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2020年世界経済はリーマン・ショック時を超える悪化の見通し

2020/03/25

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2020年のIMF世界経済見通しはマイナス成長に

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は3月23日に、2020年の世界経済の成長率はマイナスに陥る、との見通しを示した。「景気後退は少なくとも金融危機と同程度か、さらに悪化する可能性もある」としている。

IMFは最新の成長率見通しを4月に公表する。リーマン・ショック発生時の2009年の世界経済の成長率は、マイナス0.1%と僅かなマイナス成長であった。今回はこれを上回る幅でのマイナス成長となる可能性が高まっている。

また、ゲオルギエバ専務理事は、2021年の世界経済は持ち直す見込みだとした上で、その回復の実現には、「各国が感染拡大の封じ込めを最優先に行い、医療体制の強化に取り組むことが重要だ」と述べた。財政出動策よりも、これが景気の回復に最も有効な施策である。

IFFはマイナス1.5%の成長率見通し

他方で、世界の主要金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)は同じ23日に、2020年の世界経済の成長率がマイナス1.5%になるとの見通しを発表している。先進国はマイナス3.3%、新興国はマイナス1.1%である。特に厳しいのはユーロ圏で、マイナス4.7%の大幅マイナス成長の見通しだ。また、米国はマイナス2.8%、日本はマイナス2.6%である。

ちなみに、2008年度の日本の実質GDP成長率はマイナス3.4%、2009年度はマイナス2.2%であった。世界経済の成長率の落ち込みは、リーマン・ショック時を上回り、日本については概ねリーマン・ショック時並みと言えるだろう。

民間統計で見る世界経済の現状

ところで、月次あるいは四半期単位が中心である各国政府の公式統計からは、新型コロナウイルスによって現在生じている経済の悪化の状況を知るまでに、相応の時間を要してしまう。できるだけ時間差なく、足もとの経済の変化を知るためには、民間統計に頼ることが必要となる。

フィナンシャル・タイムズ紙(注1) は、世界の多くの民間統計データを集計し、世界経済の現状を浮き彫りにしている。以下では、そのうち幾つかの統計に注目してみよう。

それらが示すのは、製造業以上に大きな打撃を受けている、サービス業の現状である。米サンフランシスコを拠点とする飲食店予約サイト「オープンテーブル」によると、世界の飲食店需要は急激に悪化している。同サイトでは、英国と米国を含む主要国で、予約がほぼ全面ストップ状態となっているという。

国際的な小売り調査会社スプリングボードのデータによれば、3月18日には、米国とイタリアで1日の来店客数が前年同日比で70%超の減少となった。英国とスウェーデンでは、20%余りの減少である。

映画の興行成績を示すウェブサイト「ボックス・オフィス・モジョ」のデータによると、3月15日の週末の映画予約は、データ入手可能な50カ国超の大半で、前年同期比3分の2以上の減少となった。米国では、3月16日までの7日間の映画興収が、前年同期の半分にも届かなかったという。

航空機の航路を追跡する「フライトレーダー24」によれば、世界の1日の運航便数は3月21日までの7日間に、前月同期間に比べて20%余りも減少した。

欧州36カ国の送電事業者43社が加盟する欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)のデータによると、欧州では、3月18日の電力消費量は、2月半ばの週の同じ曜日に比べて15%減少した。中国では、発電所の石炭消費量が年初の水準を30%下回っている。

こうした多くの民間統計から浮かび上がるのは、世界の経済活動がまるでメルトダウンしたかのような厳しい状況である。政策当事者が的確な対策を講じるためには、まずは経済の現状を的確に把握することが欠かせない。そのためには、公式統計ではなくこうした民間データに幅広く目を配っていく姿勢が、しばらくは重要となろう。

(注1)「データで見る、新型コロナ世界不況の兆し」、ファイナンシャル・タイムズ、2020年3月24日

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