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未来へのヒントが見つかるイノベーションマガジン

クラウドの潮流――進化するクラウド・サービスと変化する企業の意識

デジタルの先にある日本の未来

未来創発センター グローバル産業・経営研究室長 森 健

#DX

#価値共創

2022/08/17

「NRI未来創発フォーラム2022」の基調講演テーマは、「デジタルの先にある日本の未来」。NRI代表取締役会長 兼 社長の此本臣吾が登壇します。「デジタルが拓く近未来」の姿についての研究成果をまとめた「デジタル資本主義」「デジタル国富論」「デジタル増価革命」(すべて東洋経済新報社)共著者の一人である森建が、本講演の注目ポイントについて紹介します。

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デジタルが拓く未来像を総括し、日本のとるべき方向性を提言

基調講演は、4つのエッセンスが盛り込まれる予定です。「世界経済の動向とデジタルの役割」「産業資本主義からデジタル資本主義への潮流」「デジタル資本主義の企業戦略」そして「デジタルの先にある日本の未来」です。
コロナ禍で減った人の流れは徐々に戻ってきていますが、完全に元通りにはなっていません。テレワークも一定数はこのまま定着すると考えられることから、コロナ禍が完全に克服された後も、以前と同じ世界に立ち返ることはないでしょう。一方で、コロナ禍の間に社会のデジタル化はますます進みました。テレワークやショッピングのために、より洗練されたサービスが次々と生まれ、デジタルサービスを利用するときの心理的・物理的なハードルも大きく下がりました。オンラインショッピングやフリマアプリなどの利用者数が急増したのも、これまでリアル店舗でしか買い物をしなかった人々がネットを通じて購入することに抵抗を感じなくなったためと考えられます。2020年に急拡大したEコマース市場は、2021年も拡大のペースを緩めていません。このような生活者の行動変化は、企業や自治体、国の方針にも大きな影響を与えることでしょう。
基調講演では、NRIがまとめたデータを紹介しながら、人々の意識と行動の変化が促すデジタル資本主義への移行と、新たな時代における国や企業のあり方について探っていきます。

デジタル化が寄与する、消費者余剰の増大と生活満足度の向上

バブル崩壊以降の日本のGDP伸び率は低く、生産性をはじめとしたさまざまな指標でも日本経済の停滞は明らかです。ところが個人の生活満足度は、2020年を除くと、過去20年間、一貫して上がり続けているのです。そして2021年の生活者調査の結果をみると、実感と反するかもしれませんが、日本人の主観的な生活満足度は過去最も高くなっていました。そこに浮かび上がってくるのは、コロナ禍にもかかわらず生活に満足している日本人の姿です。その理由として、デジタル化による「消費者余剰」の拡大が寄与していると、わたしたちは考えます。
消費者余剰とは、消費者が払っても良いと感じる金額から実際の価格を差し引いたもので、有り体に言えば、消費者が得をしたと感じられる程度を示しています。消費者余剰は主観的な価値観ですが、スマートフォンが普及し始めた頃から顕著に上昇しています。これは仮説に過ぎませんが、SNSや路線検索などネット上の多くのサービスを無料で使えることが、消費者余剰の増大に寄与したと考えられます。スマートフォンの利用が当たり前になった2016年には、消費者余剰の数字も横ばいになりました。2019年の「未来創発フォーラム」で紹介しましたが、NRIが試算したデジタルが生み出す消費者余剰の総額は、2016年時点で約160兆円でした。日本のGDPは約500兆円ですが、この数字だけを見ているだけでは、日本経済の規模に関して大切なことを見誤る可能性があります。今回のフォーラムでは、消費者余剰について最新の推計値を示す予定です。

経済価値の創出とウェルビーイングの両立

ウェルビーイング大国への道筋を考えるとき、参考となる国の一つがスイスです。競争力ランキングNo.1のスイスは、産業の競争力だけでなく、アルプスの豊かな観光資源や強い通貨、世界的な研究開発拠点の多さなど数多くの強みを持ち、市民の高いウェルビーイングを誇っています。その秘密は何なのでしょうか?
スイスでは、国をあげた高付加価値セグメントへの事業集中戦略により、低付加価値事業は徹底したオートメーション化が進んでいます。人材育成も実践的で、業種をまたぐ転職も可能にする職業訓練学校制度など、一人ひとりの生産性を上げる仕組みが国全体で作られています。その結果、都市ごとの生産性も高く、鹿児島県と同じ人口規模のチューリッヒ州の自主財源比率は65%にも達しています(鹿児島県は33%)。この高付加価値経済を支えているのは、スマートシティ指数で世界第3位のチューリッヒをはじめとしたスイス各地のスマートシティ群です。優れた都市が良質の無形資産を蓄積し、経済価値とウェルビーイングの両方を生み出すスイスの例を参考に、日本の課題と可能性について考えます。

デジタルコモンズが拓く、日本の未来

近年、産業界で導入が進んでいるデジタル技術に「デジタルツイン」があります。デジタルツインとは、現実世界(物理世界)に実在しているものをデジタル空間に再現する技術で、現実世界とリアルに連動したシミュレーションとも言えるものです。近年では個社単位ではなく、サプライチェーンのような会社をまたいだデジタルツインの共有も始まっていますが、わたしたちは、更にその一歩先にある「デジタルコモンズ」に注目しています。
デジタルコモンズとは、パブリックほどオープンでなく、プライベートほど閉じていない、ネット上のゆるやかな共同体です。漁業組合が管理する漁場のように、一人の責任者が全てを管理するのではなく、時と場合に応じて共同体のメンバーが役割を変更しながら、一つのまとまりとして働くコミュニティのような空間が、Web3.0で注目されているブロックチェーンなどの技術を活用して今後たくさん生まれてくると予想しています。これからはデジタルコモンズが有機的な企業のつながりを後押しし、新たな付加価値を生み出す揺りかごになるのではないか。そんな可能性についても検討を進めたいと思います。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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