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アジャイル開発の本質をひもとく―日本企業への導入に何が必要か―

ITアーキテクチャーコンサルティング部 物部 康介、浦田 壮一郎

2017/10/25

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デジタル化が急速に進む今、スピード感のあるシステム開発がますます重要になっていますが、欧米とは異なり、日本ではそのための有力な手法である「アジャイル開発」があまり普及していません。それはなぜなのでしょうか。アジャイル開発のメリットを解説しながら、成功に導くカギがどこにあるのかを考察します。

 

アジャイル開発とは何か

 

アジャイル開発とは、数週間という短い期間単位で開発を繰り返し、反復のサイクルごとに動作するソフトウェアをリリースする手法です。デジタルビジネスは、実際に消費者に受け入れられるかを予想することが難しいため、サービスを小さい規模から初めて、改良しながら大きくしていくのが通例です。デジタル企業の代名詞ともいえる米国の先進ネット企業のFace book社やGoogle社では、日々、新しいソフトウェアをリリースし、他社が追随できないサービスを提供し続けることにより、激しい競争環境に対応しています。消費者のニーズを素早く見つけ、それに応えるサービスを迅速に開発して、すぐにリリースする。このサイクルを高速回転で回していけるのがアジャイル開発なのです。

 

アジャイル開発のメリットと問題

 

従来型の開発手法では、全ての機能についてテストが終わってリリースされるまでソフトウェアを利用できませんが、段階的に機能をリリースするアジャイル開発では、投資を素早く回収しつつフィードバックを得ることができるメリットがあります。要求変更への対応がしやすい反面、数が多くなると、決められた期間とコストの中で要望を管理する必要があります。そのため、明確な指針を提供し、事業部門と開発部門双方の調整ができる手腕を持ったプロダクトオーナーの存在が欠かせません。

 

 

日本での導入課題を克服する3つのポイント

 

アジャイル開発への移行を目指す企業が増えてはいるものの、日本ではその導入が進んでいるとは言えません。その理由について①決裁の仕組み、②不確実性への考え方、③品質への考え方、という3つのポイントを克服する必要があると考えられます。

 

①決裁の仕組みを見直す

1つ目のポイントは、アジャイル開発の原則が日本企業の決裁の仕組みになじまないことです。日本では、社内決裁を得るために、システムの全機能を明確にしておく必要があり、また、システム開発で一般的な請負契約では、契約時に成果物について明確にするよう求められます。開発を始める前に全機能が明確になっていないアジャイル開発を採用するためには、このような従来の仕組みを見直す必要があります。

 

②不確実性を受け入れる

不確実性を嫌う日本では、階層的な組織構造と、ルールが明確であることに慣れているため、ウォーターフォール開発が文化的に適合していました。他方、状況の変化に応じて柔軟に計画を変更し続けるアジャイル開発の世界観は、不確実性に抵抗がない欧米の文化を背景に発展しています。日本ではウォーターフォール開発を残しつつ、実際の開発ではプロジェクトの適性に応じて部分的にでも導入する努力が必要と考えます。

 

③品質に対する考え方を変える

従来は、高い品質のものをつくるには手間がかかり、効率と生産性は落ちると考えられてきましたが、アジャイル開発では反対に、品質を保つことが高い生産性につながると考えます。いわゆるトヨタ生産方式が1つの起源といわれているのです。製造業における品質保証には大きく分けて2つの方法があります。1つは、不良品が出ることが前提で、品質管理部門などの第三者が製品完成後に品質を判断するのに対し、もう1つはトヨタ生産方式の「自工程完結」のように、工程内で品質を管理し、不良品を出さないようにします。アジャイル開発は、開発工程を小規模なチームで管理できる単位まで小さくし、「自工程完結」の品質管理の考え方をソフトウェア開発に持ち込めるようにしたものとも捉えられています。

 

変革に欠かせない経営トップの支援

 

アジャイル開発は本格的に導入しようとすると、商習慣、社内文化、社内プロセス、人材といったさまざまな面での変革が必要となります。そのため、まずはアジャイル開発の特性を理解し、どの特性を自社の開発に取り込むべきかを明確にしておくべきです。開発現場は、後からの変更で仕事が大幅に増えることを嫌い、運用現場では、安定稼働を最優先にするために変更は少なくしたいと考えます。こうした考え方や従来の働き方に新しい挑戦を求めるため、その推進には経営トップの積極的な関与も欠かせません。

 

 

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特集:デジタル化に向けて企業が取り組むべき3つの課題

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