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なぜ企業はスポーツ支援をするのか――アンケート調査から見える支援のあり方

コンサルティング事業本部 パートナー 三崎 冨査雄
社会システムコンサルティング部 西崎 遼

CSV/CSR

2020/06/08

野村総合研究所(NRI)では以前から企業におけるスポーツ支援の動向を追ってきましたが、このテーマに関しては企業関連の定量データが不足していることが長年の問題でした。そこで、2019年秋に「企業におけるスポーツ支援の実態把握に関するアンケート調査」を初めて実施。その結果と考察について、NRIの三崎冨査雄と西崎遼に聞きました。

スポーツ支援の実態を数字でつかむ

――調査を行った背景について教えてください。

西崎:企業によるスポーツ支援というと、過去にはチームを所有するやり方が主流でしたが、最近ではスポンサー、ネーミングライツ、看板広告の掲出など、支援方法が多様化しています。しかし、その実態を詳しく調べようとすると、具体的な企業数や金額などの定量データが入手できず、いつも壁にぶつかっていました。そこで今回、スポーツ支援を行っている企業の数、支援の方法・目的・費用・対象等を把握するために、東証一部と二部の上場企業にアンケートを送付。このうち201社から回答を得ました。

三崎:費用については、国際大会の支援、チームの支援、選手の支援など、17の取り組みごとに合計100万円以上をかけているかどうかを尋ねました。支店や営業所レベルで地域のスポーツイベントに少額の協賛金を出す例は多いのですが、企業レベルで一定金額以上の支援をしているかの目安として、このような金額設定にしました。

回答企業の約50%がスポーツ支援を実施

――今回の結果から、どのような実態が見えてきましたか。

西崎:全体平均では約50%の企業が何かしらのスポーツ支援を実施していると回答し、売上規模が大きいほど支援する企業の割合が高いことがわかりました。支援内容は、大会やリーグ、競技団体へのスポンサー・サプライヤーが多く、国内のプロ以外のチームを所有しているのはスポーツ支援を実施している企業の23%にとどまりました。また売上規模が大きい企業ほど、特定の地域やチームではなく全国レベルの大会やリーグ全体を支援している傾向も見られました。支援目的は、自社の宣伝、社会貢献・CSR(企業の社会的責任)との回答が多く、競技の活性化や競技力の向上はそれほど重視されていないという結果でした。

三崎:日本企業が海外の大会、選手やチーム、リーグなどを支援する取り組みはまだ少ないこともわかりました。日本の大会でも海外企業がスポンサーをしている例があるように、今後は日本企業による海外でのスポーツ支援がもっと増えていくだろうと推測しています。

――事前の予想と違っていた点はありましたか。

西崎:ほぼ予想通りの結果で、感覚的に思っていたことがデータで確認できたというのが率直な感想です。数字の大小は今回の調査だけでは何とも言えません。ただし、回答にあったようにスポーツ支援の主目的が社会貢献やCSRだとすれば、オリンピック・パラリンピック後にスポーツの注目度が下がり、かつ明確な費用対効果を求められる場合、スポーツ支援が下火になることが懸念されます。というのも、社会貢献の対象は芸術や文化など、スポーツ以外でもたくさんあるからです。スポーツ支援の維持や拡大には、支援する側もされる側も、支援の目的や提供価値を明確にし、互いにウィンウィンの関係を構築することが重要だと考えます。

ノウハウやデータを活かした課題解決型の支援もできる

――どのようなウィンウィン関係が可能でしょうか。

西崎:例えば、プロスポーツリーグは全国津々浦々にチームや選手を通じたファンとの接点があり、そこでさまざまなデータもとれるのですが、それを十分に活かすノウハウを持っていないことが多いです。一方、リーグのスポンサー企業には、データ活用によるマーケティングなどのノウハウは持っているものの、自社サービス以外での顧客接点やデータを持っていない企業がおり、そのような企業にとって、リーグの持つ顧客基盤やデータは魅力に感じます。そこで両者が協力して互いのノウハウやデータを掛け合わせることで、それぞれのビジネスの拡大に役立てることができます。このように双方の目的意識が明確になっていれば、オリンピック後にスポーツへの人々の関心が低下したとしても、継続的な支援につながると考えられます。

三崎:以前NRIが行ったスポーツ関連調査で、「スポーツは国民の幸福に寄与する」という結果が示されました。実際に、2019年のラグビーワールドカップでは日本全体が盛り上がり、まさにスポーツによって国民が幸せを感じたと言えるでしょう。このようにスポーツ支援は社会貢献につながりますが、その際、お金を出して宣伝を手伝うだけでなく、競技力を高めるために企業の持っているノウハウ、技術などを提供したり、競技団体の課題を解決する方法を考えたりしていくと、より意味のある支援活動になると思います。

西崎:スポーツ全体を活性化する意味では、大企業だけでなく、ベンチャー企業や中小企業なども積極的にスポーツ支援に参加できる環境があるとよいと思います。支援形態が多様化しているので、かつてのようにチーム所有が主流だった頃ほどスポーツ支援のハードルは高くありません。私たちNRIは今後も企業のスポーツ支援について定点観測を継続し、データに基づく提言や支援を行っていきたいと考えています。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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