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コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight

政府閉鎖に揺れる米国経済・株式市場

2018/12/25

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1年で3回の政府閉鎖は41年ぶり

米国では議会における共和党と民主党の対立を背景に、連邦政府の2019会計年度のつなぎ予算が12月21日に期限切れとなり、米政府機関が22日から一部閉鎖された。連邦歳出法のうち国境警備関連などの7本、合計3,000億ドル分のつなぎ予算が組まれていたが成立していない。

両党は、メキシコ国境沿いに壁を作る建設費用を認めるかどうかを巡って対立している。トランプ大統領は、選挙公約である壁の建設費用を手当てするために、50億ドルを要求しているが、民主党は国境警備費など16億ドルしか認めていない。

下院は20日に、57億ドルの壁建設費を計上したつなぎ予算案を可決したが、共和党の優位が僅差の上院でこの予算案を採決するには、民主党の一部議員の協力が不可欠だ。しかし、民主党はこれに強く反対したことから、つなぎ予算案は可決できずに失効してしまった。多くの議員はすでに休暇を過ごすためワシントンを離れている。

つなぎ予算が失効したことで、財務省、国務省、国土安全保障省などの一部機関が22日から閉鎖された。他方、米連邦捜査局(FBI)、出入国管理、空港管制などは業務を継続する。ただし、米国では22日から週末とクリスマス休暇が連続する形となったため、しばらくの間であれば政府閉鎖の影響は限定的とみられる。

今年1月には予算が失効し、トランプ政権は4年ぶりの政府閉鎖に追い込まれた。2月にも、短時間ではあるが予算が失効し政府閉鎖が生じた。今回の政府閉鎖は今年3回目となる。1年間のうちに3回の政府閉鎖は、カーター政権時の1977年以来、実に41年ぶりのこととなる。

政府閉鎖が長引けば、米国経済と株式市場に大きな打撃も

本格的な米政府機関閉鎖は、近年では1995~96年と2013年に生じている。クリントン政権期の1995~96年には、政府機関の閉鎖は27日間に及んだ。また、オバマ政権期の2013年には、16日間の政府機関閉鎖が生じた。S&P社は、この時の政府機関閉鎖によって生じた経済的損失は240億ドルと試算している。

米国金融市場は、今年1月と3月の政府機関閉鎖の際には、いつもの政治ショーと比較的静観していた。しかし今回は、金融市場でより深刻にとらえられており、連日の株価大幅下落の背景ともなっている。米国経済が、微妙な局面に差し掛かっているタイミングで政府閉鎖が生じ、米国の経済活動への悪影響が意識されたことも、その一因だろう。

仮に、2013年と同様に16日間の政府閉鎖が生じ、S&P社の推計に沿って、240億ドルの経済損失が生じる場合、1-3月期の米国GDP成長率は年率で0.5%程度押し下げられる計算となる。また1995~96年のように、政府機関閉鎖が27日間続く場合には、1-3月期の米国GDP成長率は年率で0.8%も押し下げられる計算だ。

上院での審議は12月27日に開かれる予定だ。少なくともそこまでは、政府閉鎖が続く可能性が高い。ただし、政府閉鎖は年明けも続くとの見方が次第に強まっている。

仮に年内に政府閉鎖が解消されれば、米国経済に与える悪影響はかなり限定的だが、1月に入ってからも政府閉鎖が続くようであれば、その影響はより深刻になっていき、株式市場のさらなる動揺を誘うだろう。

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