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新型コロナウイルスが外食・娯楽・旅行関連消費に与えた影響と需要回復の展望

社会システムコンサルティング部 毛利 一貴、西崎 遼、島村 安俊、田中 和香子、水石 仁
マーケティングサイエンスコンサルティング部 梶原 光徳、白井 雄志、原野 朱加
コンサルティング事業本部 パートナー 三崎 冨査雄

2020/09/23

新型コロナウイルスの感染拡大と、それにともなう政府や自治体からの外出自粛要請や緊急事態宣言発令により、外食・娯楽・旅行のための外出機会が大幅に減少しました。野村総合研究所(NRI)では、その実態や影響を把握するために緊急事態宣言発令以降3回にわたって大規模追跡調査として「新型コロナウイルス感染拡大に伴う生活・消費行動に関するアンケート」を実施し、消費者の意識変化、行動変容の実態を解明するとともに、今後の需要回復の見込みや対策の方向性を展望しました。

外食・娯楽・旅行関連消費の大幅な落ち込みと、産業ごとに異なる回復の差

新型コロナウイルスの感染拡大により、外食・娯楽・旅行関連消費の落ち込みが激しく、関連産業へのインパクトが大きいことが、5月に実施された総務省の「家計調査報告」によって明らかになりました。NRIでは2020年4月下旬、5月下旬、および6月下旬の3回にわたり、全国約1万人の生活者を対象にインターネット調査を実施しました。そして、このうち3回とも回答した8,024人を対象に分析を行い、新型コロナウイルスが外食・娯楽・旅行関連業にどのような影響を与えたのかを明らかにし、回復策について考えました。

国内感染拡大前に数年に1回程度以上の頻度で外食、娯楽、旅行を実施していた人の数を100%とした場合、緊急事態宣言期間中に当該行動を実施していた人は外食31.0%、娯楽12.1%、旅行は6.2%にまで落ち込みました。そこから6月下旬までに外食67.5%、娯楽30.7%、旅行も14.4%と徐々に需要が回復してきました。

また今後、新型コロナウイルス感染症が国内で終息するまでの期間に外食や娯楽、旅行の行動を再開するかどうかについては、再開時期未定を含め、外食91.3%、娯楽81.5%、旅行も76.0%にまで回復する見込みであることが分かりました。さらに、国内終息宣言が発令された後では、それぞれ95%以上に戻るものの、100%には至らないという結果でした。

今後の行動再開の動きは、ジャンルごとに異なる傾向を見せています。すでに回復基調にあり今後さらに回復する「外食・運動」や、今後急速に回復する見込みの「イベント・旅行」、すでにある程度回復しているものの今後の回復スピードが遅い「遊興施設」、これまで回復が鈍く今後も回復が遅い「バー・ナイトクラブ」と、大きく4つのパターンに分類できることが分かりました。

外食については「料理店・レストラン」の利用が最も早く回復、次に「喫茶店・カフェ」「ファーストフード」、その後に「居酒屋」利用が回復するという結果でした。また、日頃の利用頻度からの分析では、外食を週1回以上利用する「ヘビー層」の需要は、緊急事態宣言中も5割を維持し、緊急事態宣言が39県で解除された5月15日以降では9割弱に回復していることが分かりました。
旅行については、まずは「日帰り」から回復が始まり、次いで「宿泊・近場」、「宿泊・遠方」へという結果が出ました。興味深いのは、金銭面のゆとり(世帯年収)と旅行再開意向の相関が示唆されていることでした。

すべての行動の根底に、感染リスクとの戦いや葛藤があることが明らかに

外食・娯楽・旅行を再開した人に理由を尋ねたところ、1番多かったのが「緊急事態宣言の解除」で51.1%、次が「移動自粛や休業要請の解除」で31.5%でした。主観的な判断や考えに基づいた理由で再開する人が少数派であったことも見えてきました。また30代以上では、再開の理由として「店舗・施設での感染防止対策の徹底」を挙げる比率が年代とともに上昇し、感染リスク抑制のため、外出先の具体的な状況を気にかける様子がうかがえました。

一方で自粛を続けた人もおり、その理由は「(自分が)感染するリスク」が48.6%、「ワクチン等がないこと(感染後のリスク)」が29.8%、「他人を感染させるリスク」が28.1%でした。外食・娯楽・旅行を実施した人のうち95%以上は、何らかのきっかけで再度自粛する可能性があることも分かりました。具体的には「緊急事態宣言の再発令」が64.7%、「知事による外出自粛要請」が51.6%、次いで「新規感染者増加」が49.0%でした。このように調査全体を通して、すべての行動の根底に感染リスクとの戦いや葛藤があることが明らかになりました。

感染対策の徹底と消費喚起に向けて

今後の消費喚起、消費促進のためには、事業者は感染防止策、衛生管理の徹底を進める必要があると考えられます。これには、事業者単独の努力に加え、政府や行政からの働きかけによる防止策の徹底も重要です。

消費者に対しては、「新しい生活様式」の周知徹底が必要です。特に、「新しい生活様式」のうち、3密を避ける、手洗いをするなどの「基本的な様式」(本調査では9項目を取り上げた)を全く実施していない人が6.3%、1つしか実施していない人が11.8%と、予防意識の低い人が外出している状況がアンケートから判明しているので、さらなる「新しい生活様式」の周知徹底が重要です。

本追跡調査実施後の7月に入って新型コロナウイルス感染者数が急増するなど、感染状況が日々変動していくため、新型コロナウイルスに関する各種制度設計についての政策判断にも柔軟な対応が求められます。Go To キャンペーンを利用したい人の理由に、経済再興のため、事業者のためという回答もありました。近頃では「応援消費」の機運も高まっており、クラウドファンディングを活用した支援スキームも出現しています。こうした機運をうまく取り込んで、共感を醸成していくことも重要でしょう。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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