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コラム 神宮健のFocus on 中国金融経済

三中全会について

2013/11/13

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中国共産党の第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)が11月9日~12日に開かれ、12日にその公報が発表された。

三中全会と言えば、改革開放につながった1978年の第11期三中全会や「社会主義市場経済体制」の枠組み打ち出した93年の第14期三中全会等があったことから、今回の三中全会も今後10年の改革の方向を打ち出すものとして注目されていた。公報の内容は、総花的で広範囲にわたるが、ここでは以下の2点について述べておきたい。

第一に、公報によれば、今回の三中全会では「改革の全面的深化における若干の重大問題に関する中共中央の決定」が審議・採択された。「改革の全面的深化」となっているように、改革の対象は全面である。具体的には、市場経済、民主政治、先進文化、和諧社会、生態(エコロジー)文明等の分野がある。一般に経済改革が注目されており、「経済体制改革は改革の全面深化の重点」(公報)ではあるが、中国が現在抱える諸問題は、一つの分野の改革だけでは解決できない、つまり、すべての改革がつながっていることを示している。

第二に、資源配分における市場の役割が強調され、同時に政府の「法治とサービス型政府」への職能転換も必要であるとされている。

具体的に見ると、例えば、固定資産投資に過度に依存し、また環境汚染を生んでいる経済発展モデルを変えるには、地方政府主導の開発モデルから脱却しなければならない。地方政府が、不動産等の開発に依存し、市場価格(不動産物件等)と行政価格(土地の取得コスト=農民の立ち退料等、その他資源価格)の差から利益を得て、あたかも企業のように行動している一因には財源不足がある。財源問題解決のためには、税財政制度改革が必要となり、そのためには、各レベルの地方政府の提供するサービスを決めなければならない。

また、これまで同様に地方政府の干渉の下で資源を配分していると過剰設備や環境汚染等につながるため、市場メカニズムにより土地価格やその他の資源価格を決定し資源配分する必要もある。加えて、農民が土地(使用権)を市場で売却して収入を得られることになれば、農民も経済発展の恩恵を受けられるようになる(地方政府はこれまでの主要財源を失うため、上述の税財政制度改革が必要である)。このように、政府の役割を明確化し、市場メカニズムを働かせることで、地方政府とその関係者が利権で儲ける従来の仕組みを変えなければ所得分配の不平等、環境汚染、腐敗の問題等は改善しない。

金融についても同様である。これまで、銀行は手堅いと思われるところ(地方政府の息のかかっている地方政府融資プラットフォーム等)に融資していれば、規制金利の下で一定の利鞘が取れた。リスクの大きい中小企業に融資するインセンティブは小さい。金利自由化を進める一方、直接金融のルート(多くは優良企業が資金調達する)をさらに発達させれば、かつての日本のように中小企業金融にも銀行の目が向かう可能性がある。こうしたことが、「金融市場体系の改善、都市農村で統一された建設用地市場の構築」といった文言の意図に含まれると思われる。

考えられる例をいくつか挙げたが、今回の公報で述べられている個々の改革は、従来から指摘されてきたものがほとんどである。ただし、これまでは、改革を実行しようとすると、地方政府や部(省庁)といった既得権益を持つところの反対に遭い実現が難しかった。この点で、党中央による「改革の全面的深化の指導グループ」の設立が注目される。公報によれば、これは改革全体の構想、按配、協調、推進、実行促進等に責任を負うものであり、上述の弊害を打破することが期待される。

ただし、最近ますます問題視されている環境汚染にしろ、所得分配の不平等にしろ、これらの問題が改善しているかどうかをチェックする機能が必要である。上級政府が下級政府のパフォーマンスを評価するだけでは不十分である。公報では、社会主義民主政治制度の構築を強化するとあるが、結局は民意を反映する仕組みを構築できるかどうかが、今後10年の改革の成否の鍵を握る。

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