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NRI トップ NRI JOURNAL 楽しみながらスキルアップ NRI-ISUCON 2022

NRI JOURNAL

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クラウドの潮流――進化するクラウド・サービスと変化する企業の意識

楽しみながらスキルアップ NRI-ISUCON 2022

プラットフォームサービス開発統括部  蒋 宗孝
プラットフォームサービス開発統括部 酒井 将大
aslead事業部 岩崎 凌
OpenStandia事業部 前原 良美

2022/09/06

IT業界では技術を競い合うイベントが盛んです。その1つ、LINE社が長年運営している「いい感じにスピードアップコンテスト」(略称ISUCON※1)に2020年9月にNRIの若手社員が参加し面白さを感じ、自社内でも社内イベントとして開催するため、2020年度に仲間を募って自主的にR&D活動として、2021年2月に初めて社内ISUCON(NRI-ISUCON)を開催。2022年2月に開催された第2回目の「NRI-ISUCON 2022」は28チーム70人が参加し大盛況の内に幕を閉じました。今回は「NRI-ISUCON」について、運営チームの4人に思いを聞きました。

オリジナル・テーマでシステムを一から開発

ISUCONは、 出題されたWebサービスを限界まで高速化するという課題に、1~3名のチーム対抗で挑むイベントです。LINE社が主催する公式のISUCON以外にも、エンジニアの技術力向上や社内交流を目的に、多くの企業で社内ISUCONが実施されてきました。「ISUCONはいわば“IT技術の総合格闘技”で、インフラからアプリケーションまで幅広い知識が求められます。性能問題は業務でもよく扱うテーマですが、『このアプリは遅いね』と感覚的に片付けがちです。そうではなく、遅いというのは実際にどういうことなのか。遅さを定量的に表現し、測定することで原因を特定し改善するという基本に立ち返ったり、普段は触らない領域の技術に触れたりと、いろいろな学びが得られます」と、蒋はISUCONの魅力を語ります。

社内ISUCONでは、ISUCONや他社が公開する社内ISUCONの 過去問を借用することも可能ですが、NRIではボトムアップR&Dという仕組みを使って、オリジナルの問題を設定し、コンテスト基盤を一から自作することにしました。こうした開発を行うことで、参加者だけでなく、運営側も視野を広げ、スキルを伸ばすチャンスになると酒井は指摘します。「参加者は、どこに性能問題があるかを探索・特定し、 問題の改善に取り組みますが、出題する側は、どこに性能問題を仕込むかという逆の発想で考えていきます。仕込む際にはもちろん性能観点の知識やシステム全体の理解が必要です。オリジナルの問題であるため、性能観点だけでなくシステムの要件定義、設計、開発、評価まで、あらゆることを自分たちで考えながら手掛けるので、すごく勉強になりました」

新入社員も10年選手も楽しめるイベントに

第2回目はDX人材育成の一環として開催が決まり、初回は4人だった運営チームを7人に増強。メンバーは4カ月間、通常業務をこなす傍ら準備を進めました。「ISUCONは、一定時間内にどこまで改善スコアが上がるかを競います。そのスコアを測るベンチマーカーが一番の肝で、動作しなかったり誤ったスコアを導出してしまうと、競技が破綻します。ベンチマーカーだけは絶対に止まらないように、何度もデバッグを行いました」と、岩崎はかなりの労力を費やしたことを明かします。「業務では使わないプログラミング言語を使ってシステムを実装しました。自分の好きに手を動かし、新しいことを試せるのは良い経験になります」

1回目には難しすぎると感じた参加者もいたので、2回目では、まだ技術に自信のない新入社員から、10年選手のベテランまで、幅広い人が楽しめるように、特に難易度の調整を入念に行いました。また、基本的な操作でつまずくことのないよう、ガイド動画を作成したり、実施中に運営側がフォローできる体制も用意。その甲斐あって、競技参加者のフォロー体制を「十分・やや十分」と感じる割合は70.9%(初回比 +6.2%)と改善しました。

競技中には、各チームの性能改善状況がスコアとしてリアルタイムで示され、順位が目まぐるしく入れ替わるので、競争の面でも盛り上がります。8時間半の熱戦を終えた後、参加者全員でチャットツールを使って交流する時間を設けました。互いに感想を言い合い、各チームの行った改善や便利な外部ツールなど情報交換することで、新たな知見や刺激が得られます。大会後にもISUCONの環境を一定期間利用可能にしたところ、自主的に更なる改善を加え高スコアを叩き出すチームもありました。

エンジニアの福利厚生

楽しみながら興味のある技術に触れられる社内イベントは、「エンジニアの福利厚生」だと蒋は感じています。業務以外のことでも、やる気さえあれば、誰もが自由にボトムアップ型の活動を始められ、周囲もそれを盛り立て、資金やリソースの面で支援を受けられるからです。こうしたイベントを通じて自分の殻を破り、これまで知らなかった技術や領域に触れ、いろいろな人と知り合うことによって、自分の仕事の見え方が変わったり、コミュニティも広がったりします。そうした体験はエンジニアのスキルアップや成長に役立つと蒋は考えています。

「少なくない数の若手が、技術イベントへの参加に興味をもっているものの、社外イベントに対してハードルを高く感じています。そんな若手にとって、社内で開催するイベントは、友だちを誘って気軽に参加しやすいようです」と、前原は社内開催のメリットを語ります。「NRI-ISUCONへの参加をきっかけに、 LINE社が主催する公式のISUCONにチャレンジしている若手もいます。こういった社内イベントが、ぜひ多くの人にとって一歩踏み出すきっかけになってほしいと思います」

  • 1 「ISUCON」は、LINE株式会社の商標または登録商標です。
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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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