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エコ食品のニーズは、地球温暖化の危機意識で増えるのか

ITマネジメントコンサルティング部 佐野 則子

#サステナビリティ

2021/12/09

野村総合研究所(NRI)では、2021年8月6日~9日、全国47都道府県の20代から60代の個人3,131人を対象に、地球温暖化の防止に貢献する「エコ食品」の選択意識について、インターネットでアンケート調査を実施しました。
温暖化の危機意識とエコ食品の選択意識の関連性、調査から見えてきた課題、フードビジネス事業者に求められる取り組みについて、調査を実施したNRIの佐野則子に聞きました。

地球温暖化が危機的で、対策が「緊急」と考えるハイアラート層は4割強

2021年8月9日、国連の専門家会議であるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、温暖化の原因は人類にあり、2040年までに産業革命前と比べて気温は1.5℃上昇する可能性が高い、また1.5℃上昇すると10年に一度の豪雨は1.5倍、異常気温は4.1倍発生すると報告しました。そして、地球全体で排出する二酸化炭素を2020年年初以降5000億トンに抑えれば、50%の確率で気温上昇を1.5℃に抑えることに成功すると予測し、対策が緊急であると示唆しました。現在の世界の二酸化炭素排出量は年間約400億トンで、あと12年で5000億トンに到達します。

一方、日本人の地球温暖化に関する危機意識はどうでしょうか。同時期に行ったNRI調査で、生活者に地球温暖化について自身の考えに近いものを尋ね、生活者を3つの層に分類しました。
温暖化は危機的で、温暖化の原因は人類にあり、対策が緊急と考える「ハイアラート層(43%)」、温暖化は起こっていない、起こっていても自然のサイクルと考える「ノンアラート層(6%)」、それらの中間の「ミドルアラート層(51%)」です。

6割の人が「エコ食品」を選びたい、でも、どれがエコ食品なのかわからない

多くの生活者が頻繁に行うのが、食品の購入です。調査では、温暖化防止に貢献するエコ食品を選びたいとする人は、全体の6割を占めました。ノンアラート層では1割、ミドルアラート層では5割、ハイアラート層では8割弱にのぼり、温暖化の危機意識が高まるとエコ食品の選択意識も高まると考えられます。

しかし、調査では7割強が「どれがエコ食品なのか判断情報がない」と回答し、エコ食品を選びたいと思わない人は、理由の筆頭が「本当にエコ食品なのかわからないから(45%)」でした。また、エコ食品を扱う専門店に関心がある人でも、その3割弱は、「価格が高くなるのは、いやだ」と回答し、一方、価格が「10%高い程度」であれば、関心がある人の2人に1人が許容すると回答しました。

エコ食品をうたっている食品への懐疑心やエコ食品かどうかを判断するための情報不足、価格が高くなることが、エコ食品を選ぶ上でのネックとなることがわかります。

プラスチック容器・包装に不快、「天然素材の容器・包装を使用した食品」を優先したい

どういうエコ食品を優先して選びたいかについて、最も多かった回答が、「天然素材の容器・包装を使用した食品」でした。全体の6割が優先度が高いと回答し、ハイアラート層では8割弱にのぼります。調査では、食品の購入で不快に思う点として、「容器・包装にプラスチックが多いこと」をあげる人が3人に1人はいることもわかっています。

他にも、2人に1人は、二酸化炭素を農地に吸収する「バイオ炭を活用した農作物」を優先したいと回答し、同じく2人に1人が、温暖化防止に貢献する「オーガニック食品」に関心があるとしました。

エコ食品を選びやすい仕組みづくりが必要

今後、エコ食品を選びたいと望む多くの生活者に向けて、エコ食品を選びやすい仕組みづくりが必要となります。
最も重要なのは、「本当にエコ食品なのか」という問いに答えることです。
調査では、 「生産方法」(例:農法)「原材料」「電力」「容器・包装」の見直しや、「温暖化ガスの吸収」などに取り組んだ食品は、いずれも優先して選びたい意向や関心度が高いという結果が出ています。特に、容器・包装や原材料を見直した食品は、生活者にとって地球温暖化防止への貢献が具体的にわかりやすいといえます。

その際、食品の許容価格は、生活者の層や食品ブランドごとに異なるため、各々に「目標価格」を設定し、IT技術(デジタル)の活用や協業などで、生産・加工・物流・販売の過程で効率化を図り、価格上昇を抑える必要があります。同時に、加工品化やブランド化などで食品の付加価値と単価を上げる両面の工夫を行い、「目標価格」に近付けていくことが求められます。

また、こうして地球温暖化防止の取り組みができたエコ食品が、生活者にとって選びやすいことも重要です。調査では、2人に1人はエコラベルを確認したい(58%)、エコ食品を扱う専門店に関心がある(56%)、ポイントがもらえるとエコ食品を選ぶように変わる(58%)、と回答しています。多方面からのアプローチで、エコ食品を選びやすい仕組みにすることが必要です。

温暖化の危機意識の高まりによって、「地球温暖化防止に貢献する」ことを価値と認めるハイアラート層という生活者層が生まれています。ミドルアラート層の中には、温暖化を認めるが、対策は「緊急でない」と考える懸念セグメントが存在し、ハイアラート層と合わせると、7割弱にのぼります。
今後、多くの生活者が日常生活で貢献できる温暖化防止の取り組みが、より重要となっていくと考えられます。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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