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消費増税直前の経済指標は安定持続を示唆

2019/09/09

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9日に内閣府が公表した4-6月期GDP2次速報値で、実質GDP成長率は前期比+0.3%、年率換算値+1.3%と、1次速報値のそれぞれ+0.4%、+1.8%から下方修正された。民間在庫投資、公的固定資本形成(公共投資)は小幅に上方修正されたものの、民間企業設備投資の成長寄与度が前期比+0.2%から同+0.0%へと下方修されたことが主因だ。設備投資が下方されたのは、2次速報の推計で、法人企業統計が新たに反映されたためである。

しかし、この下方修正幅は、概ね事前予想通りであった。1-3月期の実質GDPも前期比年率+2.8%から+2.2%へと下方修正されたが、それでも高い水準を維持している。今年上期の成長率は年率で1%台半ばと、潜在成長率を2倍程度上回る高めのペースである。

4-6月期GDP2次速報値は、10月1日に消費増税が実施される前に発表される最後の重要指標の一つであるが、それは比較的安定した国内経済情勢を示唆している。消費増税を前に、個人消費の基調の弱さに注目する向きも少なくないが、4-6月期の実質個人消費は前期比+0.6%、年率+2.5%とかなり強めだ。しかも、この中には消費増税前の駆け込み購入という一時的要因による影響は、多く含まれていないと考えられる。安定した個人消費の底流には、安定した雇用・所得環境がある。4-6月期の実質雇用者報酬は、前期比+0.7%と高めの増加率である。

他方、先週公表された7月分景気動向指数で、一致指数(CI)は2か月振りに前月比で増加した。先行指数(CI)も僅かながら前月比で増加した。一致指数に基づく景気判断は、4月までの景気後退局面入りを示唆する「悪化を示している」から、3か月連続で「下げ止まりを示している」となっており、景気後退局面入りのリスクをとりあえず脱した感がある。

他方、輸出、鉱工業生産には弱さも見られる。主要な輸出先である中国及び欧州で景気減速傾向が続いている影響が大きいと見られる。それでも、経済全体としてはなお安定を維持しているのは、既に述べた個人消費の安定と共に、間接輸出の効果も含めて、米国向け輸出の安定によるところが大きいのではないか。輸出先の2割を占める米国経済が失速を免れる中で、日本経済も底堅く推移しているのである。

10月の消費増税は、国内経済の大きなリスクとはならないだろう。最大の注目点は米国経済、さらに言えば米国の個人消費が現在の強さを維持できるかどうか、である。目先は長期金利低下による住宅、自動車部門での堅調が米国の個人消費を支えようが、年末から来年にかけては不確実性が高まるだろう。

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