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NRI トップ NRI JOURNAL ワクワク(Work+Work)で成長を促す「三好共創ベースキャンプ」

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ワクワク(Work+Work)で成長を促す「三好共創ベースキャンプ」

NRIによる多様化時代の新しい人材育成プログラム

コンサルティング事業本部 シニアパートナー 三崎 冨査雄
人材開発部長 馬場 亮子
人材開発部 久保 智之、池上 英次

#価値共創

#イノベーション

#働き方改革

2022/03/10

野村総合研究所(NRI)は徳島県三好市で、新しいスタイルの人材育成プログラム「三好共創ベースキャンプ」を、2021年11月から2022年1月まで行いました。参加者はテレワークで本業を継続しつつ、三好市に一定期間滞在して地域課題の解決策を提案します。テレワークをしながら地方に滞在して余暇を楽しむワ―ケーション(Work+Vacation)が注目されていますが、本プログラムはテレワークで本業を続けながら、滞在先でもその地域に貢献する活動を行うを「ワクワク(Work+Work)」が特徴です。NRIの人材開発部が多様化・DX時代の人材育成を模索する中、三好市との縁を活かす形で生まれました。

「三好共創ベースキャンプ」プロジェクトメンバー
写真左からコンサルティング事業本部 シニアパートナー三崎冨査雄、人材開発部長 馬場亮子、人材開発部 久保智之、池上英次

テレワークとフィールドワークで、チームごとに課題に取り組む

「三好共創ベースキャンプ」の特徴は、本業および滞在先での「ワーク+ワーク」スタイルです。最近は、観光地に数日滞在してテレワークを行いながら余暇を楽しむ「ワ―ケーション」が脚光を浴び、多くの企業が主に福利厚生の一環として取り入れています。しかし「それでは単なる体験で終わってしまう」と考えたNRI人材開発部長の馬場亮子は、ある程度の期間を滞在先で過ごしながら、その地域との関係を有意義に活かす企画を模索します。本プログラムのリーダーを務めた同部・池上英次や、カリキュラム担当の同部・久保智之の経験をもとに、滞在先のリアルな社会課題を探して解決策を提案するワークがプログラムの骨格となりました。

本プログラムは、3カ月間に亘る4つのセッションで構成されています。 参加者はまず、三好市についてオンラインで事前学習を行います(セッション0)。次にチームを組み、リモートで互いを知ります(セッション1)。それから三好市に赴き、1週間滞在してチームで現地調査とミニプレゼンを実施します(セッション2)。自社に戻って本業をしつつ、4週間かけて課題の解決策を練ります。再び三好市を訪れ、それまでに調査・検討した成果をチームで発表して2週間で解決策をまとめます。滞在中は各自がテレワークで本業にも従事します(セッション3)。最後に三好市長ほか現地の関係者にチームでプレゼンをします。

JR四国、四国電力、三好市の職員も参加

このプログラムがユニークなのは、NRI主催でありながら、異業種他社の社員も迎えてチーム活動を行う点。公共分野のコンサルタントで、この企画のアドバイザーを務めたNRIシニアパートナーの三崎冨査雄は言います。「ダイバーシティが言われ、考えや価値観が異なる人たちと協力して成果を出さなければならない時代に、個人の力の発揮、リーダーシップの発揮に必要な形と考えました」

本プログラムはあいにくコロナ禍により、セッション3での三好市現地滞在は実現できずにオンラインでの活動になりましたが、参加者は、NRI社員のほか、三好市職員、JR四国および四国電力の社員ら、20~50歳代の計8名。4名ずつが2チームに分かれて3カ月に亘る検討をやり抜きました。

本プログラムでカギとなるのは、参加者が取り組む課題でした。池上は「課題のテーマ設定にかなりの時間をかけた」と話します。馬場も「始めから課題を与えては研修にならず、かといって参加者にゼロから課題を見つけてもらうのは時間がかかりすぎる。そのゾーンを決めるのが難しかった」と言います。
今回は、地元で志を持って活動する何人かのキーパーソンに話を聞き、その中の一人が抱える課題からテーマを掘り下げました。久保は「課題にするテーマが決まってから、さらに3~4カ月、話を聞く準備に費やした」と振り返ります。
「その人物は、今まで活用されていなかったダム湖の魅力を発見し、ウォータースポーツの会場として世界的に知らしめる活動をしてきた方です、最終的に、その方の活動を支援することで、三好市が掲げる『5年で地域貢献する人材を150人増やす』目標に向けて何ができるかをテーマとし、課題に広がりを持たせました」

真剣なフィードバックが参加者を本気に

参加者は、セッション2およびセッション3において提案の中間発表を行い、NRIのコンサルタントである三崎ほか3名の審査員から厳しいレビューを受けました。三崎は言います。「12月と1月半ばに行った中間審査で、私はいずれのチームにも5段階評価で1をつけました。ロジカルに物事を考えているか、事業ニーズを正しく把握しているか、実現可能性があるかなどの観点で真剣に評価した結果で、かなり辛口なフィードバックです」

