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レジリエント・スマートシティ~ウィズコロナ、アフターコロナ時代の安全で快適な街の実現へ向けて

グローバルインフラコンサルティング部 又木 毅正、石上 圭太郎、高見 英一郎

スマートシティ

2020/08/14

デジタル技術を活用して、都市インフラ・施設や運営業務等を最適化し、企業や生活者の利便性・快適性の向上を目指すスマートシティ。構想フェーズから具体化フェーズへと動き出す中で、コロナ禍はどのような影響を及ぼすのでしょうか。都市計画、スマートシティの専門家である野村総合研究所(NRI)の又木毅正、石上圭太郎、高見英一郎にスマートシティの現状や課題について聞きました。

コロナ禍で生じた新ニーズに、スマート技術で応える

――過去1年間でスマートシティ関連の取り組みに何か変化がありましたか。

2019年下半期より、スマートシティのコンセプトを構築するフェーズから、街の設計や必要なインフラ、データ取得方法、実現可能なビジネスなどを具体的に考えるフェーズに切り替わったと感じています。具体性が高まるにつれて、より踏み込んだ課題も見えてきました。例えば、生活関連のあらゆるサービスが利用できるスーパーアプリと都市単位の独自ポータルアプリ(街アプリ)をどう融合・棲み分けさせるか、また数百~千ヘクタールの狭域でどのようにスマートインフラを設計していくか、などです。

――コロナ禍によって新しいライフスタイルを経験する機会が増えていますが、スマートシティの考え方にも影響があるのでしょうか。

都市はもともと集積のメリットがあるから形成されるのですが、そこから人口集中、環境悪化、長距離通勤などの問題も生じます。これまでは、そうした都市の問題を解決し、クオリティオブライフを高めることを目的として、ICTやAI、IoTなどを駆使したスマート技術などで、最適化したインフラやサービスを検討してきました。そこに、今回のコロナ禍によって、3密(密閉・密集・密接)空間を避け、感染症の拡大を防止しながら、安全に快適な生活をしたいという新しいニーズが浮上したのです。

この新しいニーズに対し、移動データやパーソナルデータをトラッキングして解析する従来のスマート技術がそのまま、接触者の経路管理や警告発信に応用できるという再発見がありました。また、そうした新しい機能を標準的に組み込むなど、ウィズコロナ、アフターコロナ時代のレジリエント(強靭な)・スマートシティに求められる新基準を考えるきっかけにもなっています。

デジタルゼネコン機能の確保と「スマートX」の収益化が課題

――感染症に対してもレジリエントな街をつくる際の重要課題は何でしょうか。

従前から指摘していることですが、設備、データ、システム、都市内の活動を結び付ける「デジタルゼネコン機能」の確保が非常に重要です。スマートシティの実現においては、ICTやデジタル系の機能、建築・設計の機能、重電やエンジニアリングの機能など、多数の要素を組み合わせなくてはならないため、具体化フェーズでは全体をまとめる役割の必要性が一層鮮明になっています。たとえば、グーグルの兄弟会社サイドウォーク・ラボは外部の人材を採用する形で、シンガポールのSTエンジニアリングは関連するグループ会社を束ねる形で、それぞれデジタルゼネコンチームを編成しています。これは、日本で参加プレイヤーの座組みを考えるうえでの参考になると思います。

また、同じく具体化フェーズで議論にのぼるのが、どのように収益化するかです。スマートシティでは、最初に土地、設備、機械などへの長期投資が発生しますが、これは高速鉄道や火力発電所など単体インフラへの投資とは桁違いの規模です。一方で、運営費や都市の消費支出からの収入が見込まれ、多様な収益機会が生み出される余地があります。スマートエネルギー、スマートモビリティ、スマートビルなどのスマートインフラや、街アプリ、スーパーアプリなどのスマートライフといった、街の構成要素となる「スマートX」事業のそれぞれで収益機会を追求し、ビジネスとして成立させる必要があります。

サイドウォーク・ラボやSTエンジニアリングのように、企業内やグループ内であれば、赤字部門を黒字部門がカバーするやり方がとれますが、多様な外部プレイヤーが参加している場合、いかにエコシステム(生態系)を設計し、それぞれが得意分野で強みを発揮して収益を出せるかが重要になります。

スピード感をもって、新しいライフスタイルを創出する

――スマートシティの今後の展望について教えてください。

ニューノーマルのライフスタイルは、従来と大きく変わるのか、変わらないのかで議論が分かれますが、スマート技術をうまく活用すれば、どちらに振れても、より安全で快適な生活を実現できるはずです。「スマートX」で構成される街の中では、従来とは違った形でデータが取得でき、様々な実験ができるので、企業の研究開発やインフラ管理の在り方も一変する可能性があります。企業にとっては、短期的な利益を見込めなくても、中長期的な果実を目指して取り組むだけの価値があります。

しかし、スマートシティに関心を持ち、検討はしても、次の一歩を踏み出せない企業もこれまで多く見てきました。コロナ禍を逆手にとってチャンスに結び付けるためにも、海外に負けないスピード感をもって、このタイミングで実験や参入をする企業が増えることを期待していますし、私たちもそのご支援をしていきたいと思っています。



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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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