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NRI トップ NRI JOURNAL トリペッチいすゞセールス×NRIタイ×ブライアリージャパン タイ自動車市場で顧客ロイヤリティ向上に注力

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トリペッチいすゞセールス×NRIタイ×ブライアリージャパン タイ自動車市場で顧客ロイヤリティ向上に注力

トリペッチいすゞセールス 副社長 鈴木 太氏、副社長 野中 礼雄氏、山本 純也氏
NRIタイ 自動車DXコンサルティンググループ グループマネージャー 木部 雄一
ブライアリー・アンド・パートナーズ・ジャパン バイスプレジデント 中根 理史

#DX

#データアナリティクス

2020/02/10

トリペッチいすゞセールス(以下、トリペッチいすゞ)はタイで長年、商用車、ピックアップトラックの販売を行ってきました。主力のピックアップトラックで30%強の販売シェアを誇るトリペッチいすゞは、デジタル化の進展によるタイの消費者の行動変化を察知。NRIタイとブライアリー・アンド・パートナーズ・ジャパン(以下、ブライアリージャパン)と協業してWebアプリ「my-ISUZU」を開発。メンテナンスなどで顧客との関係を維持し再購入につなげるためのマーケティング活動を強化しています。

デジタル化の進展とともに消費者の行動が変化

トリペッチいすゞはこれまでイベント、マスマーケティングにて顧客とコミュニケーションをとり、約330拠点あるタイ全土の販売店に顧客を送客することで新車販売に繋げるというマーケティング活動を中心としてきました。しかし数年前から、スマートフォン(スマホ)の急速な普及に伴い、独自に情報を入手し、他社製品と比較検討した上で、交渉の為に販売店に足を運ぶ形に購買スタイルが変化してきた為、マーケティング活動の刷新も必要となってきました。このようにWebサイトやFacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を用いて情報収集する傾向が強まる中、オンラインを起点とした情報発信や顧客維持の活動がより重要になると、トリペッチいすゞは考えるようになりました。

「自動車販売後もメンテナンスなどでお客様との接点を維持し、次の販売に繋がる流れを強化する為、オンラインを起点とした仕組みも必要と考え、さまざまなCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)ツールを検討しました。今回、NRIタイと組んだのは、販売店向けのシステム構築などでパートナー関係にあり、当社のビジネスへの理解度や、ブライアリージャパンの機能柔軟性などを総合的に勘案した為です」と、トリペッチいすゞの野中副社長は言います。

こうして開発したのが、顧客向けWebアプリ「my-ISUZU」です。販売店システムで管理している購買・メンテナンス履歴などオフラインデータとも連動させ、お客様の行動履歴に応じて個別最適化された形で、情報表示・メッセージ配信できるようにしました。 例えばメンテナンス時期のお知らせや各種クーポン・キャンペーン情報の配信、ロイヤリティ・プログラム、LINE※1を用いた販売店とのチャット機能などがあります。

my-ISUZUの画面イメージ

組織や国籍の壁を越えた開発手法

8年ぶりとなるピックアップトラックのフルモデルチェンジまでにmy-ISUZUをリリースさせると決めた為、導入までの期間は7カ月ほど。この短期間の中でプロジェクトを完遂させるべく、開発スピードを上げる為、段階的に機能追加するフェーズド・アプローチ※2を採用。「お客様に提供したい機能のアイデアはたくさん出てきましたがmy-ISUZUへの登録を促進できるような機能を優先的に開発しました。タイのお客様に受け入れられやすいインターフェースのデザインや、適切かつお客様に響くタイ語での表現などが求められ、様々な役割のタイ人メンバーの協力が欠かせませんでした。その為、会社や組織の枠組みを超え、各メンバーがチーム一丸となって本プロジェクトに全力を注げるよう強く意識しました」と、トリペッチいすゞの山本氏はプロジェクトを振り返ります。

今回、インドネシアを拠点としたオフショア開発を採用した為、プロジェクトとしてもグローバルな連携強化が必要となりました。素早い開発が求められる中、トリペッチいすゞのビジネスメンバーもインドネシアに出張し、エンジニアと直接コミュニケーションをとることもありました。「多国籍でのメンバーが一緒になってスピード重視で開発するには、丁寧なコミュニケーションが欠かせません。また、速やかな意思決定も重要です。トリペッチいすゞの経営陣は、ビジネス部門が積極的に関与してIT部門と協奏しないとプロジェクトはうまくいかないことを深く理解されていたため、非常に短いサイクルで必要な事柄を的確に判断してくださいました。開発を円滑に進めやすかったです」と、NRIタイの木部雄一は語ります。

顧客に愛されるサービスを目指す

リリースから6カ月間でmy-ISUZUの登録者数は30万人を超え、その後も順調に増加。今後は、自動車販売金融や自動車損害保険などトリペッチグループの多様なサービスを展開するプラットフォームとして、より利便性や効率性を高めた顧客体験を提供していくことを検討しています。

「自動車の販売競争の激しさが増す中、顧客のブランドに対するロイヤリティを維持・醸成するためには、車両のメンテナンスや 関連サービスなどの販売後の顧客体験がより重要になります。洗練された顧客体験を通じて、従来の接客で把握できる顧客の行動に加え、my-ISUZU上の顧客の行動を継続的に分析することで、再購入のタイミング予測など次の車両販売に繋がる起点を生み出せるようになります」と、ブライアリージャパンの中根理史は指摘します。
「私たちが想定していないアイデアや使い方を考えて『こんな機能やサービスがほしい』とお客様や販売店などアプリの利用者が提案してくるようになることがmy-ISUZUの本当に成功した姿だと思っています。その実現に向けて、お客様に使ってみたいと思っていただける基本の機能をしっかりと作っていきたい。my-ISUZUは、販売店からの期待も非常に高い為、お客様に愛されるコミュニケーションツールへと一層成長させたいと思います」と、トリペッチいすゞの鈴木副社長は今後への期待を述べました。

  • 1 LINE:LINEは日本国内だけでなく台湾、タイ、ベトナム、インドネシアなどアジア各国で利用可能であり、中でもタイではスマートフォン利用者の9割が利用していると言われるほど普及している。
  • 2 フェーズド・アプローチ:一気にシステムを開発・構築するのではなく、機能ごとなどわけ、段階的に開発を行う方式。
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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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