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NRI トップ NRI JOURNAL 尖ったエンジニアの力を引き出す――bit Labs(ビットラボ)の挑戦

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尖ったエンジニアの力を引き出す――bit Labs(ビットラボ)の挑戦

#DX

#イノベーション

2019/03/07

野村総合研究所(NRI)の「bit Labs(ビットラボ)」は、デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて、お客さまの事業拡大や新規ビジネスを支援する組織です。システム開発を知る立場から、戦略コンサルタントと併走してお客さまをサポートするビットラボのシステムコンサルタント、宮前英子と大井昭久に、同組織の開発スタイルの特徴について聞きました。

海外研修で学んだ「消費者に訴求する」モノづくり

――ビットラボではどのような考え方で開発を進めていますか。

宮前 ビットラボでは、スピーディーに良いものをつくる組織を目指してきました。しかし、スピードや形にすることを優先させるあまり、何のために、誰のために、どんな価値を提供するのかが漠然としたままで開発を始めれば、PoC(概念実証)が有効に機能しない恐れがあります。そこでデザイン・シンキングなどの要素も入れ、売り上げ拡大や顧客サービスに直接貢献する、エンドユーザーの視点を意識したシステム開発に取り組んでいます。

――デザイン・シンキングはどのように活用するのですか。

大井 たとえば、お客様が「MaaS(Mobility as a Service)をビジネスとしてやりたい」と希望されているとします。このレベル感ではすぐに事業化できないので、まず「消費者に訴求するものは何か」を具体化しなくてはなりません。そこで用いるのがデザイン・シンキングです。ユーザー・インタビューを何度も行って課題をあぶり出し、アイデアを考え、「こんなアプリをつくればユーザーに受けるのではないか」という初期仮説を立てます。そこから仮説検討を繰り返し、コンセプトが固まったら実際にモノをつくり、市場に出してフィードバックをもらう。このサイクルを高速で回すのです。

――大規模な基幹システム開発とかなり勝手が違う進め方ですが、新しい開発スタイルをどのように習得したのですか。

大井 私は2017年に3カ月間、サンフランシスコで実施されたイノベーション研修に参加しました。デザイン・シンキングを用いて新しいアプリを開発し、それを現地のエンドユーザーに見てもらい、投資家にプレゼンテーションするなど、かなり実践的な内容に刺激を受けました。システム開発は基本的に「お客様から言われたものをつくる」ことが多いのですが、この研修をきっかけに「自分から新しいものをつくっていく」という意識に変わりました。最近では、受け身的なエンジニア感覚が薄れ、消費者の声を聞きながら、お客様の事業をどうつくり、どう貢献できるかと考えるようになりました。

コンサルタント、エンジニア、デザイナーが三位一体で動く

――ビットラボの開発は「コンソリューション」という形で進めていると聞きます。

宮前 従来型の開発プロジェクトでは、事業戦略やシステム化計画の策定などはコンサルタントが担当し、それを実現するための効率的なシステムづくりはシステムエンジニアが担当する、というように、フェーズごとにバトンタッチ式で連携していました。ですが今は、新規事業のプランニング、開発支援、ITの実装、サービス・デザインなどを同時並行で進めて、評価と検証を繰り返さなくてはならない時代です。そこで、事業戦略を考えるコンサルタントとシステムを開発するシステムエンジニアが一体になって、お客様と並走しながら新規事業を構想し推進する。これをNRIでは「コンソリューション※」と呼んでいます。

コンサルティング、エンジニアリング、その中間領域のサービス・デザインができるメンバー集めて、フラットな関係でチームを組めるのはNRI独自の強みだと思います。また、コンセプトを実現させるには最終的にモノをつくる、つまりIT化して、それを改善し続けるエネルギーと実行力が不可欠です。そこまで泥臭くやり抜くことにもこだわっています。

大井 コンソリューションをうまく進めるには、チームメンバーが互いの領域へ歩み寄ることも大事です。たとえば、戦略コンサルタントの考えを理解できるよう、私もマーケティングや事業開発などを学ぶようになりました。戦略コンサルタントもIT関係の勉強をかなりしています。

NRI流「100日開発モデル」を構築したい

――今後はどんなことに挑戦したいですか。

大井 新しいもの、自分が使って「いい」と思うものを世の中に出したいとずっと思ってきましたが、今はそれに近づいています。過去に大規模システムの開発経験を積んでいると、セキュリティや品質上の「勘所」がわかり、そこはベンチャーと違いが出せるところだと感じます。今後は既存の開発経験に加えてデザイン・シンキングなどもできるエンジニア人材をさらに増やし、活躍の場を広げられればと思っています。

宮前 今、100日間でサービス・デザインからデジタル・プロダクトまでつくるやり方を検討しています。押さえるべきところを押さえ、省略可能な部分を省き、短期化を図るというさじ加減が、世の中全体として、まだできていないように感じます。NRIには新しいデジタル技術を駆使できる先端的な人材が、ビットラボを運営している生産革新本部だけでも100人規模でいます。その資産を最大限に活用して、NRI独自の「100日開発モデル」をぜひつくってみたいですね。

  • コンソリューション:企画・構想段階からコンサルティングとソリューションが顧客と併走し、仮説検証を繰り返しながらビジネスを創出するモデル

左からNRIの宮前 英子と大井 昭久

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E-mail: kouhou@nri.co.jp

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