ChatGPTをはじめとする生成AIは個人の作業効率化を手助けするだけでなく、ビジネスや業務において幅広い活用が期待されています。
NRIではお客様のビジネスと業務を深く理解し、真の課題解決に向けた活用をご支援します。
近年、企業のコンプライアンス遵守の重要性が増す一方、人力でのチェックには人的コストと対応品質のバラツキが発生します。
今回は生成AIを活用し、効率的かつ品質を一定に保ったコンプライアンスチェックを行うことを目指した取組を紹介します。

• 開発の背景
• 構築のポイント
• 期待される効果
• 今後の展望

開発の背景　～コンプライアンス遵守の重要性の高まり～

近年、企業活動を持続的に行うためには、法令遵守だけでなく企業倫理と社会的責任を果たすコンプライアンス遵守が欠かせません。
法律・法令違反は企業の信用を著しく損ねるため、企業が持続的に事業活動を行う上では重要事項になります。
また、コンプライアンス遵守への取組み姿勢は、サービスの安全性や透明性が高いことがアピールでき、信頼性の高い企業であるという評価を得ることも期待できます。

現在、金融商品の電話取引は、営業担当者が顧客とやりとりした内容を、コンプライアンスチェック担当者が実際に聞き取りと遵守のチェックを行っており、人的なコストを必要とするだけでなく、聞き取りの対応品質にバラツキが生じています。
このコンプライアンスチェック業務を、生成AIの音声認識モデル＋生成AIによる不正検知で代替・省力化したい試みで開発を行いました。

構築のポイント

お客様と営業担当者の会話音声データを生成AIを活用、文字に起こした後でコンプライアンス遵守の視点で問題になりそうな発言をチェックします。
ChatGPTをはじめとする素の生成AIを用いて簡単なプロンプト入力で指示文を与えるだけでも、怪しい箇所の抽出は可能ですが、NRIでは機密情報を安全に扱えるプライベートクラウドにおいて、実際のデータを基に様々な視点でチューニングを加えることで、さらに高精度に抽出できる可能性があることを確認しました。

期待される効果

音声認識技術の精度、および自然言語処理能力の大幅な向上により、コンプライアンスチェック担当業務における実務活用が可能な水準まで精度は高まっています。これにより人的コストが抑えられ、対応品質も均一化されるとともに、企業の価値が高まることが期待されます。

今回は金融営業担当者とお客様の音声会話をコンプアライアンスチェックする取組みですが、社内・外のメール、チャットなどもモニタリングし、不正行為や法令違反をさらに強化したり、各種社内文章のチェックに活用できるという点では、現在人手でチェックを行っている業務に幅広く活用することが期待できます。

NRIでは、セキュリティの確保や適正な運用コスト等、お客様にとって最適な利用環境を用意するために、ChatGPTをはじめとする複数の最適な生成AIを活用したご提案が可能です。
また、AIは100点の答えを生成してくれるわけではないため、業務の特性に合わせて生成結果の活用や運用方法を組み立てる必要もあり、ユーザに向けたガイドラインの制定等も含めたご支援も致します。

今後の展望

NRIでは日々様々な課題を想定し、ITやAIの技術によって解決策を作り出す研究を行っています。
とりわけ生成AIの分野においては、その技術要素となるNLP（自然言語処理技術）を約20年前から取り扱い、TRAINA(トレイナ)シリーズとしてリリースを重ねてきた歴史があるため、生成AI技術についても様々なNRI独自の視点でチューニング等のアプローチを施し、様々な活用方法を模索しています。

お客様によって抱えるビジネスや業務の課題は千差万別であり、NRIでは問題の整理・切り分け・解決手段の策定から、解決策をIT技術で構築してお客様に適用するまで、一貫したご対応が可能です。

NRIではお客様と共に、ビジネスや業務の課題に対して知恵を絞り、様々な角度から問題の解決を推進して参ります。