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コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight

人民元が対ドルでマジックナンバー7に近付く

2018/10/23

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歯止めが掛からない人民元安

人民元安に歯止めが掛からない状況が続いている。対ドルレートは年初から7%程度の下落幅となっており、現在の水準は6.93人民元/ドルと、「7」が目前に迫っている。

人民元安傾向に弾みがついたのは、今年の6月半ば以降である。米中貿易戦争が激化したのが、そのきっかけだ。当初は、中国当局が意識して人民元安を誘導したとみられる。その狙いの一つは、米国側が中国に課した追加関税への対抗である。対ドルで人民元安に誘導することを通じて、米国側が課す関税の効果を相殺し、また、中国側が米国からの輸入品に関税を課すのと同等の効果を生じさせることができる。2番目の狙いは、米中貿易戦争の激化を受けて中国経済の減速リスクが高まることへの対応、つまり景気刺激策としての人民元安誘導だ。

しかし現状では、中国当局は逆に人民元安傾向に歯止めを掛けようとしている。人民元安傾向が海外からの資金流入を細らせ、また国内からの資金流出を促し、それが人民元安圧力を高めるという悪循環が生じている。制御できない人民元安を中国当局は恐れている。

中国人民銀行は今年8月に、銀行が先渡し取引で顧客にドルを売却する場合に、20%相当の預金準備を課す規制を導入した。その負担が顧客に転嫁されることで、ドル買い人民元売りのコストを高めることを期待したのだ。しかし、そうした政策が、人民元安に歯止めを掛ける明確な効果はみられていない。

対ドルで7人民元が当局の防衛ライン

内外資金フローの変調を端的に表しているのが、中国株式の価格下落だ。中国上海総合指数(CSI300)は、年初から19%程度の下落と、世界の主要株価指数の中で最大の下落率となっている。ドル建てで見ると、下落率は24%程度にも達する。22日の株価こそ、習近平国家主席が「民間セクターへのゆるぎない支援」を表明したことを受けて大幅高となったものの、10月に入ってからの下落率は9%程度に達している。これは、月間では2016年1月の下落率に次ぐペースだ。

足もとでは、株価下落と人民元の下落が同時に進んでいるが、その一つのきっかけとなったのは、先週発表された中国の7-9月期GDP統計で、前年比成長率が6.5%とリーマンショック時以来の低水準となったことだ。

人民元安の対ドルレートは、節目の7まで1%に満たないところまで近づいている。7という水準には経済的には取り立てて意味はないが、心理的な意味は大きい。中国国内では、10年ぶりに対ドルで7を超えて人民元安が進めば、人々は先行き人民元安がさらに進むとの不安から資金を海外に逃避させ、その結果、人民元安が加速的に進むことが警戒されている。この観点から、中国政府、中国人民銀行は今後、なりふり構わず、様々な措置を講じてこの為替水準を守ろうとするだろう。さらに、人民元安が加速する場合には、他の新興国通貨への下落圧力となる可能性にも留意しておきたい。

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