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「70歳雇用延長制度」を見据え、ポスト団塊世代は働き方をどう考えるのか

NRI社会情報システム株式会社 代表取締役社長 小松 隆
シニアコンサルタント 高田 伸朗

2020/09/10

NRI社会情報システムでは、毎年55〜79歳のシニア層を対象に、就業意識・行動に関する調査を実施しています。今回は、「高年齢者雇用安定法」の改正で、企業に対して「70歳までの就業機会確保」の努力義務が2021年4月より適用されることから、この制度改正に関して調査を行いました(「変わるシニア世代の就業意識・行動」アンケート調査)。その結果について、NRI社会情報システムの小松隆と高田伸朗に聞きました。

「70歳雇用延長制度」でシニアの働き方はどう変わるのか

「高年齢者雇用安定法」の改正で、2021年4月からは企業に対して「70歳までの就業機会確保」の努力義務が適用されるようになります。これまでは定年廃止、定年延長、もしくは契約社員などでの継続雇用で、希望者全員の65歳までの雇用が義務化されていましたが、今回の改正でこれが70歳まで延長されます。また他社への再就職、フリーランス契約、起業支援、社会貢献活動支援が加わり、シニアの就業の選択肢が拡大しています。
70歳までの雇用延長について、民間企業の約8割は「比較的現実的な問題」と認識しているとの調査結果があります(ライフワークス「70歳就労社会に関する調査」、2019年6月)。このような企業視点での調査はさまざまあるものの、当事者であるシニアの目にどう映っているかについての意識調査は十分に行われていないと考え、NRI社会情報システムでは、そこに焦点を当てた調査を2020年3月に、2,500人を対象として行いました。

アンケート結果から見えてきたシニア就労の動向とは

対象となった55〜79歳の回答者のうち、仕事をしている人は全体の37%ほどでした。60〜64歳の男性の就業率は約70%ですが、65~70歳では約40%と大きく減少しています。また、女性の55〜64歳層では、「いずれは働きたいと思っている」潜在的な求職者が約15%います。
55〜79歳の回答者のうち、現在就業している人の約39%は正社員です。男性は年齢とともに急激に正社員の割合が減少し、就業形態が多様化する傾向があり、女性は70歳代半ばまで、パート・嘱託が最も多い状況が続いています。
正社員として働く人の約73%が定年制度のもとで就労しており、そのうち定年前の人が「再雇用制度で同じ職場で働く」と考える割合は約46%にとどまり、定年前のシニアが考える定年後の働き方は多様であることが分かりました。
また、定年後も正社員として働いている人の約80%は、再雇用制度等を利用して定年前と同じ職場で働いていました。定年前と比べて労働時間や仕事内容が「変わらない」と回答した割合がそれぞれ約69%、約59%と高いものの、賃金については約72%が「減少した」と回答しています。一方、仕事の満足度は年齢とともに高まり、女性の方が、どの年齢層でも男性より満足度が高い傾向にあります。

「70歳雇用延長制度」の内容をよく知っている人の割合はわずか20%

「70歳雇用延長制度」について、「内容をよく知っている」人は全体の約20%にすぎず、約68%が「聞いたことがある」程度の理解に留まるなど、制度の認知度は必ずしも高くありません。しかし、男女ともに年齢が上がるほど認知度は高まる傾向にあり、男性の場合、「内容をよく知っている」人は55〜59歳で約14%だったものが70〜74歳では約29%へと増加します。

「70歳雇用延長制度」に対する評価では、約18%が「良い制度だと思う」、約36%が「どちらかと言えば良い制度だと思う」と回答しており、男女とも、年齢が上がるほど評価する割合は高くなっています。ただ、今後実際に制度の恩恵を受けるはずの55〜64歳の男性層では、プラスの評価をする割合が40%程度にすぎないという結果もでています。
また、現在就業中の人の回答を見ると、現在の仕事への満足度が高い人ほど、または健康な人ほど制度を利用してより長く働きたいと考えていることが分かります。そして、金融資産保有額との相関関係が見られないことから、シニア層の働く理由が、経済的なものだけではないことも分かります。

「70歳雇用延長制度」に前向きなシニア世代は多様な働き方を希望

制度を用いた70歳までの働き方として、「今の仕事を続けつつ、兼業で別の仕事にも取り組みたい」という回答が目立ち、55〜59歳で57.8%、さらに60〜64歳では68.3%と、兼業への関心は高まります。
兼業に対する関心の高さと、現在と同じ産業で引き続き働きたい人の割合の関係を産業分野別に見たところ、教育・学習支援業や医療・福祉業では、現在と同じ産業内に留まることを希望しつつ兼業への関心も高い傾向にありました。対照的に、金融・保険業や建設業では、現在働く産業で働き続ける希望は少なく、他の産業での兼業に関心が高いことが分かりました。

就労ニーズと求人ニーズの間のマッチングも重要に

制度の利用の可能性については、今後雇用延長制度の適用対象となる正社員として働く55〜64歳のうちの半数が、制度を利用して70歳まで働くつもりであるという意思を持っていることも明らかになりました。「70歳まで、あるいはそれ以降も働く」と答えた人が約27%、「多分、70歳まで働く」と回答した人が約23%となっています。55〜59歳に比較して60〜64歳の方が、より現実の問題と捉えるようになっていることから、70歳までの就業意向が強く現れています。また、「70歳まで、あるいはそれ以降も働く」と答えた人が実際に働き続けたい年齢は、平均で72.8歳と、70歳は決して節目ではなく、長く働き続けたい意向が見て取れます。

定年前のシニアが考える働き方は、再雇用制度によって同じ職場で働くだけではなく、自分で別の就職先を探して働くなど多様であることから、就労ニーズと求人ニーズの間のマッチングをはじめ、70歳以降の就業へのスムーズな移行など、シニアが働き続けるためのさまざまな支援策が求められます。

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