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日本企業の強みを生かし、「デジタルゼネコン」機能でスマートシティをリードする

グローバルインフラコンサルティング部 又木 毅正 石上 圭太郎 高見 英一郎

2019/05/08

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スマートシティとは、「都市内に張り巡らせたセンサーを通じて様々なデータを収集・統合してAIで分析し、更に設備・機器などを遠隔制御することで、都市インフラ・施設・運営業務の最適化、企業や生活者の利便性・快適性向上を目指すもの」です。世界各国では今、中央政府や地方自治体だけでなく、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)やアリババなどIT系プラットフォーマーなどもスマートシティに取り組んでいます。その中で、日本企業が存在感を示し、事業機会を獲得するためには何が必要でしょうか。都市計画、スマートシティの専門家である野村総合研究所(NRI)の又木 毅正、石上 圭太郎、高見 英一郎に、スマートシティを進める上でのポイントや課題について聞きました。

技術進歩によりスマートシティも進化

スマートシティは過去にも注目されたことがありますが、なぜ今このテーマなのでしょうか。

10年前のスマートシティは、「スマートコミュニティ」とも呼ばれ、ICTを活用してエネルギーを効率的に活用する動きが中心でした。近年ではそこに、AI(人工知能)を活用してデータ面から都市の活動を快適化、最適化するという考え方が加わっています。街中にセンサーを張り巡らせて人の動きを把握することで、交通事故や犯罪が多発する場所の照明を明るくし、人通りと犯罪が少ない場所は照度を落として、光熱費の削減を図り、最適制御する試みなどが進んでいます。
これは、データを大量に送る通信技術が整い、センサーのようなデータ収集デバイスやストレージの値段が下がり、データを解析するAI技術が向上したことが背景にあります。

こうした新たなスマートシティを牽引するのが欧米諸国ですが、特に最近では、中国や新興国でスマートシティの動きが加速し、次々と新たな社会実験にチャレンジしています。この点については、日本の政府や企業も危機感を強めています。

スマートシティでは、どのような企業に事業機会がありますか。

街にはまず、道路、水道、電気などの物理的インフラ、情報通信インフラが土台として存在します。その上に、建物などの建造物が建ち、さらに街として機能させるための制御システム、交通システムなど、さまざまなサービスが提供される多層構造になっています。どのレイヤーでもスマート化が可能で、インフラ事業者や運営会社だけでなく、不動産、商社、メーカー、通信事業者、SIベンダなど幅広い企業に事業機会があります。

最先端の技術やサービスの実験場

しかし、民間企業が街レベルの取り組みをするのはハードルが高そうです。

住みやすくて便利な都市をつくるだけなら、海外の先進企業の後乗りでも問題はないのですが、日本企業の競争力という点で心配です。欧米や中国の先行企業は情報を活用して社会をどう便利にするか、開発中の最先端技術を将来の街にどう導入すべきかと考えながら街づくりに参加し、いち早く世に出そうとしています。このような状況が続けば、技術力の劣後につながります。

また、現在は、消費者の情報を持つことがビジネスの成功要因につながっています。他国、他社にスマートシティの心臓部を押さえられれば、これからのビジネスにも影響が及ぶ可能性もあります。スマートシティの分野で競争していくには、自社の事業領域だけでなく、一定の地域や都市を丸ごとビジネスの場として、統合的に捉えることが重要です。

統合的に捉えるとは、具体的にどのようなことですか?

たとえば、ビルをつくるときは通常、設計図面を書き、区画や配線や配管などを決め、設備の設置場所などハード部分を固め、実際に建設して検査していきます。これは従来のゼネコンの主な役割でした。

一方、スマート化したビルをつくる場合、センサーや監視カメラをどこに配置すると管理がしやすく快適性が高まるか。ロボットがビル内を自動走行できるよう段差をなくし、通信制御の仕組みをどう組み込むか、というように従来では必要なかったICTやサービス機能に力点を置きながら全体像を構想しなくてはなりません。スマートシティの設計や運用には、街づくり、インフラ、設備、ICTに明るく、全体をまとめられる能力、私たちの呼ぶ「デジタルゼネコン」機能が必要不可欠です。

デジタルゼネコン機能で優位に立つ

海外のプラットフォーマーなどは、デジタルゼネコンの役割を果たしていますか。

実はそうでもありません。デジタル系企業はリアルの設備や街づくりに慣れていないため、ノウハウを持った人材の採用を急いでいます。デジタルゼネコンの機能を有するためには、都市開発や不動産開発、データ分析や解析能力、システム構築や要件定義の能力、ビジネスアーキテクチャの設計能力など、多岐にわたる人材が必要です。

日本企業はさまざまな分野で高度技術を持ち、それを実装する能力もあるので、デジタルゼネコンとしての機能を押さえられれば、今後のスマートシティの動きを制する可能性が広がります。多機能な動きが求められるため、チームを組み、社内に散在している知見やノウハウを結集させる必要があります。他社・他組織との連携も重要です。ですが、実際に取り組もうとすると、組織の壁に阻まれ、うまく連携できないケースも多いようです。日本企業がこの課題を解決し、デジタルゼネコン機能を構築するためにNRIも支援していきたいと思います。

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株式会社野村総合研究所
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E-mail: kouhou@nri.co.jp

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