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企業のパブリッククラウドとの向き合い方

執行役員 基盤サービス本部副本部長 渡辺 徹郎

2019/02/05

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パブリッククラウドに対する印象は、ITに携わる方々の中でも推進派から警戒派まで、さまざまなものがあろうかと思う。ここでは、野村総合研究所(NRI)がパブリッククラウドを利用する企業のお手伝いをしてきた状況も踏まえ、企業としてのパブリッククラウドとの向き合い方について述べてみたい。

 

パブリッククラウド利用における三つのメリットとリスク

既に言い尽くされている感もあるが、まず、パブリッククラウド利用のメリットについて、代表的と思われるものを三つほど挙げる。一つ目は、経済合理性である。従来のようなハードウエアやソフトウエアの発注から納期までの時間が不要となり、使いたいときに限定された費用と期間で使えるようになる。特に、短期の利用では、そのメリットが際立つ。なお、長期に利用する場合には、いくつかの条件下で、費用が膨らむデメリットを主張する意見もあることを併記しておく。
二つ目は、提供機能の豊富さである。自前でハードウエアやソフトウエアを調達することなく、欲しい機能が使えるという点は魅力的である。たとえば、ターゲティング広告の機能が提供されていた場合、その時点での具体的な用途の有無はさておくとしても、将来の展望を語る上で有用である。
三つ目は、IT環境のクロスボーダー化である。グローバルにビジネスを展開する企業においては、国や地域ごとのIT環境の個別整備をしなくて済む。パブリッククラウドが各地域で同一の環境を提供しているメリットは大きい。

次に、パブリッククラウド利用のリスクについても再認識しておきたい。メリットと同様に代表的なものに絞って列挙する。
一つ目は、情報の保管場所としてのリスクである。2018年5 月25日に施行されたGDPR(GeneralData Protection Regulation:EU一般データ保護規則)に代表されるように、センシティブな情報の漏洩に対する規制(制裁を含む)は強化される方向にある。理論上、情報漏洩のリスクは保管場所に依存しないものと考えられるが、漏洩に伴う企業のさまざまな損失とそこからの回復の難しさが明らかであるだけに、情報の保管場所をより保守的にしたいという欲求は小さくない。
二つ目は、パブリッククラウドの不具合修正に伴って、予期せぬ影響を被るリスクである。パブリッククラウド環境のハードウエアやソフトウエアの不具合修正は、クラウド事業者によって、事業者側の都合で行われるが、その際、利用企業のアプリケーションなどの誤作動やサービス停止を招く可能性がある。こういった事態を避けるために、企業側が求める稼働条件を満たそうとすると、費用に大きく跳ね返ることになってしまう。
三つ目は、企業のIT全体で見た費用や資産管理に係るリスクである。従来のハードウエア、ソフトウエアの自社調達による投資や償却と異なり、パブリッククラウド利用は費用として取り扱われる。この混在の割合が大きくなってくると、企業としてのITの全貌(特に費用)の把握がより難しくなり、各種管理負荷が増大する。

パブリッククラウドのビジネス活用は、メリットとリスクのバランスを取ることが鍵となる。

とはいえ、企業のビジネスの地理的拡大やより早い商機獲得のためには、パブリッククラウドを利用していくことが自然な選択でもある。
また、メリットとリスクを見渡してみると、「パブリッククラウドを全面的に採用することは難しいが、全く利用しないことにも一定のリスクがある」というよく見られる考え方は合理的である。

では、このようなメリットやリスクを理解しながら、実際にパブリッククラウドを利用していくためには何が必要であろうか。留意すべき点を二つ挙げてみたい。
一つは、管理負荷の増大を甘受することである。多くの企業には既存のIT資産があり、これを新たなパブリッククラウド上の資産と並存させていくと、IT全体としての複雑性が増すことになり、管理要員の増員も考えなければならなくなる。この際、増え続けるパブリッククラウドの提供機能を把握できる能力を備えた人材が新たに必要になる。
もう一つは、企業内でのパブリッククラウド利用検討から利用決定、利用開始後までのライフサイクルにおいて、利用主体の組織が必要とするアドバイスや支援の種類を洗い出すことである。特に、IT部門には、パブリッククラウド利用部門との間で、相互にどのような役割の分担が望ましいのか、あらためて定義していくことが求められる。

NRIは、既にパブリッククラウドを利用されている企業のお手伝いをさせていただいている。今後も、複数のパブリッククラウド事業者と利用企業との橋渡しを含めて、企業におけるさまざまな組織やその立場を踏まえつつ、それぞれの組織のお役に立てるよう邁進していきたい。

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