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テクニウムが目指す新たなビジネスモデル ~工作機械に関わるお客様をサポートする「新たなパートナー」に~

テクニウム COO 澤田 友宏 、デジタル・プラットフォーム事業部 部長 椙山 裕介

#DX

#機械、機器

2019/03/20

「工作機械」に関わるお客様の様々な業務をサポートするために、DMG森精機と野村総合研究所(NRI)が共同出資して誕生した「テクニウム」。機械加工に関する技術・エンジニアリング力、セキュリティを担保したデータ活用、デジタル変革ノウハウなど両社の強みを掛け合わせながら、新しい価値提供を目指す同社の取り組みと今後の展望を聞きました。

“納入後”から始まる新サービス

「デジタル化によって社会が急速に進化する中で、工作機械と生産技術の重要性や可能性に再びスポットライトが当たるようになったと感じています」と語るのは、DMG森精機で情報システム関連プロジェクトを多数経験し、テクニウムの立ち上げから参画してきた澤田友宏COO。

大量生産から小ロット多品種生産まで、より柔軟で幅広い加工が求められるように製造業は変化しています。その中で工作機械は一台の機械で幅広い加工ができるように多機能化が進み、また生産プロセスの自動化も進んでいます。このような生産技術の高度化を受けて、生産工程の設計や加工プログラムの作成に関するエンジニアの先端技術習得、センシングやネットワークを活用した設備のモニタリング・保全等において新たな課題も生まれています。「工作機械を販売して終わるのではなく、“納入後”もデジタル技術を活用しながらお客様の業務を効率的、効果的にサポートして工作機械を基点とした新しい価値を生み出すことにチャレンジしています。」と、澤田COOは言います。

「工作機械ユーザーは、高度熟練技能者の退職や少子化に伴う人手不足に対して既に問題意識を持っていて、今後より汎用性が高い高機能機械や自動化システムの普及が進むと考えられます。その変化に対応するお客様のチャレンジには、我々がデジタルの仕組みでサポートできる余地がいろいろとあります。」と、NRIから出向し新事業に取り組んでいる椙山裕介デジタル・プラットフォーム事業部 部長も可能性を感じています。

デジタル化で生産現場を変える

従来、工作機械は一度お客様に納品されると、その後、工作機械メーカーとお客様の接点は限られていました。ですが、納品された工作機械の周辺には、加工だけではなく、加工前の工程設計、「段取り」と言われる加工準備、加工後の計測・品質管理、予防保全、トラブル対処など多様な業務があります。これらの様々なタイミングに都度お客様とのコミュニケーションが行えるインフラを作るべくテクニウムが最初に取り組んだのは、工作機械ユーザー向け会員制ウェブサイトの提供です。契約情報、操作マニュアルや保全情報、アフターサービス履歴、スペアパーツ購入履歴、機械操作トレーニングの受講履歴など、工作機械を用いた事業活動に必要なあらゆる情報がデジタル化して提供・蓄積される環境を整備するためです。

このウェブサイトとも連携する主力サービスが“CELOS Club(セロスクラブ)”です。これは工作機械の性能を最大限に引き出す最新機能を提供するサブスクリプションサービスで、工作機械をネットワークにつなげて機械の稼働状態を24時間365日モニタリングできます。稼働データは最適な部品交換など予防保全に役立つほか、コールセンタに問い合わせする時にそれを共有してコミュニケーションをとることで、問題の早期解決に繋がります。

同サービスでは最新版のソフトウェアへのアップデートサービスも提供しており、スマートフォンのように、機械の機能を追加・改良することもできます。「ソリューションをサービスとして提供しているので、お客様は初期投資を抑えられるだけでなく、使う過程で溜まるデータや新規の追加機能によって、商品が個々のお客様毎にカスタマイズされたものに進化し、使い勝手が高まります。」と、椙山部長は説明します。

澤田COOは今後の取り組みについて「あらゆる情報のデジタル化が進み、機械の稼働情報やお客様のサービス利用履歴などが蓄積され、その活用可能性は広がっていきます。これらのデータを個別に見るだけでなく、横断的に組み合わせ、そこに私たちが新たな解釈を加えてフィードバックすることで、新たなサービスを生み出したり、機械やソフトウェアをさらに高度化したりできます」と語ります。

お客様の事業パートナーとなって、日本の製造業を盛り立てたい

「製造業で、デジタルを駆使したサービスによってお客様の変革をサポートし、その変化を肌で感じたい。統括する事業に対して、ユーザー理解、サービス仕様や価格の設計、販促や営業の企画・実行、などの全てに関わる。その結果がお客様の反応や数字として示される。責任は重いですが、テクニウムという環境だからこそできることで、やりがいがあります」。

「DMG森精機とNRIには、それぞれの会社の流儀があり、社内にいると自然にその中で動いてしまいがちですが、テクニウムではお互いに違う流儀がぶつかりあうので、ロジックの詰め方やコミュニケーションの取り方など、新しい気づきがあります。そうやって学び合えることは合弁会社の良さですね」と、澤田COOも刺激を感じています。

今後の展望として、DMG森精機の機械ユーザーだけではなく、広く製造業のお客様に利用してもらえるプラットフォームを創り出すとともに、工作機械に関連するビジネスを展開している機器やソフトウエアのメーカー、金融機関など関連プレイヤーも巻き込んでいきたいと、澤田COOは考えています。
「製造業はデジタル化という大きな潮目を迎えていますが、お客様とともに変化に挑戦する“パートナー”に我々はなっていきたいですし、そうすることが日本の製造業を盛り立てることにもつながると思っています」。

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株式会社野村総合研究所
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E-mail: kouhou@nri.co.jp

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