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別れることも視野に入れた海外ジョイント・ベンチャー戦略

ノムラ・リサーチ・インスティテュート・インディア社長 金 惺潤

2017/05/01

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日本企業の海外進出において、現地企業とのジョイント・ベンチャー立ち上げは有効な手段とされています。ところが、事業を続けていくうちに、双方にすれ違いが出てくることがあります。互いの発展を考えれば、思い切って別れることも選択肢。しかし、日本企業はこうした判断が苦手なようです。NRIのインド拠点でジョイント・ベンチャー解消の支援をしている金惺潤に、インドに進出する日本企業の現状と、ジョイント・ベンチャー戦略について聞きました。

良好な関係は永遠には続かない

――日本企業はどのようにインドに参入するのでしょうか?

まずはインドに足跡をつけよう、と入ってくる日本企業が多い印象です。ひとまず参入して、ここでビジネスの経験値を積もう、と。そのときの有効手段が、現地企業とのジョイント・ベンチャーの立ち上げです。特に日本企業には、「インド進出はジョイント・ベンチャーありき」という意識が強いように思います。

――なぜ、ジョイント・ベンチャー解消の話が出てくるのでしょう。

ジョイント・ベンチャーを立ち上げて経営がある程度軌道に乗ってくると、出資した日本企業と現地企業が、それぞれが異なるビジョンを描くようになります。例えば日本のメーカーなら、インドのジョイント・ベンチャーを周辺新興国も含めた統括拠点と位置づけて、インドから中近東やアフリカへの輸出を強化していきたいと考える。一方、インド企業は、グローバルな事業展開よりインド国内でのシェアトップを狙いたいと思う。やがて、こうしたビジョンの違いが経営の混乱やスピードダウンを招くようになり、合弁企業の経営が立ち行かなくなってしまうのです。
NRIが調べたところ、日本企業からは「詳細な報告がされず、現地の経営について見えないことが多すぎる」「増資をしたのに、相手の事情でビジネスが進まない」「現地パートナーは、儲かるかどうかでしか判断しない」といった声を聞きます。中には、ジョイント・ベンチャーの存在自体が、インド市場での成長の足かせになっているケースも見られており、日本企業からは合弁解消という話が浮上してくるのです。しかし実際には、なかなか解消までには至っていません。

6つのステップで円滑な解消を

――なぜ解消に向けて動けないのですか?

いくつか理由があります。まず、インドではローカルブランドが強いので、現地企業と離れて日本ブランドだけで展開するのは難しい点。また、解消を決めて、日本側が持ち株分を売る、あるいは現地企業から買うとなったとき、インドでは法律により現地企業が保護されているため、日本企業にはとても不利になるのです。例えば、日本企業がインドを撤退して持ち株を売るとなったとき、インド企業は、外資の持ち株を実態価格よりも相当安く買い叩こうとします。仮に外資の持ち株が100円だとしたら、インド企業は50円で買おうとします。

言わずもがなですが、ジョイント・ベンチャー結成時には、関係が将来的に続くかどうかも踏まえて様々な想定の下に契約書を作成しておくことが欠かせません。ところが、結成時は気持ちよくスタートしたいという想いからか、契約内容があいまいであることが多いのです。特に、持ち分の扱いで認識のずれが出ると、解消時に法定闘争を長く引きずることになりかねませんので注意が必要です。

そのほかアクションがとれない理由として、日本の本社が、現地の経営を任せっぱなし――ある意味、放置しているというのもあるでしょう。本社からしてみれば、いろいろ議論し交渉を重ね、ジョイント・ベンチャーを立ち上げて事業を始めたのだから、いまさら解消なんて面倒なことをするな、という本音があるようです。

――うまく解消するにはどんなアクションが必要ですか?

これまでパートナーに依存してきた部分を、どう自分たちでやっていくのかを考えることが重要だと思います。現地の販売ネットワークや許認可のライセンス、工場用地など、です。自社が投資してゼロから作る、新しい取引先を開拓する、今までのパートナーにお願いする、などをあらかじめ決めて、自分たちでマネジメントできるよう、段取りをしておくことが重要です。

――ジョイント・ベンチャー解消には、具体的にどのような方法があるですか?

NRIでは、6つの段階的なステップを踏むことよって、円滑に解消を進めることを提案しています。そして、迅速に再始動することが重要です。

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