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Society 5.0とサイバーセキュリティ

NRIセキュアテクノロジーズ ストラテジーコンサルティング部 木村 匠

DX

サイバーセキュリティ

2020/08/25

人とモノがIoTでつながり、知識や情報を共有することで新たな価値を生み出す。AIを活用したロボットや自動走行車などの技術で社会問題を解決する。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)が融合し、経済発展と社会的課題の解決が両立する社会は、日本が目指す未来の姿として「Society5.0」と呼ばれています。ですがこのSociety5.0には、新たなセキュリティリスクが生じる可能性があります。Society 5.0と呼ばれる社会でサイバーセキュリティはどのように変容するのか、重要インフラ領域におけるサイバーセキュリティの動向に詳しい木村匠に聞きました。

これからのサイバー攻撃はフィジカル空間にも影響を及ぼす

2016年に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」において、日本が目指すべき未来社会の姿とされているのが「Society 5.0」です。これは狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(同2.0)、工業社会(同3.0)、情報社会(同4.0)に続く新たな社会を指すものであり、IoTやAI、ロボットといった技術を活用することにより、「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」と内閣府のWebサイトでは説明されています。

このSociety 5.0を実現するのは、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムだとされています。しかし、ここにセキュリティ上の新たなリスクが生じると木村は指摘します。

「初期のサイバー攻撃の脅威は、基本的にサイバー空間内に限られていました。しかしサイバー空間とフィジカル空間が融合すると、サイバー攻撃の影響がフィジカル空間にも及ぶことになります。実際、サイバー攻撃によって工場の操業を停止したといった事例は数多く発生しています。また、フィンランドではビル管理に関連するシステムがサイバー攻撃を受け、マンションの暖房が一時的に停止するといった事件も起きています」

さらに木村は、より深刻なサイバー攻撃も起こりうると警告します。

「糖尿病患者のインスリン投与や血糖値管理を行うインスリンポンプと呼ばれる医療機器に脆弱性があることが判明しました。この脆弱性を悪用すれば、不正にインスリンの投与を行うことが可能であり、命に関わる事態に発展する可能性もあります」

従来、仮想空間の安全を守るのは「セキュリティ」であり、現実空間における「セーフティ」とは区別されていました。しかしSociety 5.0の時代では、この2つを一緒に考える必要があると木村は語ります。

Society 5.0で人間中心の社会を実現するにはセキュリティが重要

Society 5.0が初めて提唱された第5期科学技術基本計画は2016年度から2020年度までを対象としたものであり、現在は2021年度以降に向けた新たな計画として「科学技術・イノベーション基本計画」の策定が進められています。この新たな計画におけるSociety 5.0について、木村は「包摂(全ての人々が社会の構成員としてサービスの効果を享受できること)」がクローズアップされるのではないかと述べました。

「科学技術・イノベーション基本計画の策定に関わる資料などを見ていると、包摂を意味する『インクルーシブ』が重視されていることが見て取れます。つまり、すべての人がSociety 5.0のメリットを万遍なく受け取れるべきであるというわけです」

特に、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大で注目を集めた、オンライン授業やオンライン診療などは、すべての人が等しくメリットを享受することが重要視されるべきサービスの一例でしょう。また、近年注目を集めているスマートシティについても、フィジカル空間とサイバー空間の融合を、人々が暮らす都市において実現しようとしており、そこに住むすべての人がメリットを享受できることが必要でしょう。インクルーシブの視点を重視するのであれば、こうしたサービスを誰でも利用できること、さらにサービスを継続して利用可能であることが重要だと木村は話します。

「フィジカル空間と密接に関連するサービスがサイバー攻撃を受けて使えなくなれば、現実空間でその影響を受ける人が出てくることになり、インクルーシブの観点で望ましくない状態に陥ります。このような事態を防ぎ、すべての人が安心して利便性の高いサービスを利用できる社会を実現するためには、セキュリティが担う役割は極めて大きいのではないでしょうか」

なおNRIセキュアテクノロジーズでは、官公庁からの委託によりさまざまな調査研究を行っているほか、制度設計に関わる場面も少なくありません。それによって得られた知見・ノウハウをもとにサイバー空間とフィジカル空間を融合するシステムの開発についてセキュリティの側面から支援できるほか、サービスの企画段階からセキュリティ上のリスクを分析することも可能です。

「Society 5.0で目的としているのは、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会の実現です。また、その考え方はウィズコロナ/アフターコロナの時代においても有効でしょう。そこで大きな役割を担うテクノロジーの安全な活用を支えるために、NRIセキュアテクノロジーズとしてセキュリティおよびプライバシー確保に向けた支援を積極的に行っていきます」

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