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大量生産ものづくりからの脱却となる「Industry4.0」

グローバル製造業コンサルティング部 小林 敬幸

IoT

グローバルオペレーション

2017/01/10

ドイツは国を挙げて製造業のデジタル化を進めています。「Industry4.0」と呼ばれるこの取り組みは世界中で注目され、日本でも同じ動きが始まっています。製造業のあり方を根本から変える、大きなインパクトがありそうです。

 

少ない人員でオートマティックに、工場も効率稼働

 

モノがネットワークでつながり、データのやりとりや蓄積をする環境が整ったのだから、よりオートマティックな製造体制に変えていこう。簡単にいえば、これが「Industry4.0」の姿です。2013年から製造業の競争力強化を目指して、ドイツで取り組みが始まりました。 製造業のコンサルティング活動に長く携わってきたNRIの小林敬幸は言います。

 

「現場の人間による長年の経験と勘に頼ったものづくりではなく、データを取得し、その都度最適な加工方法の実現や、機械の故障予知と保全を行う。その結果、人依存を減らし、誰でもフレキシブルで同品質のものづくりをしていこう、ということです」

 

なぜ、ドイツは国を挙げて「Industry4.0」に取り組んだのでしょうか。小林は、その理由は二つあると説明します。

 

「一つは、高コストのなかの競争力強化です。ドイツでは、隣接する東欧諸国と比較し人件費が高い一方、労働者を簡単に解雇できない。そのため、少ない人員でオートマティックなものづくりをしていく必要がありました。もう一つは、工場の効率化です。世界の各地で稼働している工場をネットワークでつなぎ、あたかも一つの工場のように見立てる。例えば、中国の工場で製造が間に合わなければ、タイの工場でつくればよい。そうやって、工場の無駄をなくし、ものづくりを効率化していく発想です」

 

人手に頼らずに品質を高める仕組み

 

少子高齢化で人手不足、成熟社会にある日本は、ドイツと似たような状況にあるといえます。まして、ものづくりは日本の得意分野。ドイツの取り組みに学ぶところは大いにありそうです。

 

「日本のメーカーも、デジタルデータの重要性を認識しています。日本のものづくりは、人に依存する部分が多い。そのため人材育成が手厚いという良い面もあるのですが、少子高齢化が進む今後は、いつまでも人に頼ってはいられない。また、自動車製造のように、目に見える部品を組み立てるなら人の育成も必要ですが、小型化していく半導体チップのようなものは、センサーや機械を使わなければ品質は高まらない。となると、誰がつくっても同じ品質を担保できる。自動化・標準化の製造体制は、日本も学ぶべきだと思います」

 

工場で実現する、一人ひとりの顧客に合わせたものづくり

 

「Industry4.0」の実施は、私たちの社会にどんなインパクトをもたらすのでしょうか。小林は、これまでの大量生産のものづくりから脱却する契機になると見ています。

「成熟社会では、大量生産品がだんだんと製造されなくなってきています。日本でも、家電メーカーの一部は海外資本となり、冷蔵庫やテレビは、海外製に変わってきていますね。では成熟社会で今後どうなるかというと、個々に合わせてカスタマイズされた製品がつくられていきます」

 

例えば、顧客が冷蔵庫を欲しいと思ったとき、サイズや色、機能などの細部にいたるまで、その人の好みに合わせてカスタマイズされた冷蔵庫が製造される、ということです。

 

「パソコンメーカーによるカスタマイズ品のオーダーメードをイメージするかもしれませんが、それよりもはるかにカスタマイズのバリエーションは広い。ウェブ上で顧客がオーダーすれば、その内容は工場に流れて生産ラインに乗り、製品ができあがったら顧客に届く。開発に始まり出荷で終わる従来のバリューチェーンは、顧客に始まり顧客に終わる流れに変わる。となれば、新しいバリューチェーンに合わせて、ビジネスの仕組みも組織のあり方も変えざるを得なくなります」

 

デジタルを軸に組織を束ねるCDO(Chief Digital Officer)が登場

 

「Industry4.0」では、製造体制はもとより、これまで縦割りだった組織も、ネットワーク化で横断的につながります。そうなれば、企業組織のあり方もデザインし直さなければなりません。企業にとっては大きなハードルとなりそうです。

 

「全体的な組織デザインは、誰かがリードしなければならない。では誰がその役を担うのか。最近、海外ではCDO(Chief Digital Officer)という役職が登場し、組織全体をデジタルという軸で束ねてデザインし直す動きが始まっています。人の役割、人育成のあり方も、今後は大きく変わっていくでしょう。開発者は新しいモノを開発だけしていればよい、製造現場は効率改善に注力していればよい、ということではなくなる。ものづくりに関わる誰もが、どんなサービスを顧客に提供していくのか常に考えている、それがものづくりの次のステージなのだと思います」

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