企業内の構造化データ(表形式データ等)を、生成AIで正確に活用するためのソリューションです。AIとデータをつなぐ「セマンティックレイヤー」を構築することで、精度の高いデータ検索・集計や、自動レポーティングを実現します。

構造化データにおけるAI活用の課題と背景

生成AIを用いて社内データを活用する際、RAG(検索拡張生成)はテキストなどの非構造化データの扱いには長けていますが、データベース上の構造化データ(表形式データ)の利用には課題が残ります。データをベクトル化して検索する手法ではデータの正確な構造が失われるため、従来のSQLクエリやBIツールで実施されるような集計・結合といった正確なデータ操作には限界があります。

また、AIに直接表形式データを理解させるアプローチも検討されていますが、業務データの複雑さが大きな障壁となります。AIが「類似する指標のうちどれを優先すべきか」などを人間同様に理解するには、膨大な説明が必要です。

こうした「ビジネスコンテキスト」と「物理データ構造」の乖離を埋め、AIエージェントによる正確な業務データへのアクセスを可能にするために、AIとデータの中間に位置する仮想的な層「セマンティックレイヤー」の重要性が高まっています。

NRIのソリューションの特長(強み)

セマンティックレイヤーでは、テーブル間のリレーションシップ、メトリクス(集計定義)、列の論理名や説明などを定義します。NRIが提供するソリューションは、以下の3つのポイントに強みを持っています。

  • 1.多様なセマンティックレイヤー検証・PoC経験の蓄積
    自然言語によるデータ問い合わせ等をテーマに、多くのお客様とのPoC(概念実証)を通じ、AIが解釈しやすい情報量や、各ツール特有の挙動に関する知見を蓄積しています。将来的な技術標準の動向も踏まえ、中長期的な展開を見据えた最適なアーキテクチャとツール選定をご提案します。
  • 2.AIとBIの共通利用による開発運用コストの最適化
    セマンティックレイヤーの構築には、BI(ビジネスインテリジェンス)構築でも必須となる「ディメンショナルモデリング」の知見が不可欠です。NRIは多様な業務システムの構築経験を活かし、BIとAIで共通のデータモデルを活用する「二刀流」のアプローチを推奨しています。すでにBI向けのデータモデル資産をお持ちのお客様は、それをそのままAIの知識源として応用でき、既存の分析基盤を最小限の追加負担で次世代AI基盤へと進化させることが可能です。
  • 3.生成AIを活用した構築作業の効率化と高品質化
    セマンティックレイヤー自体の構築においても、NRIがこれまで蓄積してきた設計ノウハウをAIのガイド(インプット)として活用し、初期モデルを迅速に立ち上げる手法を採用しています。これにより、高品質な定義を短期間で構築することが可能です。

期待される効果

セマンティックレイヤーを介在させることで、AIエコシステムにおける構造化データの本格的な活用が実現し、以下のような効果をもたらします。

データ分析・レポーティングの自動化
AIがデータの抽出から可視化までを一貫して行う「自動レポーティング」は、強力な活用例の一つです。膨大な切り口の組み合わせを試行錯誤するような分析業務をAIが代替することで、人間は提示された示唆に基づく「意思決定」に注力できるようになります。

業務データの裏付けがある正確なAIの回答
「〇〇地区の季節別の売上傾向と要因を教えて」といった自然言語の問いに対し、AIがセマンティックレイヤーを参照して正確な数値集計を実行します。ビジネスルールに基づいた正しい集計結果を根拠とするため、ハルシネーション(もっともらしい嘘)を防ぎ、信頼性の高い要因分析が可能になります。

一貫性と柔軟性の両立
中央で定義された「一貫した指標」を維持しながら、AIやBIユーザーが柔軟にデータを利用できる環境を提供します。これにより、組織全体で数字の不一致(サイロ化)を防ぎつつ、データ活用の裾野を広げることが可能です。

今後の展望

NRIは、セマンティックレイヤーによる構造化データの活用に留まらず、テキスト情報を扱うRAGや、画像を処理するAI-OCR技術を組み合わせた「マルチモーダルAIオーケストレーション」への展開を目指しています。

データの種類ごとに専門特化したAIを協調させることで、より複雑な業務の自動化を実現する次世代のアーキテクチャを構想しています。NRIの強みである業務知見をセマンティックレイヤーに集約し、各種AI技術と組み合わせることにより、組織的なAI活用を一気通貫で支え、お客様のビジネス変革をより確実なものにしていきます。