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進化するTHE SUIT COMPANY~ロイヤリティプログラムで一人ひとりに寄り添う「かっこいい」を~

THE SUIT COMPANY TSC営業部 副部長 今井 康友氏、営業企画・マーケティンググループ サブマネジャー 東 史織氏
ブライアリー・アンド・パートナーズ・ジャパン Senior Director 中村 梓、Director 石黒 佑季

2021/06/03

「ハイファッション、ハイクオリティな商品を最高の立地でリーズナブルな価格にて提供する」というコンセプトで店舗を展開してきたTHE SUIT COMPANY。近年のファストファッションやECの台頭に加えて、コロナ禍でスーツを着る機会が減り、同業界には逆風が吹いています。その中で、THE SUIT COMPANYは店舗で楽しめる体験を提供し、お客さまとの関係を深めようとブライアリー・アンド・パートナーズ・ジャパン(以下、ブライアリー・ジャパン)と協力しながらロイヤリティプログラムの導入に取り組みました。この新しい試みが生まれた背景や、想いについて両社にお話を伺いました。

お客さまの反応に沿った厚遇策で差別化を図る

「顧客ロイヤリティの向上は以前から重視し、ポイントプログラムなども導入していましたが、サービスが行き届かず、差別化に役立っていませんでした」と語るのは、THE SUIT COMPANYの今井康友氏。男性客に加えて女性客も増え、より高い付加価値が求められていると感じて新たなサービスを検討する中で偶然知ったのが、YEBISU BARアプリによる電子スタンプを使った取り組みでした。そこで、この電子スタンプを使ったロイヤリティプログラム「b-stamp」を提供しているブライアリー・ジャパンに声をかけ、独自の顧客エンゲージメント・プログラムをつくろうと、スマートフォン用アプリのサービス拡充に着手しました。

そして2020年12月に、お客さまの購買金額をベースに設定したステージに合わせてさまざまな特典を配信する新サービス「マイスタンプ」をザ・スーツカンパニー&ユニバーサルランゲージ公式アプリに追加リリースしたのです。飲食や消耗品と違って、スーツは年に何度も買う商材ではありません。そうした商品特性を考慮しながら、購買額の閾値の設定やステージアップを促す内容を、特に時間をかけて入念に練り上げました。さらにシーズナルキャンペーンとして、季節毎の指定アイテムを3つ購入するとコンプリート特典が受けとれるなど、楽しみながらお得な買い物ができる工夫も凝らしました。

「単にスタンプを集めるだけではお客さまは飽きてしまうので、スタンプラリーなどでゲーム性を持たせる工夫も必要です。それと同時に、スタンプの楽しさを保ちながら、店内のオペレーションが複雑になりすぎないよう、シンプルな仕組みになるよう心がけました。店舗スタッフの負担になって、お客さまにお勧めしなくなっては逆効果ですから」と、ブライアリー・ジャパンの石黒佑季は設計上のポイントを挙げます。

お客さまに求められるサービスを深く考える環境へ

「開始してまだ半年ですが、スマートフォン上でスタンプが押され、それに対してクーポンが配信されるのは新鮮で楽しいとお客さまに喜ばれています。スタッフもご来店いただいたお客さまとのコミュニケーションの一つのツールとして役立つことがわかったので、積極的にお勧めしています」と、THE SUIT COMPANYの東史織氏は手応えを感じています。

新ツールを導入してみて一番印象的だったのは、バースデークーポンの利用が多かったことだと、今井氏は明かします。「通常のニーズと違う時期でも、自分へのご褒美として利用する。これはロイヤリティの向上につながる1例だと感じました。コロナ禍で店舗の売上は落ちましたが、カウンセリングを通じて自分だけの一着をつくるオーダースーツの予約件数は伸びています。クーポンでそうしたサービスに誘導するなど、いろいろな仕掛けもしやすく、お客さまに向けてどういうサービスを提供すればいいかを私たち自身も深く考える環境になってきたと思っています」

ロイヤリティプログラムで苦境をチャンスに変える

ロイヤリティプログラムは、一度仕組みを作ったら終わりではなく、お客さまの価値観、考え方、ライフスタイルの変化に合わせて進化させることが大切です。東氏は今後の活動について次のように話します。「お客さまアンケートで何が喜ばれるかを加味したうえでクーポンの内容を設定しましたが、それが実際にお客さまのニーズに合っているかを検証しながら、ロイヤルカスタマーをじっくりと育てていきたいと思っています。ゆくゆくは、店舗だけでなく、オンラインでもクーポンをご利用いただくなど、サービスを充実させたいと考えています」

コロナ禍で、緊急事態宣言で外出禁止になったかと思えば、GoToキャンペーンの開始や中止など、状況は刻々と変化しました。「そうした変化に対応するのは大変ですが、ロイヤリティプログラムの仕組みがあれば、変化するお客さまの動向や嗜好データを集めてトラッキングし、カウンセリングやオーダースーツへの誘導、ECサイトに誘引など、事業方針にも柔軟に対応した新しい働きかけが可能になります」と、ブライアリー・ジャパンの中村梓はこの取り組みの可能性の広がりに触れ、「施策に対するお客さまの反応に、的確なインセンティブを提供して満足度を高めることで、リピートや購買の促進などにつながります。変化に応じたエンゲージメントの強化によって、今までのサービスにはない好循環がお客さまと生み出せるのです」と話しました。

「短期的に売上を高めるだけでなく、長期的にお客さまと接点が持てる環境をいかに作り出せるかが、今後、ブランドも企業も成長するうえで重要なポイントです」と、今井氏は指摘します。さらに、「お客さま一人ひとりと向き合い、マイスタンプなどのサービスを通じて、身近な存在であるスーツブランドになれればと思います」と、このロイヤリティプログラムを活用した顧客体験をTHE SUIT COMPANYのチャンスに変えていく意気込みを語りました。

関連リンク

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