この「辛口のフィードバック」は、「本気のフィードバック」として効果があった、と久保は言います。「提案内容のブラッシュアップはもちろんですが、『今よりチームの力をより向上させなければ』『自分の力をもっと高めなければ』と気づくきっかけにもなったようです。この中間発表を経て、互いに、より本気になって課題に取り組むようになったと感じました」
最後に2チームは、まとめた提案を三好市長と副市長ほか関係者4名にオンラインでプレゼンしました。2案とも良い評価を得たうえ、今後の行政に活かるか検討すべく三好市が持ち帰る結果となりました。 参加者の感想を池上は振り返ります。「研修が終わっても三好市と関わり続けたいと、みなさん話しています。この機会が未来につながる、とても良いことだと思っています」
「参加者には多くの学びや気づきがあったようです」と久保は言います。「最終日に、参加者がこの3カ月を振り返る時間をつくりました。どんな取り組みをし、何に気づき、自分の何が変わったか、深く内省をする時間となりました。『多様な人との関わりを通じて自分の知らない強みを知ることができた』など、それぞれ強烈な体験を語っていました」本業では会うことがない人たちとチームで共創したことも、参加者の視野を広げることになりました。

三好市とNRIとの縁を、未来につなげていくために

新しいスタイルの人材育成プログラムとして始まった「三好共創ベースキャンプ」。今回はトライアル開催であり、かつコロナ禍で計画どおりにならない部分もありました。しかし、主催した人材開発部メンバーは手応えを感じています。馬場は言います。

「主催する私たちも、三好市や他社との共同作業を行い、また、三崎のようなトップコンサルタントが関わったことで、本気で事業を起こすには何が必要かなど、多くを学ぶことができました。最近の研修プログラムは、外部の研修会社にアレンジを任せるケースが多い中で、今回は私たちがゼロから企画を立ち上げ、NRIらしい内容に創り上げる貴重な機会になりました。」
早くも2022年の夏、2回目のプログラム実施の準備が進んでいます。池上は「次回は参加人数をもっと増やし、共創する他企業も多様化を図ることで、学ぶ機会を多くしたい」と考えています。

NRIと三好市との縁は、同市で地方創生に取り組む元NRI社員の活動がきっかけとなって生まれました。2017年から地元の人たちとの交流が始まり、行政との関係も築かれます。馬場は説明します。「長年育まれた三好市とNRIとの関係は、一朝一夕に築くことのできない、貴重な資産だと思っています。『三好共創ベースキャンプ』はこのつながりを大切にし、互いに活かすための企画でもあるのです」

とはいえ、本プログラムにはNRIが一方的に三好市を支援したり、事業案件に繋ぐことを目的とはしていない、とプロジェクトメンバーは強調します。「NRIはあくまで共創する機会を提供する立場です。参加者が活動することで、NRI、三好市、参加企業など、それぞれに得られるものがあり、この関係を豊かに続けていくことが結果として地域への貢献につながればと願っています」

関係者の方々からのメッセージ

三好市長 高井 美穂氏

この度は研修の地に三好市を選んでいただき、ありがとうございます。三好市は過疎のため、地域社会の維持と住民の生活に欠かせない公共サービスを守ることが難しくなってきていて、民間の方々の知恵と力が必要です。
この度のNRIの人材育成プログラムでは、目の前に直面する行政課題に対し、新鮮でユニークな解決提案を得られたこと、三好市職員が民間の方々と一緒に切磋琢磨することで、発想力や経験則が養われ、成長したことが大きな成果だったと思います。私も審査の過程で、皆さんの指摘に気づかされることが多く、とても勉強になりました。これからは民間、行政問わず、直面する個別の課題やその解決手段、手法なども研修テーマとして取り上げたら面白いのではないかと思います。期待しております。

三好市 企画財政部 地方創生推進課 豊永詩保子氏(研修事務局)

三好市は人口減少・高齢化により地域づくりの担い手不足に直面しており、市の第2次総合戦略でも「ひとを呼びこむ三好」を戦略目標の一つとして掲げ、多様な形で地域貢献する人材の確保に取り組んでいます。今回の三好共創ベースキャンプではまさにその地域課題をテーマに取り上げていただきました。受講者が本気でこの課題に向き合い、会社組織を越えた多くの方と共に課題と格闘している姿に、事務局として伴走しながら感動していました。また、NRIの皆様とは企画段階より交流させていただき、現地にお越しの際に三好市への熱い思いをお聞かせいただいたことは、私も自身の市を見直すとてもいい機会になりました。トライアルのワクワク(Work+Work)が来年度から始まる本格キャンプでも多くの方に広がっていきますようにと願っています。

四国電力 徳島支店 総務部人事労務課  中川 君代氏(研修事務局)

本プログラムへの参加を通じて、異なる文化を持つ4社・団体のメンバーが共通の地域課題に向き合い議論を深めていくことで、多様性を受容しリーダーシップを磨くことができ、また、地域共生へのアプローチを考える貴重な経験となると考え、参加させていただきました。
受講者は、各方面で活躍されている方からの講話やプレゼンのフィードバックはいい物を提案しようとする動機づけとなり、提案資料策定における異業種のメンバーとの議論は、これまでの考え方が変わるほど刺激があったとのことでした。事務局としては、プログラムの目的を達成するための仕掛けについて、大いに勉強になりました。貴重な経験をありがとうございました。


【写真】12月のセッション2:三好市交流拠点施設「真鍋屋」での現地調査を経たミニプレゼンの様子

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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