり方が、デジタル技術の進展で大きく変わろうとしています。例えば工場・ラインの設計・調達・据付までをフルターンキーで担うラインビルダや、開発・製造・サービス等の各機能をソフト/IoTでデータ統合しサービスを提供するプラットフォーマー(PFer)、PFerに自社ノウハウを提供するサービサー等新たな価値提供者が台頭しています。これらの機能分断の中で、個々の技術/機能自体よりも、デジタル技術を活用した製造業のビジネスモデル・価値提供のあり方が問われています。
日本企業は局所的・短期志向的なアプローチで「現場の見える化」等に留まる
日本企業の取り組みは局所最適的なアプローチに留まり、経営・ビジネスモデル高度化まで取り組めていない企業が多い状況です。(下記はその背景)
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全体感を持った推進役の不在による局所検討
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経営・事業部・IT部門での業務範囲・ケイパビリティ・認識のギャップ、縦割り化
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ROI・リスク回避主義による短期志向投資
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PF型ビジネス等収益化に時間がかかる事業や、データ基盤整備等のROIが見えずらい投資の躊躇
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オープンイノベーションの欠如・技術PoCへのこだわり
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自前主義・活用ベンダのブランド/過去実績重視
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技術を活用したビジネスモデル実証の観点欠如
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■ デジタル化による製造業のバリューチェーンの分断・新たな価値の創出
NRIは中長期の事業転換戦略と、デジタルトランスフォーメーションの施策ステップ/ロードマップ具体化・実行組織設計を支援します。
デジタル化に伴う戦略転換・施策ロードマップ具体化・組織設計を支援
デジタル化を踏まえた事業転換・経営戦略検討においては、技術自体よりも、「それを活用して何を実現したいのか」、「どのようなビジネスモデルを構築したいのか」の観点での議論が重要となります。NRIは、デジタル化によるビジネスモデル転換アプローチや、製造業の既存オペレーションの現状とボトルネックの深い理解をもとに、デジタル技術を活用したビジネスモデル・事業転換を戦略から施策具体化、推進組織設計までご支援します。戦略策定においては各役員・経営陣の合意形成を図るとともに、実行ロードマップ具体化においては各領域のキーマンとなる本部長や、部課長クラスとの綿密な議論を通じて策定し、実行可能なアクション策定をご支援します。その上で、それら戦略・アクションが実行されるためのリーダー育成を含めた組織設計や、オペレーション・ガバナンスの設計までをご支援します。
ケース: 日系部品製造業企業の全社デジタル中期計画策定を支援
NRIはある日系部品製造業企業に対して全社デジタル中期戦略策定をご支援しました。戦略フェーズではお客様の取り巻く産業のデジタル化を踏まえた業界構造・競争環境の変化を踏まえ、あるべきビジネスモデル・提供価値を含む長期デジタル経営戦略を役員合宿等を通じて策定しました。具体化フェーズでは、上記の大枠に基づき、事業実行のキーマンとなる本部長や部課長クラスとの議論を通じた施策ロードマップ・ステップの具体化を行いました。その結果を踏まえ、役員合宿にてデジタル中期経営戦略と各役員のコミットメントを設定した上で、各施策を実行していくためのデジタル推進役員や組織・チーム設計を行いました。デジタル化に向けた戦略・実行具体計画を役員や各キーマンが合意形成する場を持つこと、推進組織を設計することにより、円滑にデジタル中計策定が進みました。
■ NRIのデジタル中計策定サービスの特徴
ホワイトカラーの生産性向上「RPA」
ホワイトカラーの定型業務をロボット(RPA)に代替して生産性を向上する取り組みが必要です。
RPAは生産性向上に加え、将来的にAIと連携したサービス高度化を担います
日本の生産年齢人口は減少期に入り、日本企業は永続的に労働力不足対策に取り組む必要があります。その中で、定型業務を自動化できるRobotic Process Automation(以下RPA)が注目を浴びています。RPAとは、人がパソコン画面上で行っている定型業務を、パソコン上のロボットで自動化させる技術です。日本では、2016年以降、定型業務を多く持つ金融機関やサービス業で導入が進んでいきました。RPAの効果は、投入時間の削減、作業の高速化、または作業品質の向上(ミス率の削減)になります。将来的にはAI関連技術の発展との連携により、より高度な業務を担うことが予想されます。
製造業のR&D業務でもRPA導入が進みます
