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NRI トップ NRI JOURNAL 攻めの「データガバナンス」で企業価値を高めてDXを成功に導け

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クラウドの潮流――進化するクラウド・サービスと変化する企業の意識

攻めの「データガバナンス」で企業価値を高めてDXを成功に導け

システムコンサルティング事業本部 土屋 明義、渡辺 文明

#DX

#ビッグデータ

#経営

2022/03/18

DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環で、データ解析や機械学習を用いて新しいサービスや事業を立ち上げようとしても、実際にデータを使う段階で壁にぶつかり、「思うように成果を出せずにいる企業が増えている。信頼されるデータ活用の仕組みづくりに早く取り組むことが、競争優位性を確立できる」と、野村総合研究所(NRI)システムコンサルティング事業本部の土屋明義と渡辺文明は指摘します。その解決策となる「攻めの」データガバナンスとは、どのようなものでしょうか。

データ活用の2つの壁

DXの取り組みでは多くの場合、ビッグデータ用の基盤やデジタル人材に多額の投資が行われます。続けて、新サービスの実装に向けて企画や分析に着手するのですが、そこで突き当たるのが「使えないデータ」の壁です。
既存のITシステムは業務や部署ごとに縦割りでデータやシステム管理者が整備されているため、DXの取り組みで、組織・システム横断的にデータを使いたくても、どんなデータがどこのシステムにあるのかわからない、データの成り立ちが分からない。分かったとしても、データ分析のために作られたデータではないので、システムごとにデータ管理項目やコード体系、品質がバラバラで関連データをうまく紐づけられない。これまで既存システム単体では管理できていたとしても、いざ分析で使おうとするとそもそもビジネス観点からデータを使える状況になっていないといった問題点に気づくのです。そのため、苦労して外部から優秀なデータサイエンティストを採用しても、宝の持ち腐れになってしまっている企業が多いのが実態です。

もう1つは「データ活用リスク」の壁です。目の前のデータを使っても本当に大丈夫だと確信を持っている企業は少ないでしょう。法務部門の厳しいチェックの結果、個人情報の取り扱いについては違法性がなかったとしても、消費者に驚きや不安を与える形でデータを使用すれば、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)で炎上騒ぎになり、個人情報保護委員会から是正勧告を受けかねません。レピュテーション(評判)を損ない、悪くすれば企業の存続を脅かす事態に追い込まれますが、現実に問題が起こらない限り、対応は後手に回りがちです。

組織横断で統制・管理しつつ、使いやすさも両立させる

データガバナンスというと、通常は厳格なルールを決めて、評価、改善、監視を徹底させるなど「守り」のイメージがあります。実際、統制・管理の視点だけでガバナンスの強化を図ると、データが自由に使いづらく、想定していたサービスの実現を諦めざるを得なくなる等、データ活用者のモチベーションを下げてしまうこともあります。こうした状況の打開策になるのが、「攻め」のデータガバナンスであると渡辺は語ります。
「攻めのデータガバナンスでは、リスクの早期発見・早期対策が基本です。新しいサービスの企画・構想段階で、適法性だけでなく、レピュテーションへの影響も含めてリスク要因を洗い出し、データ活用の効果を失わないように気をつけながら実効性のある対策を実施します。
さらに、リスクを低減させながら、データ活用の幅を広げることも可能です。例えば、データ活用ニーズを全社横断で整理し、利用規約等で消費者にわかりやすく丁寧に伝えて同意を得る、取得したデータを重要度に応じて識別し、適切に管理することで、これまで使えなかったデータを活かせる場合もあるのです」

企業価値を高めDXを成功に導くためには、さらに「使えるデータ化」も同時並行で進めなくてはいけません。一般的な企業の場合、データサイエンティストとビジネスは分断されていることも多いです。縦割りのシステム・役割に横串を通して、ビジネス観点からデータを適切に利用・管理できるようにプロセス・データを整備し、データのお困り事に対応できる体制・役割を設けるといった、ビジネスとデータと人をつなげることが重要です。その結果、データの意味をしっかり理解し、使いたいときにすぐにデータが見つかり、使いやすいデータが揃っている状況が整います。

ただ、このような状況を作り上げるためには、体制や進め方の工夫が必要だと渡辺は考えています。
「攻めのデータガバナンスの実現には、既存システム・データ、法制度・プライバシー、自社の事業・サービス、組織・文化など多岐にわたる知見が不可欠です。従来のITガバナンスであれば、情報システム部門を中心に進められたのですが、データ活用の基盤づくりは、事業部門、DX推進/IT部門、コーポレート部門などが密に連携し、互いの強みを活かしながら一体となって臨む必要があります。さらに、データガバナンスには正解がなく、その企業の置かれている状況に応じて、個別に注力する対象を考えなければなりません」

早期に舵を切って、データ活用で差をつける

各企業ではデータの重要性は理解しつつも、直ちに収益への直接的な結びつきは見えにくいため、組織横断のデータガバナンス整備活動に対して、経営層が投資に踏み切れないこともハードルとなります。その克服に向けて土屋が勧めるのは、最初から本格的なものをめざすよりも、試行的に進めるアプローチです。「現場で問題意識を持っている人や関係者を集めて、目の前のデータ活用案件がうまくいっていない課題や原因、リスクを評価し、他社事例なども勘案しながら、対策を講じる効果を明らかにし、検証結果を経営陣にこまめに報告します。そうやって少しずつトップの理解を促し、1~2年かけて働きかけたほうが、各企業の特性や文化に即した活動が形作られ、変革の近道になります」

デジタル時代には、自社の重要資産であるデータをどれだけ理解し、安心安全に使える状態にしておくかが、他社との差別化につながります。「組織横断の取り組みとなると、関係者が多く、時間や労力がかかるので躊躇してしまいますが、だからこそ、早く取り組むことでチャンスが広がる」と土屋は指摘します。「データを活用したビジネスをゼロから立ち上げたベンチャー企業がスピーディーに試行を重ね、成果を上げている状況も見過ごせません。“攻め”のデータガバナンスへと早期に舵を切った企業が最終的に競争優位性を確立して、成長し続けられる未来につながるのです」

NRIはこれまで数多く、お客様のデジタル変革に寄りそってきました。現場に強いNRIだからこそできる、具体的で、実行に落とし込める「攻め」のデータガバナンス構築のお手伝いをしていきたいと考えています。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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