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―2016年「ユーザー企業のIT活用実態調査」の結果から (後編)

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デジタル化時代におけるIT部門の役割とは?
―2016年「ユーザー企業のIT活用実態調査」の結果から (後編)

戦略IT研究室 有賀 友紀

2017/09/13

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これまで企業のIT化をけん引してきたIT部門。2016年の調査からは、IT部門の位置づけや関わり方の変化が明らかになりました。前編では、商品・サービスや顧客体験の「デジタル化」を誰がけん引していくべきかについて考察しました。後編では、企業業績との関係やIT部門の実態を踏まえながら、デジタル化を推進していくために、組織や諸制度なども含めて、どのような変化が求められるかを考察します。

 

デジタル化に熱心な企業ほど、利益率が高い傾向に

 

今回の調査結果の中で、注目されることが2つあります。まず、IT活用のテーマと企業業績との関係について。企業のIT活用は「業務の効率化」(情報化)から「商品・サービスの競争力強化」(デジタル化)へとシフトしてきました。今回の調査では、情報化への取り組みは利益率と関連がないのに対し、デジタル化に積極的に取り組んでいる企業は利益率が高いという結果になったのです。デジタル化のおかげで利益率が高いのか、利益を出して投資ができるからデジタル化が進むのかという因果関係は定かではありませんが、1つのファクトとしてこの結果は注目されます。

 

2つめに、一部の先進企業を除いて、IT部門はデジタル化の必要性を理解しつつも、そこまでは手が回らないという実態が示されました。IT部門は業務の効率化や標準化を主導してきましたが、商品・サービスの高付加価値化や顧客情報の収集・分析は事業部門が主導することが多く、全体的にIT部門のリーダーシップが低下している傾向が一層鮮明になりました。

 

 

IT化とデジタル化では、技術も開発スタイルも異なる

 

企業にとってデジタル化の重要性が高まっていることは明らかです。IT部門にはデジタル化の「サポーター」としての役割が期待されていて、その期待に応えるためには、IT部門や担当者に変化が求められます。

 

これまでの情報化は、会社全体の業務プロセスを整理し、また、さまざまな情報を集計して、マネジャーが見やすい形で提示することが中心でした。デジタル化では、統計分析による予測や、AIによる自動的な判断も必要です。技術面では、数値だけでなく、画像やテキストなど扱うデータが多様化しています。ビジネス面では、業務のやり方だけでなく、事業戦略を念頭に置いて商品・サービス、顧客接点をどう変えていくかという視点でとらえる必要があります。

 

ITに関わる担当者の、仕事の進め方も異なります。従来は全体のデザインを描き、それをブレークダウンしながら個々のパーツをプログラミングし、最後にできたものを組み上げて、テストするというウォーターフォール型のプロセスでした。近年では、できるだけ手早くプログラムを作成し、現場で試して実験を重ね、変更していくアジャイル型の開発が求められるようになっています。

 

デジタル化の成功は経営層の積極的な関与から

 

デジタル化の重要性を経営層が認識し、人材や経営資源を投じることが大切です。というのは、業務プロセスの効率化や合理化では現場の判断で改善を積み重ねて成果を出せましたが、デジタル化の場合、それでは壁に直面することがあるからです。

 

店舗販売とウェブ販売を有機的に結合させたオムニチャネルの例では、たまたま店舗の在庫が切れていたという場合など、来店客をウェブに誘導して購入を促すということがあります。しかし、ウェブの売り上げはお店の売り上げにはなりませんから、それだけでは、店舗のスタッフも積極的には取り組まないでしょう。店舗とウェブの顧客データを統合する際にもお金や時間、労力がかかります。評価や報酬制度の変更も含めて、全社レベルでデジタル化にどう取り組むか、経営陣がリーダーシップを発揮できるかが鍵となります。

 

また、既存のIT部門の中から新しい領域のスキルや指向性を持つ人材を発掘したり、意識的に再教育したりすることも欠かせません。新しい技術やデータの扱い方について積極的に勉強していくことも必要ですが、それ以上に、ビジネスの課題をアナリティクスの課題にどう落としていくかという「つなげる力」を養う必要があります。今後は、大きなピラミッド組織で与えられた業務をこなすだけでなく、少人数でチームを組み、関係部門と直接仕事をする機会が増えていくと思われます。デジタル化の時代、ビジネスのわかるIT担当者は、活躍の場がさらに広がることでしょう。

 

前編記事はこちら

日本企業のデジタル化に向けて―2016年「ユーザー企業のIT活用実態調査」の結果から(前編)

 

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