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コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight

民主党との対決姿勢を崩さないトランプ大統領の一般教書演説

2019/02/06

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対中強硬姿勢は変わらず

米国時間の2月5日にトランプ米大統領が行った一般教書演説は、壁建設問題で一度民主党に譲歩したトランプ大統領が、民主党との融和策を模索するのか、それとも対決姿勢を維持するのか、その姿勢を占うという観点から注目を集めた。さらに、壁建設問題やロシア疑惑問題といった内政面で民主党に押され気味のトランプ政権が、米朝首脳会談、米中貿易協議など外交面で強硬策を見せることで挽回を図るのか、などの点からも注目された。実際には、大きなサプライズはなかったと言えるだろう。

トランプ米大統領は一般教書演説の中で、北朝鮮の金正恩委員長と2月27、28日にベトナムで再会談すると正式に発表した。開催都市には言及しなかったが、米メディアによると、開催地はベトナム中部ダナンとの観測が高まっている。焦点の非核化に関して、前回の米朝首脳会談での合意後に進展がない中、トランプ大統領は外交成果をアピールするために、北朝鮮が求めている体制保証などで一定の譲歩を示し、非核化への具体的措置を引き出す可能性がある。しかし、一般教書演説の中では、これらに関する具体的な北朝鮮政策は示されなかった。

米中貿易問題については、「米企業への妨害、知的財産の盗用、米国の雇用と富を盗んできた時代は終わりにきたことを中国に突きつけている」と中国を痛烈に批判した。米国側の恒常的な貿易赤字に対処するだけでなく、米国の労働者と企業を守るため、中国に政策変更を促す必要がある、とも述べている。これは、米中貿易協議で中国側が既に示している農産物やエネルギー関連財の輸入拡大だけではトランプ政権は満足せず、知的所有権問題や産業政策の「中国製造2025」のもとでの政府補助金の問題などで大幅譲歩を中国側に求める姿勢であることを示唆しているのではないか。

政府閉鎖再開の可能性も

他方、国境の壁建設の問題については、民主党との対決姿勢を崩さないことをトランプ大統領は改めて示した。トランプ大統領は、「我々には米国市民の生活と雇用を守る移民制度を創設する道義的な責務がある」と語った。また、「これまで適切な壁が建設されたことはないが、私は必ず壁を建設する」とした。2月15日までに大統領と議会が新たな予算案で合意できなければ、一部の政府機関は再び閉鎖される。その可能性が相応に残されていることが、今回の一般教書演説で明らかになった。

それ以外では、トランプ大統領の演説は、自画自賛と民主党批判に多く費やされた感がある。トランプ大統領は、自身のリーダーシップのもとで、米国は世界でもっとも「熱い」経済だ、経済の奇跡が起きている、などと指摘したうえで、それを止めるものがあるとしたら、愚かな争いと政治、ばかげた党利党略の捜査だ、と語って、ロシア疑惑を始め、自身の多くの問題への捜査を進める民主党を強く批判した。

今回の一般教書演説は、今年1年間のトランプ政権の内政、外交政策の方向性を示すだけではなく、2月15日の政府機関閉鎖一時停止の期限、2月27、28日の米朝首脳会談、3月1日の米中貿易戦争の一時停戦の期限といった、目先の重要イベントに対するトランプ政権の姿勢を占う観点から、金融市場の関心も例年になく高まった感がある。米国内では民主党、国外では中国に対して改めて厳しい態度が示されたことで、こうした目先の重要イベントを大きな混乱なく乗り越えることができる、といった市場の一部にある楽観論に水を差す結果になったと言えるだろう。

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