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コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight

日本でもフェイクニュース対策

2019/01/31

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フェイクニュースへの規制を拡大

SNS上でフェイク(偽)ニュースが拡散されることへの対応策が、各国で盛んに議論され、また一部では実施されている。対応が最も進んでいるのが欧州だ。ドイツは2017年に、フェイクニュース対策の法律を施行した。フェイスブックなどのSNSに対して、フェイクニュースや人種差別的な書き込みを24時間以内に削除するように義務付けた。欧州連合(EU)は2018年4月に、米デジタル・プラットフォーマーやネット広告会社に対して、フェイクニュースを防ぐための行動規範を自ら策定するように要請し、企業側もそれに合意した。EUは現在、2019年5月の欧州議会選挙で、ロシアの関与が疑われている組織によるフェイクニュースの拡散を強く警戒している。企業側の行動規範が十分に効果を発揮しない場合には、さらなる規制強化に踏み切る構えだ。

ロイター通信社が報じるところでは、フェイスブックは、今後選挙を控えている国、地域で、政治広告に関する規則や選挙介入阻止に向けた措置を厳格化する方針だ。インド、ナイジェリア、ウクライナ、EUが対象だという。各国からの批判を受けて、フェイスブックは、政治広告の透明性向上を図る自主的な措置を導入している。

例えば、インドでは、選挙が行われる国内でフェイスブックに掲載された政治広告をまとめて保管し、関連情報の検索ができるライブラリーを立ち上げることを決めた。その広告は、7年間、ライブラリーに保管されるという。フェイスブックは2018年に、米国、ブラジル、英国で政治広告を一括保管し検索可能にするアーカイブを導入しており、インドのライブラリーはこれに類似したものになるという。

また、政治広告を掲載する際には、その資金提供者の連絡先、当局が発行した認可書が必要になるとし、政治広告を投稿する個人については、フェイスブックで使われている名前が公的な証明書に掲載されたものと一致しているかどうか、厳格にチェックする。こうした措置を通じて、フェイスブックを利用した選挙への不当な介入を防ぐことを目指す。

日本でも政府がフェイクニュース対策へ

日本でも政府が、選挙や災害時にSNSを通じてフェイクニュース、デマが拡散することを防ぐための対策を検討していると共同通信社が報じている(注1)。EUと同様に、SNSを手掛けるフェイスブックやツイッターなど米デジタル・プラットフォーマーや情報配信事業者に、フェイクニュース対策で自主的な行動規範の策定を求めることを検討している。具体的な内容は、総務省の有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」で議論し、2019年半ばころまでにまとめるという。フェイクニュース対策で、日本も国際的なルール作りに関与する狙いもあるようだ。

日本政府は、フェイクニュースに影響を受けた人々の投票が、選挙結果を左右しかねないとの危機感を持ち始めているという。フェイクニュースを検証するNPOのファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)によると、2018年の沖縄県知事選では、与野党が推す主要2候補に関する出所不明の虚偽情報がインターネット上に拡散した。SNSを通じ、国会議員や著名人も拡散に加担したという。

地方選と参院選という選挙の年となる2019年は、日本でも、フェイクニュースが選挙に与える影響についての議論が、一層高まることが予想される。ただし、憲法で保障された「表現の自由」に配慮して、政府は、現状ではフェイクニュース対策で新たな法律を制定することは見送る方向だ。

(注1)「政府、デマ拡散抑止へ本格対策―選挙や災害時、法制化は見送り」、共同通信ニュース、2019年1月14日

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