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DX時代のIT人材活用

産業ITイノベーション事業本部 副本部長 小暮 典靖

#DX

#IT人材強化

2021/10/19

『知的資産創造』2019年5月号に「デジタル時代とIT人材不足」をテーマに寄稿した。あれから2 年、コロナ禍という大きな環境変化を契機とした経済・社会のデジタル化の加速によって、IT人材不足はさらに深刻化している。
一言でIT人材と言っても、ユーザー企業におけるIT人材と、IT企業におけるIT人材とでは求められるものが大きく変わってくる。一般的にユーザー企業におけるIT人材には、何をやりたいのかをとりまとめる能力が求められる。一方、IT企業におけるIT人材には、やりたいことを実現する能力が求められる。ここを理解せずに人材を登用すると、スキルミスマッチが発生してしまい、せっかく採用した人材がその能力を発揮できずに、すぐまた転職してしまうということになりかねない。

日本企業のDXにおける問題

2000年代、日本のIT企業は赤字プロジェクトに悩まされてきた。その結果、やりたいことをまとめるところ(要件定義)はユーザー企業の責任で実施してもらい、やりたいことを実装するところ(開発工程)だけに注力するようになった。しかし、このことにより、要件が決まっていないとシステム開発ができない人材が増えてしまった。さらにここ十数年、ゼロからシステムを構築するケースは大幅に減り、今あるシステムの改修が中心となっている。そのため、IT企業におけるIT人材もゼロからシステムを構築する経験を積んでいないことが多い。
ところがデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進には、このゼロからシステムを構築する能力が求められるのである。こうしたDXを構築することができる人材の多くは、旧来のIT企業(システムインテグレーター)ではなくITベンチャー企業に在籍している。では、ベンチャー企業からIT人材を登用すればDX化が進むのかというと、それも違うと考える。ベンチャー企業の最大の強みはスピード感である。意思決定のスピードが速く、モノづくりも速い。これを日本の大企業でやろうとすると大きなギャップが出てくる。
大企業のシステムは、大企業であるがゆえに重厚長大である。当然、社内説明に相応の時間と労力を取られ、意思決定にも時間がかかる。すぐにやりたいことができるわけではない。社長と直談判して、やりたいことにすぐに取り掛かれていたベンチャー企業の出身者は、このスピード感の違いに耐えられず、もっとやりたいことができる企業へと転職していってしまうことになる。
日本のDX化を遅らせているのは、日本独特のシステム開発発注プロセスのせいだと言われることがある。日本人は良くも悪くもこだわりが強いため、サービス、パッケージをそのまま導入せず、さまざまなオプション(スクラッチやカスタマイズで作り込みを行う)を求めてしまう。システム導入をする場合、まずRFP(提案依頼書)を提示する。RFPに対して開発ベンダーが提案を行い、ベンダー選定、最後に社内決裁という流れになっている。しかしこの進め方だと、開発の着手までに3 カ月から半年かかる。米国でこれだけの期間があればシステムの導入が完了している。このスピード感の違いを埋めるために、内製化を志向する企業が増えてきている。

IT人材の有効活用に向けて

ではユーザー企業で内製化する場合、どの程度のIT人材が必要になるのだろうか。IT投資額が年間10億円の企業を例に試算してみよう。簡便化するために、ここでは外注費を1 人当たり月100万円と仮定して考えると、約80人の追加確保が必要となる。年間100億円のIT投資している大企業ともなれば、800人もの増員が必要となる。これだけを見ても内製化が現実的に難しいということが分かる。やみくもに内製化を目指すのではなく、どの領域を内製化するのかを見極めなくてはならない。
国全体でのIT人材不足をカバーするためには、ITおよびIT人材をより効率的に活用することを考えるべきである。そのためには、システムに対する考え方も変えていかなければならない。自社の業務に合わせたシステムをスクラッチで開発するのではなく、外部サービスやパッケージに自社の業務を合わせていくことが肝要である。

野村総合研究所(NRI)では、証券業界向けに「STAR」という業界標準プラットフォームを提供している。このプラットフォームによって、証券業界におけるIT人材の有効活用に大きく貢献できていると思っている。 このように、こだわりを捨てる部分とこだわる部分を明確に分けることが、IT人材の有効活用につながり、DXの推進力強化につながるのではないかと考える。IT人材を確保するにあたり、あらためて次のようなことをぜひ整理していただきたい。

  • どこにこだわるのか(内製化)
  • こだわりを捨てるのはどこか
  • (こだわりを実現するために)どんなスキルセットを持った人材がどのくらい必要なのか

 

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E-mail: kouhou@nri.co.jp

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