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日本でも『通信の秘密』でプラットフォーマー規制

2019/02/04

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通信の秘密を海外企業にも適用へ

総務省の有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」では、電気通信事業法に基づく「通信の秘密」の規定を、GAFAと呼ばれるフェイスブック、グーグルなどの海外デジタル・プラットフォーマーにも適用することで、個人情報保護の強化や、国内企業が不公正な競争を強いられない環境とすることを目指している。

通信の秘密とは、個人のプライバシー保護の観点から、手紙や電話、電子メールといった通信の内容やその相手などを第三者に知られない権利のことを言う。この権利は、憲法で保障されているものだ。総務省が所管する電気通信事業法では、通信事業者やインターネットプロバイダーなど国内事業者が規制対象となり、本人の同意なく通信内容を利用した場合や通信内容の漏えいなどの場合には、罰則が定められている。ところが、その対象となるのは、国内にサーバーなどの設備を置く国内企業であり、海外企業は対象となっていない。また、日本に設備があっても外国にある本社がそれを管理していれば、対象とはならない。

2018年にはフェイスブックなどによる個人データ漏洩事件が相次ぎ、日本でもデジタル・プラットフォーマーによって個人のプライバシーが侵害される懸念が強まった。他方、電気通信事業法に強く規制される国内事業者は、規制対象でない海外のデジタル・プラットフォーマーとの間で不利な競争条件を強いられている、という不満が高まっていた。さらに、2018年5月には欧州連合(EU)で個人情報保護の強化などを狙った一般データ保護規則(GDPR)が施行されるなか、日本での法整備の遅れが指摘されるようになっていった。

2020年の規制導入を目指す

こうしたことが、今回の議論の背景にある。有識者会議は2019年春にも報告書を策定する。総務省はその提言を受け、2020年に規制の導入を目指すという。

電気通信事業法という日本の法律を海外企業にも履行させる具体策としては、国内への代理人設置などを検討するほか、GDPRなどの国際的な個人情報保護ルールと調和する対応が必要、との意見が有識者会議では出されている。また、オンライン上でのフェイクニュースや偽情報への対応も必要との議論も出ている。

他方で、海外企業に対する規制が適用された後に、個人情報利用の「同意」をユーザーに求める手続きについても、既に議論が始まっている。デジタル・プラットフォーマーによる現在の同意確認作業では、個人情報を何に使うかなどを細かく書いた項目にチェックを入れる作業が増え、十分理解しないままユーザーが同意してしまう、いわゆる「同意疲れ」が生じている。これに対する改善策の検討を求める意見も出されている。

執筆者情報

  • 木内登英

    木内 登英

    金融ITイノベーション事業本部
    エグゼクティブ・エコノミスト

    金融ITイノベーション事業本部 エグゼクティブ・エコノミスト

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