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今求められるポストモダンERPの導入――進化するERPと日本企業の課題

NRI香港 シニア・マネジャー 加藤 洋一郎

2020/01/24

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デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展のため、データの見える化や業務の高度化などが求められるようになっています。そこで問題になるのが、社内での情報分断や古くなったレガシー・システムの扱いです。日々の業務に欠かせないERP(統合基幹業務システム)も進化させる必要があります。企業のシステム開発に長年携わってきたNRI香港の加藤洋一郎に、ポストモダンERP(進化したERP)と日本企業における課題について聞きました。

ERPは柔軟性のある非統一型システムへ進化

――日本企業のERP活用状況について教えてください。

日本企業におけるシステム導入の現状を見ると、最先端の技術を積極的に採り入れる企業と遅れがちな企業とに明確に分かれています。このうち後者は更に大きく分けて2タイプあります。1つは、長年使ってきた手作りのシステムを業務ごとに持ち、サイロ化されている企業。もう1つは、ERPパッケージを導入しているものの、古いバージョンを使用しているがために最新の業務要件に対応できておらず、サブシステムやエクセルでの管理によって補っている企業です。現場は使い勝手のよいエクセルで運用されていますが、属人化してうまく引き継がれず、経営者が欲しい情報をすぐに入手できない状況になりやすいのです。

――例外的な処理においてERPは使いにくい印象がありますが、技術的に進化しているのでしょうか。

従来のERPは、オーダー管理や請求書管理など定型業務を得意としていました。一方、たとえば生産スケジューリングや現場の作業実績収集のようなイレギュラーパターンが多い業務においては、1つのパッケージでは対応しづらかったのです。これに対して、ポストモダンERPは「非統一型」「柔軟性」という特徴を持っています。従来型のように必ずしも一つのパッケージで全業務をカバーする必要は無く、各領域で得意とされるシステムを採用し、APIを利用してデータの相互連携をすることが可能になりました。たとえば、自社のERPに原価計算の機能が不足していれば、他の原価管理ソリューションと組み合わせて細かな分析をさせることができます。いろいろなサービスを疎結合することで、対応できる業務の幅は広がっています。

  • 疎結合:システムの構成要素間の結びつきや相互依存度が低く、各々の独立性が高い状態にしていること。

意思決定スタイルがポストモダンERP導入の壁に

――ポストモダンERPは、どのような点でお客様に評価されていますか。

まず、クラウドベースのERPが増えており、初期投資にかかるコストや時間が大幅に削減されることが評価されています。時間でいえば、これまで導入に1年かかっていたものが半年程度になるような感覚です。それから、ユーザー側が入力項目やレポートの要素を容易に変えられるエンドユーザー・コンピューティングが可能なことも大きいです。これは頻繁に要件の変更がありうる海外のビジネスでは特に有用です。たとえば、フィリピンでは税務要件が頻繁に変わります。税務上定められているレポートや帳票をシステムから出力している場合、何か税務要件の変更があるたびにシステムを改修するのではコストがかさみます。ですので、変更対応の柔軟性の点で評価されていると言えます。

――そうしたメリットがあっても、切り替えが進まない理由はどこにありますか。

マネジメント側は、高い投資対効果が明確に見えないと導入に足踏みをします。現場担当者は、作業負荷が高まるのではないか、自動化されて自分の仕事がなくなるのではないかなど、新システムがもたらす変化を懸念します。加えて、日本企業の意思決定はトップダウンでなされないことが多く、マネジメント側は現場の意向を尊重しようとしますし、現場は何も変えないほうが無難だからとリスクをとりたがりません。その結果、従前の枯れた技術を使い続け、エクセルを多用する状況から抜け出せないのです。

先端デジタル技術との親和性を高める

――それを打開するには、どうすればいいのでしょうか。

新しいツールの導入を検討するときには、ITに明るい人材をマネジメント側に入れて基本方針を決め、トップダウンで進める形をとるのが一番良いと思います。ただし、企業文化から合議制での意思決定が必要なケースも有ります。その場合は、変更によって影響を受ける人を巻き込んで、効果的に合意形成を図る必要があります。言葉だけでメリットを説明しても伝わらないので、図やシステムのデモなどを活用し、既存の業務フローからの変化を関係者がイメージできるようにすることも有効です。
新しいソリューションを入れれば、短期的には問題が起こる可能性もあります。しかし、古いものを使い続けていけば、壊れた時にサポートが受けられない、リカバリーできないなどのリスクがあり、長期的には必ず経営課題となります。新興国の企業は新技術の採用に非常に貪欲ですから、それが生産性や競争力の差につながることも考慮しなくてはなりません。

――最後に、ポストモダンERPの有効活用に向けて一言お願いします。

従来のERPは情報を記録し管理するという役割が大きいシステムでした。しかし今後は、人が介在しなくてもモノの流れを管理する、AI(人工知能)により販売予測を作成するなど、「何かができる」ケイパビリティを持ったシステムにしていく必要があります。DX推進のためにも、AIやIoT(モノのインターネット)など先端のデジタル技術と親和性の高いERPを選択することをお勧めしたいと思います。


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