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最近のシャドーバンキング対策について

2016/11/17

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最近、中国の金融市場では、銀行がオフバランスの資金運用商品(理財商品)で調達した資金の運用部分が、MPA(マクロプルーデンス評価体系、後述)の「広義の貸出」に算入されるかどうかが話題となった。報道から判断すると、人民銀行は、現在、検討・準備中であると見られる。

これはシャドーバンキング対策の性格を持つ。シャドーバンキングの定義は様々で、インフォーマル金融なども含まれるが、ここでの対象は、主に銀行貸出への規制・自己資本比率規制の回避のために使われる迂回融資であり、2010年頃からたびたび話題となってきた。

最近の銀行の迂回融資を見ると、迂回ルートとして、信託会社や証券会社以外に各種ファンド会社やファンドオブファンド(FOF)なども利用されている。リターンが低下する中で、銀行が資金運用を外部に委託するケース(「委外」)が増えており、一部は間接的に株式関連投資に向かっている(リターン低下の一因として、地方政府資金調達プラットフォームが発行していた債券が地方債に置き換わっていることがある)。また、銀行がこれらのファンドから購入する資産運用商品も仕組債を利用するなど複雑化している。こうした中で、規制当局も、特に現行の業態別規制の下では、資金の流れの全体像を把握し難くなっており、以前の単純な迂回融資に比べリスクが増していると見られる。

銀行は、これら迂回ルート(信託会社、ファンド等)から購入した資産運用商品を基に銀行の資金運用商品を作り個人等に販売するが、元本保証のないものはオフバランス扱いである。なお、元本保証なしの銀行の資産運用商品は今年6月末で約20兆元に上ると報告されている(商業銀行全体のオンバランスの貸出は約80兆元である)。

一方、人民銀行の動向を見ると、2011年にマクロプルーデンス管理のために導入した「差別準備金動態調整」・「合意貸出管理」メカニズムを、2016年からマクロプルーデンス評価体系(MPA)に「昇級」させている。

「差別準備金動態調整」・「合意貸出管理メカニズム」は、条件(自己資本比率等)により異なった預金準備率を適用することで、銀行等に自己資本比率や経済情勢に合った貸出ペース・貸出先を達成させるものであった。MPAへの昇級は、過去数年の銀行資産の多様化等に対応するためである。

MPAでは、銀行等を、資本とレバレッジ、資産負債、流動性、価格(金利)決定行為、資産の質、対外債務リスク、貸出政策執行の7方面から総合的に評価する。点数により銀行等はA、B、Cに分けられる(Aが優秀)。このクラス分けによって人民銀行に預ける準備預金の金利が異なることがインセンティブとペナルティーになる。

また、貸出については「広義の貸出」が使われることになった。広義の貸出には、債券投資、株式投資とその他投資、資産の買入売戻等が含まれる。そして、現在、この広義貸出に、銀行がオフバランス資産運用商品で調達した資金の運用部分を入れることが検討されている。

人民銀行は、足元で銀行のオフバランス資産運用商品のデータ収集やモニタリングをしており、まだ正式には広義の貸出に含めていないとしている。また、オフバランス資産運用商品を広義の貸出に含める理由として、一部の銀行のオフバランスでの資産運用の増加が速いことに加えて、元本保証なしということでオフバランスとなっているものの、返済不能になった場合、結局は銀行が元本保証する可能性が高いことから、銀行のリスクを測る上では、MPAに含めることが必要であるとしている。

銀行のオフバランス資産運用商品を広義貸出に含めても、ペナルティーが準備預金に対する金利の低下ではあまり抑制効果がないとの見方もある。ただし、重要な点は、オフバランス取引をリスク評価に反映する動きが今後さらに強まることが確認されたことであろう。

執筆者情報

  • 神宮健

    神宮 健

    金融デジタルビジネスリサーチ部

    金融デジタルビジネスリサーチ部

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