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NRI トップ NRI JOURNAL デジタル資本主義で目指す社会とは――NRI未来創発フォーラム2018を開催

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デジタル資本主義で目指す社会とは――NRI未来創発フォーラム2018を開催

#イノベーション

#DX

2018/12/06

2018年10月16日、野村総合研究所(NRI)は「NRI未来創発フォーラム2018」を開催しました。本フォーラムは、NRIの企業理念「未来創発」に基づき、日本や世界の未来の姿を考えるため、2017年からの3年間を通して「デジタルが拓く近未来」をテーマに掲げ、社会のあるべき姿や企業経営の方向性を議論しています。2回目を迎える今年は、世界でもトップクラスのビジネススクールであるIMD教授のマイケル・ウェイド氏と「デジタル資本主義」における未来の産業像を洞察するとともに、NRIの多彩な専門家の議論を通じて、企業としての戦略のあり方を議論しました。
(TOP写真、会場の様子とNRI代表取締役社長此本臣吾)

 

「aaS」で産業を再定義する

冒頭、NRIの代表取締役社長此本臣吾は、「デジタルで変える産業の未来」と題して基調講演を行いました。

労働力を価値の源泉として18世紀以降続いてきた産業資本主義から、デジタル化された情報が価値の源泉となる「デジタル資本主義」へと経済システムの構造転換が進みだしています。デジタル資本主義の下で産業を捉えるには、生産者側ではなく消費者側の視点、言い換えるとGDP(国内総生産)ではなくGDE(国内総支出)の視点で産業を再定義することが必要だと此本は分析します。

例えば自動車産業は、GDP 統計上は「輸送用機械製造業」に属しますが、GDE側からみると「交通」というカテゴリーに区分されます。デジタル資本主義の下では、自動車というモノを提供するよりも、移動というサービスを提供する価値の方が大きな意味を持つようになるからです。
そのため、「製造業は『アズ・ア・サービス(aaS)』に業態を転換する必要があります」と此本は訴えます。自動車であればMobility as a Service(MaaS)ということです。そして今後の自動車産業は、デジタル技術の一層の進展に伴い、リアルタイムで移動手段の需要と供給をマッチングするサービスや、ビッグデータを分析して交通需要の発生を予測したサービスなど、消費者にモビリティに関連する様々なサービスを提供していくことになるでしょう。

 

デジタル化時代

さらに此本は「デジタル資本主義の下では、aaS を通じた消費者の効用の最大化が企業の追求する価値であり、その源泉はデジタルデータにほかなりません」と強調しました。
そして、このデジタル資本主義の最大の担い手になるのが「プラットフォーマー」です。圧倒的なユーザー数を獲得した上で、異業種の企業との協業でエコシステムを構築できれば、後続企業が追随できないような優位性を築けます。此本は、「一方で、プラットフォーマーの巨大化に伴う脅威も顕在化しつつあり、デジタル資本主義のダークサイドへの警戒感が高まっているとも言えます。市民の意思(主権)を尊重した上で、デジタル資本主義でどのような社会を目指すべきか、というコンセンサスを深める議論が必要です」と語って、講演を締めくくりました。

「デジタル・ディスラプション」のインパクトと日本企業

続いて、スイスのビジネススクール・IMDの教授であるマイケル・ウェイド氏が登壇しました。IMDは、エグゼクティブ教育において、日本を含む世界各国の企業から高い支持を受けています。また、デジタルトランスフォーメーションに関する研究所を有し、世界の企業幹部への教育研修を行っています。

特別講演でウェイド氏は、多くの産業分野にデジタル・ディスラプター(破壊的イノベーター)が現れ、既存企業と熾烈な競争を展開している中で、日本企業の危機感が希薄なことに警鐘を鳴らしました。一方で、日本のビジネスリーダーが成功を収めるためのポイントについて語り、デジタル・ビジネスに対するアジリティ(俊敏性)を高め、経営戦略と一体となったデジタル戦略を描いてほしいと期待を寄せました。

マイケル・ウェイド氏

専門家の視点からDXを解説

小谷真生子氏

最後に、小谷真生子氏をモデレーターとして招き、「デジタルトランスフォーメーション時代に日本企業がとるべき事業戦略とは」をテーマに、NRIの4名の専門家によるパネルディスカッションを展開しました。

ICT・メディア産業のコンサルタントとして長年、企業改革を支援してきた石綿昌平は、DXがもたらす変化を「データに基づいて機械が意思決定を行い、その実現に向けて人間が奔走する世界に変わること」だと指摘。運輸・物流業界のデジタル化の支援に長らく携わっている村岡洋成は、「本来の需要に合わせた供給の実現」が、この業界におけるDXだという見解を示しました。

製造業のコンサルタントとして「製造業のサービス化」の支援に取り組んできた重田幸生は、同業界におけるDXは「顧客への売り方の変化」だと分析し、不動産業界においてデジタル化に向けた改革を支援しているシステムコンサルタントの吉田純一は「建築物のデジタル化―『aaS化』によるビジネスモデルの変革」が不動産業界のDXだと述べました。

セッションの最後に、モデレーターの小谷氏が「本日の講演や議論から、デジタル化でビジネスをどのように変えていくべきかという指針が示されたと思います。ご来場いただいた皆さまの変革の一助になれば幸いです」と総括し、フォーラムは幕を閉じました。

未来創発フォーラム

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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