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コラム 神宮健のFocus on 中国金融経済

2018年の中央経済工作会議について

2018/12/26

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2018年の中央経済工作会議が12月19日~21日に開催され、来年の経済政策の重点任務が明らかになった。

まず、同会議では、複雑で厳しい外部環境の下で、経済に下押し圧力が働いているとの現状認識が示された。そして、中国政府が2018年7月末からたびたび言及している「六つの安定」、すなわち 「雇用、金融、対外貿易、外資、投資、期待」を安定させる点が繰り返された。

次に、マクロ政策については、カウンターシクリカルな調節を強化し、「積極的な財政政策と穏健な金融政策」を引き続き実施する。積極的財政政策を強化し、また効率を引上げ、大規模な減税・費用引下げ政策を実施し、地方政府債(レベニュー債)の発行規模を大幅に拡大する。穏健な金融政策は、合理的で充分な流動性を保持し、金融政策のトランスミッション・メカニズムを改善する。また、直接金融のウェイトを高め、民営企業と小・零細企業の資金調達難・調達コスト高の問題を解決する。

そして、2019年の重点任務は、①製造業の質の高い発展の推進、②強大な国内市場の形成の促進、③農村振興戦略の推進、④地域の協調発展の促進、⑤経済体制改革の加速、⑥全方位対外開放の推進、⑦国民生活の保障と改善の強化、である。

第一に、積極財政政策と穏健金融政策の組み合わせは2011年以来続いているが、今回は、金融政策に関して、緩和も引締めも適度にするとしており、明示的には「中立」という表現は使用していない。また、昨年あったマネーサプライをしっかり管理するとの表現もなくなった。

民営企業と小・零細企業の資金調達難への言及の背景には、2017年以の金融リスク防止策(デレバレッジ、シャドーバンキング取締り)実施により、マクロレベルで資金の流れが悪くなり、通常でも資金調達が難しい民営企業、中小・零細企業にひずみが集中したことがある。年央以降は、株価が下落する中で、民営企業を中心に株式担保金融の問題も生じ、株式市場が負のスパイラルに陥ることを避けるため地方政府・国有企業が中心となって救済せざるを得なくなった。

2018年半ばから金融リスク防止策実施の強度を若干調整する動きが出ていたこととも考え合わせると、2019年の金融政策は緩和バイアスを持つものと見られる。

第二に、中国政府が雇用状況に注意を払っていることがわかる。六つの安定では、雇用が第一番目に挙げられており、社会政策では、雇用優先の政策を実施するとしている。2017年経済工作会議の社会政策では雇用についての明示的な言及はなかった。

マクロの雇用指標(失業率、有効求人倍率)には大きな変化は見られないが、個別のニュースからは雇用情勢の偏重がうかがえる。2018年第3四半期のインターネット・Eコマース業界の求人数が前年同期から半減した、米中貿易摩擦の影響が繊維、家具、音響映像製品といった分野の中小輸出業者に現われている、などの報道が見られる。

第三は、2019年の任務における製造業の質の高い発展の推進、強大な国内市場の形成の促進ついてである。当然のことながら、これらの背景には、米国との貿易摩擦がある。米中貿易摩擦は技術(移転)摩擦の性格が強いことから、今後の中国にとって技術革新能力の増強は不可欠である。また、外需依存の経済成長が難しい中で、国内市場の拡大も、何年も前から言われていたことではあるが、今後長期間にわたって取り組むべき任務である。今回の工作会議でも示されているが、消費では教育、養老、医療、文化、旅行等のサービス消費、投資では製造業の技術改良、設備更新、5G、新型インフラ建設(AI、工業インターネット、IoT)等が重視されていくと思われる。

ここ数年間中国の経済成長は高成長からシフトダウンする時期にあるが、米中貿易摩擦を受けて、技術革新・国内市場重視がさらに明確になってきたことがわかる。

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