2017年に入ってからは業種業界を問わずRPA導入が進みました。これまでRPA導入の中心であった総務人事経理、バックオフィス業務だけでなく、製造業のR&D業務においても、導入事例が見られるようになりました。R&D部門では、エンジニアの開発リソースが慢性的に逼迫しています。その中で、例えばエンジニアによる実験データの転記といった定型業務でRPA導入が見込まれたり、またある会社では管理職が定型業務を行うなど、人材レベルと業務レベルがあっていないケースでのRPA導入が進んでいます。R&D部門でも定型業務をRPAで自動化できるシーンが存在しており、浮いたリソースをより付加価値の高い業務に投じることが期待されます。
■ RPA導入による効果
■ RPA導入業務の多様化
NRIは働き方改革、デジタル変革を目的に、RPA導入の計画策定、開発、運用までの一貫したソリューション提供が可能です。
現場主導でRPAを活用して、業務改善を進める理想的な組織作りを支援します
RPAの良さの1つは簡単に使える点です。そのためこれまでのITシステム開発にみられる情報システム部門主導による導入だけでなく、現場主導でのRPA導入が可能です。RPA導入は、現場の方が、自分の業務効率化を主体的に進める理想的な組織に変革する可能性を秘めています。しかし、この導入のしやすさが裏目に出て、現場で開発したRPAがサーバーに負荷をかけ、サーバーをダウンをさせたり、複数部署で異なるツールを使ったため管理コストが増加したり、RPAが社内機密情報の収集に悪用されるといったリスクも存在するのです。そのため、RPAを全社に展開するには、RPAの管理ルールを定める必要があります。NRIは、RPAならではのリスクに配慮して、RPA導入の計画策定、開発、運用までの一貫したソリューションを提供しています。
ケース:RPA導入を円滑に進める集権的組織‘CoE’の構築・運営が効果的です
RPAの導入には、現場、IT部門に加えて、業務改革部隊との連携が不可欠になります。NRIは、RPA導入を目的として、ロボット導入台数をKPIに設定して進めるよりも、業務改革の1ツールとしてRPAを捉えることで、RPAを必要な場所に効果的に導入することを進めています。
NRIは全社での業務改善、RPA活用を進めるため、改革に必要な専門部隊であるCenter of Excellence
(CoE)を構築したRPAツールの導入にとどまらない継続的な業務改善を提案しています。またCoEは各現場で蓄積されたRPA導入のナレッジ、組織全体で形式知として体系的に管理する狙いも持ちます。また企業固有のガバナンス事項を中央に集約して、リスクに備えることができます。これにより、企業はCoEに集約したナレッジを活用して業務改善・RPA活用の全社展開を進めることができるようになります。
■ NRIによるRPA導入プロセス
■ 業務改善・RPA導入専門部隊CoEの組成
デジタル時代のトータルバリューチェーンデザイン「サプライチェーンのアップデート」
一つ一つの部品や、一人一人の顧客が識別できる時代が到来。
サプライチェーン全域に渡る機能強化への備えが必要です。
Industry4.0を発端に、IoTなどの新たなデジタル技術が企業経営と密連携を始める
IoTとビッグデータ処理技術の登場により、一つの部品、一台の製造設備、一人の顧客を識別し、それぞれの動きを追跡することが可能になりました。ドイツでは、産官学が連携して「Industry4.0」を進め、このようなデジタル技術を使って製造業のあり方に革新をもたらそうとしています。
結果、垂直統合的な製造業の競争原理に、水平分業的なITの競争原理が加えられることになり、社外で開発された「ベストプラクティス」を素早く自社の経営や業務プロセスに取り込む能力がなければ、他社との競争に劣後する事になります。
自社の強みを活かしつつ、新たな戦い方を取り込む構想力とスピードが、企業の競争力の一つになるのです。
サプライチェーンの全域に渡って、新たな業務とシステムのあり方のデザインが必要
経営とデジタル技術の密連携の代表例と言えるのが「マス・カスタマイズ」です。これは、一人一人の顧客が満足できるよう、膨大なオプションメニューを用意しておこうという考え方です。
マス・カスタマイズを実現するには、幅広いサプライヤーからの機動的な「調達」、一個流し品ごとの仕様変更に対応できる「生産」、デジタルチャネルも使った顧客個人への「販売」、きめ細かな「物流」、これら全てを支える「システム」のすべてを高いレベルで揃えることが必要になります。
そのためには、サプライチェーンの全域に渡り、あるべき業務とシステムの姿をデザインすることが必要なのです。
■ IoTなどの新たなデジタル技術と企業経営の密連携
NRIは、自動車産業とITを深く理解したコンサルタントによる、サプライチェーンのアップデートの総合的なご支援が可能です。
自動車事業とITを深く理解したコンサルタントがIoT活用の検討を支援
経営とIoTの密連携実現に向けた検討を進める際に、多くの企業で問題になっているのが、検討の中核となる「ビジネスIT人材/チーム」の不足です。NRIは、従来から自動車産業において多数のプロジェクト経験を重ねており、自動車産業に対する豊富な知見を蓄積しています。同時に、システム開発事業では、証券や流通に代表される大量のデータを扱うIT基盤やシステムの開発・運用にも携わってきました。これらの経験を持ったコンサルティング人材とITソリューション人材が一体となったチームとして活動することで、貴社に最適なデジタル技術活用の実現を支援致します。
