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まん延防止措置は16都府県にまで拡大:経済損失は合計で1.1兆円に

2022/01/19

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政府は「まん延防止等重点措置」の適用区域の拡大を19日に正式決定する。期間は1月21日から2月13日までの3週間程度(24日間)となる。

18日に発行した本コラムでは、11都県への適用拡大を前提に経済効果を試算したが、最終的には13都県まで拡大する(コラム「まん延防止措置の拡大で経済損失は一気に最大19倍に」、2022年1月18日)。首都圏では、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県の1都4県、愛知県、岐阜県、三重県の中部3県、新潟県、熊本県、宮崎県、長崎県、香川県である。

1月7日に同措置が適用された3県の経済規模(県民所得)は、日本全体の4.0%であった。これに対して、新たに加わる見通しの13都県の経済規模は、日本全体の50.7%と半分を超えており、合計すると54.7%にまで一気に拡大する。

1月7日に決定された3県での同措置による経済損失の試算値は、540億円である(コラム「まん延防止措置の拡大で経済損失は一気に最大19倍に」、2022年1月18日)。一方、新たに13都県の全市町村が対象となれば、3週間程度(24日間)での経済損失は1兆650億円になる計算だ。既に実施されている3県での同措置の経済損失と合計すると、1兆1,200億円となる。これは、1年間の名目GDPの0.19%に相当する規模であり、失業者を4.4万人増加させる効果を持つ。3県での経済損失規模と比べて、一気に19.6倍に膨れ上がる。

他方、13都県のすべてが適用地域とならないケースを考えよう。適用地域となる市町村の経済規模の比率が、沖縄、山口、広島の3県と同様の76%となる場合には、13都府県での経済損失は8,090億円となる計算だ。3県での同措置の経済損失と合計すると、8,640億円となる。これは、1年間の名目GDPの0.15%に相当する規模であり、失業者を3.3万人増加させる効果を持つ。3県での経済損失規模と比べて、14.9倍となる。

一方で感染が急拡大を続ける大阪府は、隣接する兵庫県、京都府とともに「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請することを既に検討し始めている。同措置の適用区域は、短期間でさらに拡大していく可能性が高まっているのである。さらに、「まん延防止等重点措置」から「緊急事態宣言」へと移行する地域も、早晩出てくるだろう。

感染再拡大を受けた規制措置も、まだ始まったばかりと言え、規制がさらに強化するなか、経済への打撃は強まっていくだろう。昨年秋に、感染リスクの一時低下で持ち直しのきっかけを掴んだ日本経済は、感染急拡大と規制の急速な強化を受けて、年明け後には再び足踏み局面へと陥っている。

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