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NRI トップ NRI JOURNAL アイデアの種を新たな価値創造へ――bit Labs(ビットラボ)の実践

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アイデアの種を新たな価値創造へ――bit Labs(ビットラボ)の実践

#DX

#イノベーション

2018/12/19

スマートフォンやタブレットなどの携帯端末の普及やネットワークの速度向上などにより、デジタル技術は一段と進化を遂げ、産業や社会を大きく変えようとしています。IT投資には、新しい価値を生み出すための戦略が求められる中、企業のデジタルビジネスを加速するために、野村総合研究所(NRI)の中に新たに誕生したのが「bit Labs(ビットラボ)」です。そのリーダーをつとめるNRIの執行役員大元成和に、デジタル化に取り組む企業の課題やビットラボが目指す未来像を聞きました。

レガシーをデジタルの力で進化させ、お客様のビジネスを直接支援する

――新技術の発展や社会のデジタル実装力の進展により、システム開発の環境にはどのような変化がおきていますか。

NRIは50年以上にわたって、さまざまなお客さまの企業戦略の提案からシステム開発・運用を行ってきました。その開発の要は、大型の基幹業務システムです。ここでは、お客さまのビジネスを遂行する上で不可欠なバックヤードの業務、事務処理を電子化して効率を追求するのがメインのミッションでした。
NRIではIT事業を「コーポレートIT(CIT)」と「ビジネスIT(BIT)」の2つに分けて考えています。「CIT」とは、お客様の業務効率化を支援するITであり、具体的には大型の基幹業務システムなどを指します。一方、「BIT」とは、お客様の事業拡大や売上増などビジネスを直接支援するITを指す言葉で、近年、急速に拡大するスマホなどのアプリ開発やFinTechなどが、これに当たります。新しい価値を生み出すための戦略が求められ、競争のフィールドは、かつての「効率化競争」から「ビジネスモデル競争」に変化しつつあります。

ソフトウェア開発の方法論にとどまらず、経営課題でもある「アジャイル開発」

――お客様のビジネスに直接関与するビジネスITを成功させるポイントは何でしょうか。

経営のアジリティ(機敏性)を高めることであり、「アジャイル開発」です。ただし、「アジャイル開発」という言葉自体は20年ほど前からあり、決して新しい手法ではありません。

従来の大型基幹業務システムは、基本的に「ウォーターフォールモデル」で開発してきました。その名の通り、水が上流から下流に流れるように、要件定義から設計、製造、テストまで、各開発工程を、段階的に着実に進めていくやり方です。ここでは各工程で仕上げた成果を明確にドキュメントでまとめて進捗を管理していくため、開発には一定の期間がかかりました。

一方、「アジャイル開発」は実装とテストを頻繁に繰り返して開発を進めていく手法です。段階的に機能をリリースし、ユーザーのニーズを素早く見つけ、それに応えるサービスを迅速に開発する。このサイクルを高速回転させ、投資を素早く回収しつつフィードバックを得ることができるメリットがあります。

「アジャイル開発」はビジネスITにとって、とても良いやり方ですが、実は日本の企業風土に合わない面があり、これまでにいろんな企業がトライをして失敗を重ねてきました。私自身も失敗を経験しています。アジャイル開発の原則が日本企業の決裁の仕組みになじまないこと、不確実性に抵抗がある日本の文化に合わないことなどが理由として挙げられます。しかし、今こそ日本全体がアジャイル開発に向かわないと、欧米から取り残されてしまうのではないかという危機感を我々は持っています。そのために、企業のCIO(最高情報責任者)、CTO(最高技術責任者)向けに積極的にアジャイル開発に関するプログラムを提供する一方で、現場のビジネスリーダーやエンジニアにもアジャイル開発に関する研修やコーチングワークショップなどを用意して働きかけを行っています。

従来のシステム開発手法を知り尽くしているからこそ、時代の潮目をリアルに感じているのかもしれません。

外部パートナーとの連携も柔軟に

――ビットラボでは、今後どのような展望を描いていますか。

ビジネスITのように、お客さまに直接価値をお届けするシステムでは、UX(ユーザー・エクスペリエンス)といった「体験価値(エクスペリエンス)」が重要です。企業向けのアプリ開発に強い外部のパートナー企業と協業を行っています。
我々が新たに立ち上げたビットラボの「ビット」とは、ビジネスITを表す「BIT」と、コンピュータの最小単位である「bit」をかけています。「ラボ」は実験室。R&D(研究開発)にとどまらず、人材や技術がお客様のビジネスを直接支援できるものにしていくことが、「ビットラボ」のミッションです。今後も、常に先進的な取り組みや外部パートナーとの協業を検討していき、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら、直接ユーザーの皆さまとつながることのできるものを作っていきたいと考えています。こうしたビットラボの知見が、お客さまのビジネス支援に貢献できる人材やシステムをご提供できるものと確信しています。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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