サプライチェーンデザインの分野においても、全体のコンサルティングから、LLamaSoftを始めとするパッケージソフトウエアを活用したシステム開発のご提案まで、ベンダーフリーで最適なソリューションのご提案が可能です。
ケース:工場におけるIoTの活用検討プロジェクトのPMO支援
NRIは、工場におけるIoT活用のための構想策定からベンダーコントロールにわたるPMOを実施しました。
まず、IoTの導入の意義を定義し、事業とシステムのコンセプトを策定する「システム化コンセプト」の策定を行いつつ、IoTのインパクトを評価・理解するためのPoC*を設計し、ベンダー選定や交渉を支援しました。ここでは、生産技術部を中心とした顧客企業側IoT検討担当者と、NRIの事業コンサルタント、およびシステムコンサルタントが一体となってビジネスIT検討チームを組織しました。
システム化コンセプト策定に続き、本格的なシステム構築を行うための利用シーンの詳細化や、システム要件への落とし込みを支援し、パッケージ商品を利用しつつ、企業としての独自性・ITベンダー選択の自由度を確保するための検討・提案も行いました。システム化コンセプトを有効に機能させるため、経営戦略とIT計画の接点となるIT中期計画の策定や、企業の強みの実現を支えるためのITアーキテクチャコンセプトの設計にもNRIは経験を有しています。
* PoC: Proof of Concept
■ NRIのIoT活用検討支援サービスの特徴
顧客データを活用した次世代販売改革「デジタルマーケティング」
破壊的なデジタルマーケティングモデルが実現されつつある中、アナリティクスを活用した次世代の販売モデルへの改革が急務です。
圧倒的な顧客データを持つITプラットフォーマーの破壊的ビジネスモデル
ITサービスや携帯端末の急速な普及により、デジタル情報は自動車やサービス・アクセサリーなどの購買行動に決定的な影響を与える存在になりました。
デジタル情報の提供媒体であるITプラットフォーマーは、圧倒的な量の購買行動データの解析を武器に、従来の販売モデルに破壊的な影響を与えつつあります。例えば中国では、ITプラットフォーマーが顧客データから自動車の購入見込みを判定し、販売店に購入見込み度の高いリーズ顧客を送客し紹介料を獲得、従来はメーカ・ディーラーに閉じていた流通・販売構造に風穴を空けつつあります。
ITプラットフォーマーを活用する一方、メーカ・ディーラーの持つ顧客・車輌データを活かした独自の次世代販売モデル構築が必要です。
保有客データのアナリティクスを活用した次世代の販売モデルの必要性
顧客の嗜好は多様化し不透明になる一方、ディーラーの業務量は膨れ、商品は複雑化しています。お客様のニーズに適合した購買体験を提供することは、これまで以上に困難になりつつあります。
メーカや販売店は、過去膨大な顧客データを蓄積してきました。しかし多くのデータは活用されておらず、また活用されてもコールセンター応対やダイレクトメール発信などに留まります。人手に頼るオペレーションが多く、個性化された購買体験を提供できる状態ではありません。
嗜好の多様性に対応する販売モデルを実現するには、顧客データのアナリティクスによりこれまで以上に顧客へのインサイトを獲得することが急務です。
■ デジタルマーケティングがもたらす流通・販売の構造変化
NRIは、アナリティクスを活用したデジタルマーケティングへのトランスフォメーションをご支援可能です。
データの解析から業務改革の実行支援まで一環した変革を支援
NRIは自動車流通・販売業界への深い知見のみならず、経営からITまで一貫したソリューションとデジタルトランスフォメーションの豊富な実績、中国では高徳信息技術有限公司(アリババグループ子会社)との協業などによるビッグデータへのアクセスなど、販売モデル改革の力強い実現を支援する強みを持っています。
経営課題の診断でデータ活用の実効性の高い業務領域を見極めた後、NRIのデータサイエンティストが課題に応じた最適なアナリティクスを駆使し、店舗とお客様の絆作りにフィットする解析を実施します。また中国では、高徳と連携し新車販売~入庫誘致業務の構築もご提案可能です。
新たな業務モデル構築では、PoC(概念実証)を繰り返しながら、定着上の課題抽出とチューニング、その後の本格展開に向けたシステム構築までご支援します。
ケース:「見込み客」を予測し、販売店の営業業務の高度化をご支援
NRIは、経営課題分析から顧客データ解析まで一貫したソリューションをご提案出来る強みを活かし、販売店の持つ過去約20年分の取引データを解析を通じて、代替見込み客を高精度に予測するモデルの構築と、このモデルを活用した販売店の営業活動を高度化・効率化を実現するご支援を実施しました。
このケースでは、ある時点から一定期間以内に自動車を代替えする見込みのある保有顧客を特定し、現場の営業スタッフの提案活動を実施する上での指標として業務に取り入れました。代替見込みは、確率別にランク表記され、提案活動の優先順位付けの指標に活用することが可能になりました。
また従来は現場の営業スタッフにしかわからなかった見込み客情報を、営業マネージャーや営業本部にも見える化することにより、よりタイムリーなマーケティング施策を実現するプラットフォームを構築しました。